kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

 JSC作成「経緯資料」と問題点

検証委員会第一回の資料が文科省HPで公開されている。
この中にJSC作成の経緯資料がある。
今後検証における重要資料になると思われ、取り急ぎ内容検討してみた
11頁に経過まとめが有るが、昨日記事で主要着目点に挙げた次の2点は入っていない。
--------------
(1)コンペ表彰式が当初2012年11月予定から2013年3月に延びて、その間にコンペ案に対する大幅修整(南北逆転等)が実施され、表彰式会場でプレゼンされた。
(2)第5回有識者会議で示されなかったアーチタイが三ヶ月弱後の入札公示では追加されていた。
--------------

昨日も書いたが(1)はコンペのやり方として余りに不自然。納得性の有る理由が必要だし、賞金も超えるであろう費用処理の問題も有り得る。しかし上記資料には、表彰式延期やコンペ案からの修整が有ったことさえ書いていない。コンペ案はデザイン画のようなもので、しかも2ヶ月で提出だったから構造は元々未検討部分が多くて当然。だからこそ構造も検討された修整案1は重要で、実質的な検討開始のベースになったと思われる。それがどういう経緯で作られたか明らかにされていない。

結果として「キールアーチ支持構造なし」という建築の基本無視を最初に持ち込んだのは、ザハ側なのか日本側なのか、或いは両者調整の結果か。これを確認せずして技術面の真相究明は出来ないだろう。なお、コンペ審査後から表彰式までに修整することになった裏事情を推察してみると、ザハコンペ案が敷地外の高速道路や鉄道を跨ぐなどしていたから、そのままでは応募規定違反となり、表彰式でそのままプレゼンテーションする訳には行かなくて、JSCが修整を依頼したことは考えられそう。それでも違反箇所の部分修整だけでなく、南北逆転と云う全体的設計修整に加えてCG作成までやっているから相当費用がかかったのは間違いない。JSCはザハ側とどのような条件で話を付けていたのだろうか(ザハ側が持ち出しでやることは到底考えられない。もしJSC側が何らかの形で後々の費用支払を約束していたとしたら、かなりの優遇措置での受賞)。

また、(2)については有識者会議について「JSC理事長が設置した諮問機関(アドバイザリーボード)で、意思決定機関ではない」と説明している。それなら全てがJSCの責任ということになる。「アーチタイ」追加はJSCの誰が承認して、どれぐらいの費用や工期がかかると想定していたのか(基礎工事が大きく変わってくるから、JCSと設計JVはどのように工期検証したか)。文科省には報告していたのか。有識者委員会メンバーにも事後報告は出来たのではないか。

また基本設計終了後にアーチタイ追加という無理(無謀)なことをしなければならない設計は本来未完成であって受領すべきではないのに、費用を支払ってしまったのも問題だろう。設計費用は上記資料によると約59億円!(既契約分と高額であった。それが当初から根本部分で建築の基本常識に反した驚くべき欠陥設計だったということが、当ブログ検証においては見えてきている。もし実際にそうだとすると「契約済みだから戻らない」だけでは済まされないように思う。契約上で各段階の「設計業務完了」認定はどのような規定になっていたか、また設計欠陥に関してJSC側がどこまで知っていて、どのように対応したかなどを調査して設計関連費用支払の妥当性を検証することは必須(検証委員会がまず着目している工費見積の変動については、JSC側は安く見積もろうとしていたから直接国民負担を増やす方向では無かったとも言える。以前にも述べたが設計関連業務委託費の方は、欠陥設計を受領して支払っていたなら直接的問題になる可能性あり.。又欠陥設計を納品して費用支払を受けた方も問題

検証委員会は、以上のような技術面からの解明をまず早急に実施して随時公表していただきたいと思う。(特に、欠陥設計で無かったのなら、第三者としての客観的検証でそれを示していただくことを期待)

それにしても肝心なことがこの期に及んでも書いていないと云うのは、JSCとして(1)(2)のような問題の存在を知らないのか、重要性を認識できなくて書いてないのか、或いは知っていて隠しているのか。それでも詳細な経過資料が公式に出てきたことで考えやすくはなった。取り急ぎの確認だけでも内容豊富なことがよく分かったので、今後追々検証予定。

なお、昨日記事で(3)として記した「10月着工用の実施設計図面は完成していたのか?」については上記資料で関連記述があった(9頁)。
<○ 平成27年(2015年)5月14日
JSCは、技術協力者から2019年5月末までに可能な出来形の最終提示があったことを受け、文部科学省に報告。>
最終提示の図面が着工可能なものだったか検証委員会は精査していただきたい(特にアーチタイやキールアーチ関連の設計や費用・工期見通し)。

以上