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「官製談合・審査不正」疑惑… 新国立競技場やり直しコンペ

昨日記事で、「前川喜平」前文科省次官が同省審議官時代に事務局長を努めた新国立競技場問題の検証委員会に対して、官邸側の「和泉洋(ひろし)」総理補佐官を中心としたグループから、”検証範囲などで干渉と言っても過言でないレベルの働きかけがあった”という当ブログの見方と根拠を示した。

この干渉で、和泉氏は「ザハ案の白紙見直し経過」の隠蔽を図った。その理由は、安倍総理の英断だったと言われている「白紙撤回」表明が、実際には「ザハ案は設計的に建てられなかった」という、お粗末な裏事情を隠し通す意図があった。ここまでが昨日記事の趣旨。

更に和泉氏は、ザハ案撤回後の新計画による「やり直しコンペ(新コンペ)」の段取りを行って、最終的に大成建設隈研吾氏のA案が採用されるまでを取り仕切った。この過程は「官製談合」と言われても仕方がないレベルだった。また、審査では竹中組と伊東豊雄氏のB案が優勢だったのを「審査不正」によって覆した疑惑も有る。

検証委員会への干渉は、事務局長だった前川氏は当然認識。そして官製談合と審査不正に関しても、前川氏の直接関与は無いとしても、コンペを担当したJSC(日本スポーツ振興センター)は文科省傘下団体。翌年事務次官就任するほどの実力者であった前川氏には、何らかの情報が入っている可能性は高いだろう。

昨日記事では、参考人招致で前川氏に「検証委員会に対して、官邸側から働きかけがあったか?」と質問し、認める回答を引き出せれば、新国立でも閉会中審査行う道が拓けることを書いた。新コンペを和泉氏側が主導したかどうかも同様に質問可能。

加計問題を入り口にして、もっと大きな問題になる可能性がある新国立競技場について追求ができるよう、今回の参考人招致で前川氏から証言を取ってもらいたいとも思う。国会議員の頑張りに期待することになるが、片隅からの応援として当ブログでは新コンペでの官製談合と審査不正の疑惑について内容を記す。加えて、隈研吾氏の問題についても言及。

①官製談合疑惑

(1)新コンペ審査員の人選
以前に検証委員会の人選について分析を行った。

以下に示すように、殆どの委員に国交省「官庁営繕部」との関わりが見られ、和泉氏と、同氏が新国立対応で国交省から官邸に引っ張った営繕部の羽山慎一氏の名前が出てくる。

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特に重要な委員長の「村上周三」氏は、「サステナブル建築と政策デザイン」と云う書籍を和泉氏と共著している。全体としても、よくここまで露骨に恣意的人選をやった、と思えるレベル。文科省は完全に蚊帳の外。
新コンペを和泉氏らが確実にコントロールするために、周到な準備を行っていたことが見て取れる。官製談合疑惑は深い。

(2)ゼネコンへのザハ案使用お墨付き(実態は大成側のみ)
<委員から、旧計画の関与者が有利となることはないかとの指摘に対して、事務局から、旧計画の成果を最大限活用する趣旨もあり、可能な限り参加者に資料を提示することとしており、また、競争参加資格の確認以降に、守秘義務の下で提示する資料もあると回答した。 >
→JSCは旧計画(ザハ案)成果物の最大限活用の意向を明らかにしている。そして「大成建設+隈研吾氏」のA案は、後述の3項で示すようにザハ案流用は明確。しかし、JSCはザハ案中止して成果物利用すればザハ側から訴えられる危惧を、その前から表明していた。これは当然の話である。

しかし、和泉氏らがザハ案流用での日程短縮を図ったことは容易に推測できる。これ自体はザハ案急遽中止で五輪日程に間に合わすために、止むを得ない面は有る。だが、ザハ案流用を公言しなければ、日本政府が権利侵害を行ったことになる。しかも未だに「ザハ側と話はついた」としているだけで、流用は認めず隠蔽のまま。

著作権を管轄する文化庁を傘下におく文科省は、この点でも国際問題になる危惧も含めて、忸怩たる思いがあったのではないか。それを前川氏は知っていてもおかしくない。実際ザハ氏は急逝前に「日本の閉鎖性」として厳しく批判していた。日本の誠実さを毀損するやり方に対して、前述の審査委員選定の極端な恣意性を含め、「面従腹背」がモットーという前川氏の本音を国会で聞き出して頂きたい(加計の後に新国立問題でも閉会中審査を期待)。

また、JSCは入札参加者全体に旧計画成果を認めた形だが、「竹中工務店+伊東豊雄氏」のB案では流用は見えてこない。これは、流用による日程短縮効果で「大成側を有利に導く意図」があったと推察するのが妥当と思われる(新コンペでは日程最重視)。

和泉氏側とゼネコン側は、新コンペ以前から水面下で打合せており、大成側のみザハ案流用することも調整済みだったと思う。官製談合の疑惑は、ますます深まる。

なお、竹中側とも調整があったと思われ、ザハ案流用が明確になっても竹中側は動かなかった(つまり発注者と参加者全体で出来レース)。ただし、後述の伊藤豊雄氏の動きは微妙。ザハ案流用を明確に指摘していた。そのため伊東氏とは調整があったのかどうか未だ不明。

②審査不正疑惑
新コンペ審査委員だった「建築家・香山寿夫氏」が、B案をめぐるシンポジウムの場で以下のように審査不正疑惑を述べている。香山氏は国交省営繕部との関わりが浅くて、和泉氏らの制御が効かなかった可能性有り。

ここまで話が出ながら、最終的に追求は不発で現在に至っている。しかし直接的な審査不正疑惑であり、加計問題より悪質なように思えてくる。
<7人の審査委員の1人だった建築家・香山寿夫氏(78)も出席し、自ら審査方法に疑問を呈した。それぞれの審査委員が採点動向を公表しないやり方に「それは問題。公表できないなら、それは専門家とは言えない。そう言ったが、通らなかった」と振り返った。 
 また、審査委が事前審査も含め2度、採点したことが「操作なのでは」と批判を受けている点には「仮の採点の1時間後にもう1度やったが、その結果どういうことが起きたのかは分からない。知っている人もいるかもしれないが…。お互いにどのように判断したかは公表しないことになっているため、変な操作につながったと思われるのは仕方ない」と語った。>

詳細は当ブログの以下記事参照。


隈研吾氏の欺瞞
上掲日刊スポーツ記事で、世界的建築家でB案を担当した伊東豊雄氏が「隈研吾氏案はザハ案借用」と明確に述べている。
<B案の建築家・伊東豊雄氏(74)が9日、都内でシンポジウムを開き、建築家・隈研吾氏(61)が設計したA案のスタンド部分は前計画のザハ・ハディド案を「踏襲している」と言い切った。 
 伊東氏は断面、柱、通路、トイレの図を示し、数や位置が共通している事実を示した。断面図ではスタンド下部の柱位置がほぼ同じだった。柱比較では全周が108本で成り立つ構造と位置がほぼ同じ。通路比較では上・中段スタンドの通路数がともに54本で、位置もほぼ一緒だった。地下トイレもともに8カ所で位置もほぼ同じ。隈案は「似ているのではなく(ザハ案を)借用したのではないか」と述べた。

→実際に当ブログでは「隈氏+大成建設のA案」と「ザハ案」を当時比較してみている。平面図を見ただけで、借用(流用)は明らか。
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これに対して、隈氏は完全否定を続けている。
”「隈氏またも記者会見で完全否定」”2016/2/2 日刊スポーツ
<建築家・隈研吾氏(61)が1日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見し、旧計画のザハ・ハディド氏が訴える著作権について「問題ない」との認識をあらためて示した。 
 座席の配列、通路幅がザハ案とほぼ一致している点について「東京都の安全条例で通路幅は80センチと決まっている。それで計算すると、同じ形に落ち着く。法律を順守して緻密に計算すると、どの方がやっても同じ所に落ち着く」と主張。 
 ザハ案と隈案の平面図を重ねると、柱の位置までほぼ重なる点についても「座席配列と通路幅で決まる」とし、「80センチの通路幅で(通路間の)座席は28席。トラック形状も同じだから当然、同じようなところに柱が建つ」と語った。仮に柱を1本おきに抜いた場合は「今度は梁(はり)が大きくなり非常にコストがかかる。梁(はり)の分で天井が低くなるのも問題。経済的に今の法律の中で柱を置いていこうとすると、大体同じような配置になると思います」と語り、著作権問題も「我々のチームの専門家にいろいろ聞いても全く問題ないと言われています」と言い切った。 >

→上図のように類似性は一目瞭然でありながら、事実を捻じ曲げる詭弁と強弁の連発。また自らの目で見ても明らかなはずなのに、専門家のチームを持ち出して責任回避姿勢。当代随一と言っても過言ではない売れっ子建築家に、このような欺瞞が有るのは非常に残念。

以上