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ZHAビデオ論点:技術的まとめと雑記

技術面を中心に論点整理を行ってみたが、ザハデザインの「キールアーチで屋根を支える」という基本コンセプトが、「キールアーチ支持方法」で初期から躓いていたと云うことになりそうである。更にザハ側思惑では「アーチ構築には標準的な橋の建設技術が使える」はずが、橋とスタジアムでは条件が大きく違っていた。

日本側JVが入った具体設計は工費抑制も含め困難を極めたと想定され、その経過解明は河野議員らや政府の検証に期待するが、基本設計が終了して入札公示を控えた時期にアーチタイ追加の特大設計変更を余儀なくされたことは、それまでの設計に根本的な問題があったという動かぬ証拠になっている。そしてアーチタイの実現性には疑問符が付くと云う状態で着工時期が迫り最終的に白紙見直しに追い込まれた。これが現時点での当方の見方。(ZHAビデオ検証を経ても従来見解同様であった)

本日はそれ以外で気がついたことを思いつくままに記載。
まず昨日の論点3における「横風・地震時にキールアーチにかかる力をスタンドに流す」方法に関して、ビデオでスカイブリッジ周りの構造が見やすいCGがあった。
これを見るとAの箇所でスタンド側支柱によりスカイブリッジが支持されている可能性あり。ただし、ザハ側説明からすると屋根はキールアーチで支えられている。屋根フレームの一部であるスカイブリッジをスタンド側に固定すると、屋根とスタンドが固定されたことになって構造的に矛盾。Aの箇所で固定せず動く範囲を規制しているだけか。結局横風・地震対策の支持方法は当方として今のところ不明のまま。
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この図に関連して、入札公示資料(2014年8月)にある屋根工区の図と比べると、公示資料の屋根工区にはスカイブリッジの下側鉄骨や膜が描かれていない(スタンド工区の方に移っている?)。基本設計の頃にスカイブリッジ周りも含めた仕様違いの設計バージョンが複数あったのではないかと推測される。入札公示は5月の基本設計終了から3ヶ月弱後なので、やはり基本設計が終了しても設計が混乱していた可能性が有りそう(その間にアーチタイ追加も有ったと見られる)。

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ザハ側が、キールアーチ採用のメリットとしている「約3ヶ月の工期短縮」も個人的には疑問が出てきた。建設中はキールアーチの下にベントが並ぶから、工区が3分割(下図①~③)されたようになる可能性大。
現場は周囲に広い土地が有るわけでは無く、狭い現場の中で3分割されたようになったら動線最悪で、重機の使用などにも影響するだろう。3ヶ月短縮効果どころかマイナス効果になるのではないかとも思える。この辺は土木建設の専門家などに効果を判定していただきたいところである。
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以上