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真実発掘20 「技術面検証の主要着目点」

検証すべき点は多数有るが、例示として大きく初期(~2013年)・中間(2014年)・最終(2015年)の三段階において、夫々で大きな課題を一つずつ挙げてみた。
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(1)初期…2013年3月コンペ表彰式プレゼン案(ザハ修正案1とする)には、アンカー等のキールアーチ支持構造は有るのか?
   →プレゼンの資料にはアンカーらしき支持構造の記述が有るが、修正案1の外観図やモデルからはアンカー設置が困難だったようにも受け取れる。もしアンカー等が有ったのなら、その構造や形状はどうなっていたか。
(2)中間…2014年8月実施設計入札公募の図面ではアーチタイが入っているが、5月の有識者会議資料には入っていなかったのは何故か?
   →「アーチタイ」追加の経緯はどうだったか。アーチタイ図面はごく簡単だったが基本設計はできていたか。
(3)最終…2015年7月第6回有識者会議時点において、10月着工用の実施設計図面は完成していたのか?
   →特にアーチタイを含むキールアーチ部の着工用設計図は出来ていたのか。アーチタイ工期はどれぐらいと見ていたか。
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上記(1)~(3)に更に以下の補足を行うが、巨大な失敗をそのままにしておけば次は更に巨大化して還ってくる。原発事故調査結果を見ても感じたが、肝心なところで抜けが幾つもある。今回は事故等ではないが、五輪という国際大イベントを通じて日本と云う国の信頼にも関わり、実質的インパクトは国の根幹に影響を与えるぐらいの問題と個人的には感じている。しかも終わったわけでなく現在進行形で少なくとも2020年五輪まで続いていく。原発事故調査(特に政府事故調)のように多くの国民が原因明確化されたとは感じていない検証の二の舞いにならないように、客観的論理的な視点に立っての「徹底した調査・核心を突いた検証」が必要と思う。

(1)に関して
ⅰ)2012年11月コンペ審査終了後から翌年3月表彰式までの間に、デザインや構造が大幅変更されて表彰式でプレゼンされると云う、普通では有り得ないと思われることが行われていた。そのために当初11月下旬予定の表彰が翌年3月に延びたと考えられる。何故このような不自然なことが行われたか解明必要(何か裏事情があるのか・・・)。なお、JSCの募集要項記載の本来予定では「二次審査:2012年11月7日、審査結果発表:同年11月中旬、表彰式:同年11月下旬」となっており、設計修整する時間は無かった。また「表彰式において最優秀者にはプレゼンテーションの機会が与えられる」と書かれていたが、当然ながら修正案ではなくコンペ案でのプレゼンを意図していたと思われる。
ⅱ)表彰式プレゼンの修整案1は、ザハ側が殆ど設計したと想定される。この時は2013年5月フレームワーク設計担当公募のずっと前であり、本来はザハ以外の設計会社が参加していない時期である。JSCとの間で例えば「敷地内に収めた現実的設計にして欲しい」などの話し合いがあって、ザハ側による修整設計が行われたのだろうか。設計修整やCG作成費用は数千万円レベルも考えられるだろうが、その費用処理は明らかになっているのか。
ⅲ)JSCはコンペ後もザハ側とフレームワーク設計から実施設計まで数度に分けて「デザイン監修契約」を行った、しかし、日本語の一般的認識では「監修」と云う言葉の意味が明確でなく、かつプロジェクトの中で主体的役割をすると云うイメージも持たないのではないか。「日本側から合理的変更の要請ができる」という契約項目にも批判があり、契約金額が高過ぎるのではないかという意見もあった。。
結果的にザハ側との契約においては以下の様な疑問が出されてきたと思う。
 ・ザハデザインが日本側(JSCや設計JV等)によって改変(改悪)されたのではないか?
 ・そもそもデザインを変更できるという契約はオリジナルへの冒涜ではないか?
 ・何をやっているのか良くわからないのに監修料(約13億円)が高いのではないか?
だが、JSCのサイトに有る資料を見ると以下のようになっていて、一見して設計面でもザハ側の役割が大きいとも読み取れる。
ZHA事務所との監修業務契約について” JSC HP資料(抜粋)
イメージ 1

もし実際にもこの考え方でJSCが設計推進していたとすると、修正案1が殆どザハ側設計であったことも頷けてくる。修正案1は「ザハのコンペ案を日本側が修正した案」ではなく、「ザハ側自らが修正した案」になる。コンペ案とのイメージ相違はあっても修正案もザハの案であるということは、日本側によるオリジナルへの冒涜も無いことになる。
監修業務費用約13億円についても、金額そのものの納得性は別として、もし最初の修整案から実施設計に至るまでザハ側主導だったとしたら、或る程度高額になるのも妥当性があるかも知れない。
このように整理してみると辻褄が合って来るように思われ、もしそうだとすると誤解による実態と違う認識が広まっていたことになる。監修業務の位置付けと実際の業務内容がどうだったか調査が必要。(経緯が判明してからでないと最終的判定には至らないが、ザハ側の責任範囲が広がる可能性があるだろう)
ⅳ)キールアーチ維持に関して、設計関係者(ザハ側、4社JV、JSC・文科省等)以外に強い関与が無かったかどうかは一応調査必要ありと思われる(例えば政治家や安藤氏等の委員など)。

(2)に関して
ⅰ)第5回有識者会議資料と入札公募資料で「アーチタイ」有無の違いがあることは明らかなので、追加に至った理由や経緯説明が必須。
ⅱ)昨日検証の工費見積変遷において、朝日記事で「③2014年5月1625億円」の見積の中に「アーチタイ追加費用分」が含まれているかどうかは非常に重要。③は基本設計完了を受けて正式にJSCが表明した見積りであり、それにおけるアーチタイ費用の扱いはJSCの見積りがどのように行われたか検証する上でキーポイント。もし意図的に「アーチタイ」を含まずに見積もって、その後も訂正していないとすれば「偽装見積り」ということになる。

(3)に関して
ⅰ)「実施設計終わっても設計図が出来ていないのではないか?」という疑念を出している人はいた。検証委員会の技術系委員には、少なくともまずここを確認して迅速に公表していただきたと思う。
ⅱ)ゼネコンがどのようにして「工費増大」と「五輪までに出来ない」ことを政府に伝えたか。

(4)その他…どの段階かは定かでないが、鋼鉄材を輸入品に変えたりしてコストダウン検討を行っていたという話もある。デザインや構造面だけでなく、材料面の仕様変遷なども調査必要。

以上
「追記」
当ブログでは「白紙見直し」と云う驚きの事態の裏に何が潜んでいたのか、「真実(真相)発掘」という趣旨で検証を行っている。その結果、プロジェクトを吹き飛ばすに至った「地雷」の存在を掘り当てることが出来た(と思っている)。それに影響してきそうな「プロジェクトにおけるザハ側の位置付けと実態」などの調査課題も本日示すことが出来た。
今後は、技術面検証も続けながら、デザインや景観、市民運動や政治の動きなどにも検証範囲を広げる予定。片隅のブログでは有るが、少しでもこの問題の教訓が将来に生きるように出来ればと思う。

追記以上