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 「季節性インフルエンザの激減と新型コロナの関連の考察」第1回

毎年流行を繰り返して来ている「季節性インフルエンザが激減している」という話はご存知の方も多いと思う。

実態例として或る医院ブログ。
岐阜県の内科医院
”インフルエンザはどこにいった?”2021年2月2日
https://nawaclinic.com/wp/?p=236
<例年ならば、この時期の診療所・クリニックは風邪患者さんの対応で忙しい。とくにインフルエンザが流行し、次から次へとインフルエンザの抗原検査を行い陽性ならばタミフルやイナビルといった抗インフルエンザ薬を処方するのですが、当院でも、今シーズンはまだ1回もでていません>
→「今シーズン」となっているが、実際には「昨シーズン」に当たる「2020年初頭から激減」している。


そのため時期的に、「新型コロナ流行との関係性」が取り沙汰されるのは当然となる。
上掲ブログにも、それに関連した「①~③の推測理由」が挙げられているが、その考察は後述するとして、先ず「新型コロナの関連でインフルエンザが激減したとすると、それはいつ頃から始まったか?」という点を検証してみた。 

 

[激減開始時期の検討]

①全国
感染研究所データ
■2018年~2021年流行グラフ

2020年第12週頃には、ほぼゼロになったと見なして良さそう。

 

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インフルエンザの潜伏期間は1~3日(厚労省資料)。

その後発症して、受診してからデータ登録されるまでのタイムラグは当方未把握。

そのため実際の感染激減は第12週より前になる(例えば1週間程度?)

また上記グラフで第12週より前から減少が始まっているとも見えるが、その判定は難しいので、ほぼゼロになった時点を考えている。

■過去グラフ

第12週に、ほぼゼロになった年はなく、新型コロナの関連が考えられる。

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岩手県
新型コロナの影響を出来るだけ排除して、インフルエンザのみでの傾向を見てみるために、全国都道府県で新型コロナ感染発生が一番遅かった(2020年7月29日)岩手県のデータを検証。

岩手県でも2020年第12週に、ほぼゼロ。また過去グラフで、そのような年はなし。

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佐渡島
全国も岩手県も第12週に、ほぼゼロだったが、更に新型コロナの影響を排除してみるために、「離島」を対象にして「佐渡島」のデータも見てみた。
結果的に2020年第11週に殆どゼロになり、第12週で完全にゼロになっている。

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 また佐渡島も過去グラフが有り、2019年以前の第11週や第12週に、ほぼゼロや完全ゼロなった年は無かった。結果的に「新型コロナと関連があることは十分考えられる」というのが当方の現在の推論。

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[考察(暫定)]
上掲データなどから、医院ブログで挙げられている三つの理由を検討してみる
①コロナ対策でマスク・手洗いが徹底していることや宴会や集会がへって人との交流が減ったこと。
→新型コロナの報道は2020年1月から本格化した。その中にマスクに関する報道もああった。
”「新型コロナウイルス」に関する報道を振り返る”
https://dime.jp/genre/928136/
<マスクについては、1月15日から中国国内のマスク不足が報じられ、その後日本からの支援物資に対する感謝の記事へ変遷した。1月31日から日本国内のマスク不足が目立つようになり、その後転売に関する記事が増えている>
→実際のマスク不足状態の調査事例もある。
”日本国内でのマスクの購買増加は1月25日から始まった”(レシートからの推測)
https://tomoruba.eiicon.net/blogs/337
→この後には「ダイヤモンド・プリンセス号」の横浜接岸(2月5日)と連日の報道もあり、日本国民の新型コロナへの意識は更に大きく高まって行った。
しかし、まだ身近なことと思わない人も多かったと思うが、少なくとも上記のマスク不足のように、マスク着用などの対策は進んだ面が有った。
但し「どれぐらい効果が有ったか」を推し測るのは(今でも)容易ではない。
②ウイルス干渉という現象がおこり、コロナによってインフルエンザの増殖が抑えられていること。
→一気に激減という現象は、「ウィルス干渉」での説明に向いていると思われる。しかし、まだ感染の広がりが限定的な時期に、全国、そして佐渡島という離島までほぼゼロになった事実は、ウィルス干渉では説明困難と思える。

ちなみに佐渡島の最初の感染者発生は2020年7月21日だった。

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③海外との往来がほぼなくなり、インフルエンザウイルスを持ち込む人がいなくなったこと。
→これは想定効果としては絶大としても、実際は2019年末から既にインフルエンザが発生していた状態で、2020年3月時点で急激にゼロになった。これを「海外からの持込みの有無」では説明できない。(但し、その後の2020年冬以降については別途検討を要す、また2019年末~2020年初頭はインフルエンザの流行が例年より少ない傾向だったことも検討課題になるかも知れない)

 

結果的に、①~③のどれによっても激減の説明は難しい。
しかし、中でも②③では説明できないと考えて、「消去法によって①であると仮定せざるを得ない」というのが現在の個人的推察。


ただし、①で考えると「新型コロナとの比較」においては大きな疑問が生じる。
毎年1千万人~2千万人もの感染を引き起こす季節性インフルエンザが、短期間でほぼゼロに激減して、その状態が継続できる対策をしていることになる。

しかし新型コロナは、同じ地域で同じ対策が施されていることになるのに、流行を繰り返している。
この違いの理由は一体何なのか?
→ウィルスの種類は違うが、同じような感染経路と推察されるのに、余りにも違いが大きすぎるのではないか?
専門家は、こういう所を解明してくれるはずが、分科会でもアドバイザリーボードでも、「インフルエンザの同時流行の可能性」の論議はあったが、「インフルエンザ激減」の具体的論議は見当たらない。

この点からも、今回の政府系専門家には大きな疑問符が付く。

 

なお遅延も考えて、第11週(3月9日~15日)に実際の激減発生と推察してみる。
agoop・APPLE・Gooleのデータ(東京都)から見て、人流減少した時期より前に、インフルエンザに対しては強力な対策効果が出ていたことになる。
年間1千万人以上も感染者出るインフルがこれで、新型コロナは一体どれだけ感染力強い?

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東京都のインフルエンザ感染状況グラフ

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以上(考察は引き続き実施予定)