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真実発掘4 「アーチタイ(タイバー)追加時期」

森山氏の以下ブログ記事は皆さんもご覧になられていると思うが、森山氏が2015年3月4日に行われた「近隣住民説明会」の資料図面中にアーチタイ(タイバー)が追加されていることを発見した経緯が説明されている。

このアーチタイの追加時期を調査してみた。
まず新国立競技場の設計には公式に以下の様な段階があった。
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これら段階中のどの時点でアーチタイが追加されたのか?について、JSC資料で確認してみたところ以下の様であった。

まず国際コンペで選ばれたザハ案(段階Ⅰ)に対して、「フレームワーク設計」(Ⅱ)と「基本設計」(Ⅲ)を経たはずの「2014年5月28日有識者会議資料」にアーチタイが入っていない。そこから3ヶ月弱後の「8月18日入札公示図面」にはアーチタイが記載されている。
基本設計の了承を得ることが目的の有識者会議資料に、重要基礎構造変更になるアーチタイ追加を書き漏らしているとは考えにくく、8月18日までの3ヶ月足らずの間にアーチタイ追加決定が行われたと想定される。
その後2015年3月4日住民説明会用説明資料図面における追加を森山氏が発見。(なお森山氏は入札公示図面におけるタイバー(アーチタイ)追加も公示日翌日に指摘しておられる。 http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11912081521.html )

アーチタイ追加前後の時系列をまとめると以下のようになる。
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この中で時系列と共に注目すべきは、8月18日の図においてアーチタイが単純な細長い四角形で余りにもあっさり描かれており、構造などは全くわからないことである。アーチタイだけ以下のように取り出してみると、お粗末な図であることが更に一目瞭然。(輪郭にでこぼこがあり、CADで直線を引いて書いたようには見えないのがなお不思議)
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屋根・スタンドの図や東西断面図の細密さと比べると違いは歴然としており、立体視で描かれた屋根とスタンドの図の間に置かれると「とってつけた」感が半端ではない。ここまで差があると何か意図が感じられて、もしかすると「アーチタイ」については余り触れられたくないと云う思惑の現れか。或いは実際に急遽追加で簡単な図にせざるを得なかったのかも知れないが、それでは「何のための基本設計だったのか」ということになる(基本設計費用約4億円!)。

また、入札資料図ではアーチタイがスタジアムの上に描かれているが、実際には逆にアーチタイがスタンドの下に入る構造である。そのためアーチタイが「地下に追加された非常に重要な基礎構造物」であることが、一見してイメージしにくい図になっていることは否めない。
ただ「屋根工区」として屋根とアーチタイの図をまとめる意図があったかも知れないし、箇条書き説明文中にも1行「キールアーチを地下で結ぶアーチタイ」と言及が有るが、それでも資料を見る人のことを考えたら実際の構成(スタンドの下)も図示しておくことは必須だっただろう。

ちなみに以下の2014年9月14日東京新聞記事は入札公示を受けて書かれているが、タイトルや本文で「アーチ屋根が難工事」と的確に指摘しているにも関わらず、記事中の技術的課題を示した以下の説明図からアーチタイがすっぽり抜け落ちている。記事を書いた人は入札資料図面のアーチタイ説明が、ごく簡単だったため重要性がよく分からなかったのではないか。アーチタイの説明を殆ど書かなかった思惑が生きたとも思えてしまう。

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アーチタイが一番下にあることで、アーチのみならずスタンドの基礎構造にも当然影響を与える。また、アーチタイやアーチの工事をしている間、スタンドの工事をどのような工法で並行して進めるかという非常に難しい課題も出てくる。重要構造変更であるアーチタイ追加が、入札前に基本設計承認したと想定される有識者会議の資料で示されず、入札公示資料でもごく簡単にしか触れられていないことは、新国立問題における重大な局面だったのではないか。

アーチタイを含んだキールアーチ構造について、屋根工区担当のゼネコン(竹中工務店)と引続き実施設計も担当した日建設計他JVは、どこまで設計済みだったのだろうか。また竹中と大成の工事進行の調整はどのように行う計画になっていたか。
今後公式に顛末調査が行われる場合は、設計会社及びゼネコンに「キールアーチとアーチタイの設計・工事計画がどのようになっていたのか」を基本的重要事項として確認すべきと思う。
明日も更にキールアーチ関係の検討を進める。

以上