kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

「前川氏と和泉氏」

昨日記事に関しては、Twitterで幾つかのコメントを頂き、どの部分を詳細に説明すれば良いかが大分認識できて来た。それは追々書いていく予定で、まずは10日前川氏招致に向けて、前川・和泉両氏に関わる内容を述べる。
最初にマスコミが認識している両者の接点の参考として産経新聞記事をご紹介。
------
敗戦処理」余儀なく
 「新国立問題がくすぶっているのかもしれない」。2人の関係について文科省関係者は、27年7月、建設費の倍増に伴い白紙撤回された新国立競技場騒動の余波を指摘する。
 この騒動で文科省の担当局長が事実上更迭され、当時、文科審議官だった前川氏は整備計画経緯検証委員会の事務局長として報告書を取りまとめるなど“敗戦処理”を余儀なくされた。
 一方、内閣官房は整備計画の仕切り直しとして再検討推進室を設置。実質的に取り仕切る副室長には和泉氏らが起用された。
 「白紙撤回で整備計画の主導権は文科省から、和泉氏らが率いる国交省に移った」。文科省幹部はこう振り返る。
 5月25日の記者会見で政権批判を口にした前川氏は「(告発は)誰に恨みを持つようなものではない」としたが、同氏は産経新聞の取材を拒否しており、本音はうかがい知れない。
------

この記事のタイトルが「撤回騒動が火種?」と「?」が付いているように、前川氏に関しては、当時文科省No.2の「文部科学審議官」だったという立場と、「検証委員会事務局長」だったという点しか新国立への関与は今のところ見えていない。

しかし良く調べると、実際には同委員会の運営に色々な疑惑があり、それを追っていくと見えてくるものが有る。特に以下2点の問題点を取り上げて、同委員会への「干渉」の存在を考えてみる。

(1)検証対象の限定
この中の第一回議事録に前川氏発言がある。
<【前川事務局長】  引き続きまして、資料7に基づきまして検証項目の例、これは先ほど大臣が御挨拶の中で言及いたしましたものとほぼ同じでございます。文部科学省で当面検証項目の例として考えられるものをここに記載したものでございます。
  大臣は、検証内容には制限は設けず、検証委員会の委員の皆様にて御検討いただきたいと言っておるものでございます。>
→「大臣は、検証内容には制限は設けず」と言っているが、実際には以下該当資料と同内容を下村大臣が冒頭で述べている。
------
資料7 検証項目の例 事務局提出資料
(現時点で想定される検証項目の例として、下村文部科学大臣が7月28日(火曜日)の閣議後会見で言及したもの)(注:第一回検証委員会の冒頭でも下村大臣は同内容で発言…相当意思統一が図られていたと推測できる))
○ 当初の競技場工事費1,300億円となった経緯
○ ザハ・ハディド案の選定経緯
○ 平成25年12月に提示された工事費縮減額の1,625億円となった経緯
○ 工事費が1,625億円を大幅に超え、2,520億円となった経緯
○ 計画の見直しを検討すべきだったタイミング
○ 文部科学省・JSCの役割分担と責任体制
------

注目すべきは、この中に当然入るべき「白紙見直しの経緯」が無い。実際にも、上記検証項目に沿って検証が行われ、白紙見直し経緯はスルーになってしまった。

「検証内容は制限せず、委員の方々で検討頂きたい」と言いつつ、参考例を挙げて対象範囲を限定。露骨なやり方だが、官僚の方々はこういうやり方をするのだろう。それに合わせてしまった委員の方も問題だが、委員選定についても疑惑が有り後述。

なお、上掲資料7に注記を入れたが、その部分を見て頂くと下村大臣は記者会見でも同内容を述べており、第一回会議冒頭と資料7を併せて計3回も同内容が提示されている。前述のように、この例示は実際は「白紙見直し経過の検証対象外し」が目的だから、余程隠したかったということになる。

考えてみると、文科省側はヘマをして検証される側だから、検証対象を限定するのは本来おかしい。真摯に反省している姿勢を見せるべき段階であり、「委員の方々で限定なしに検証して下さい、協力は惜しみません」となる所が、逆に対象限定。

これには、官邸側から文科省側に強力な要請や実質的指示があったことが推測される(つまり干渉)。
ここで和泉補佐官が登場する。官邸側で仕切っていたのは同氏で、国交省出身者のチームを率いて、産経記事のように文科省から主導権を完全に奪った形になっていた。また、同氏は官邸の「新国立競技場 再検討推進室 副室長」に就任し、当然室長はお飾り的で官邸内でも実質責任者の立場になっていた。

文科省側はどうかというと、まず下村大臣は同じ内容を2回も言わされて、完全に振り付けられていた。振り付けたのは事務次官か、その下ぐらいの文科官僚と考えられる。文科省No.2で検証委員会事務局長を担当した前川氏が、和泉氏からの要請や実質指示を受けて調整したと見るのが自然。結果的に前川氏は、ザハ案の撤回経緯自体は詳細をご存知かどうかは分からないが、少なくとも事務局長として「撤回経緯隠し」に関わっていたことは確実。

参考人招致で野党、特に熱心に追求している民進党は、前川氏に対して「新国立競技場問題の検証に関して、和泉補佐官ら官邸側から何らかの働きかけがあったか?」というような質問をして、働きかけの存在を認めさせれば、加計問題とは別に新国立問題でも閉会中審査を要請できる。

但し民進党が、ここまで気付くかというと、難しい気はするが、上掲産経記事なども有るし、以前当方Twitter民進党衆院議員「原口」氏の「いいね」が有ったりしたので、民進党関係者が見ていて動くと国会も新たな展開が生まれてくると思う。

(2)検証委員会の期間
検証委員会への干渉を示す例として、「検証委員会の期間設定」の問題もご紹介。
記者:元々検証やるにあたって(8月から始まって)9月中旬という期限を文科省側から決められて、本来責任を追求される側である文科省から期限を設定されるというのは、何か疑問のような気もするのですが、これは検証されるんですか?
委員長:私ども委員会というのは、文科省から何を検証しろという問題を与えられているので、必要な範囲においてちょっと拡大したりしましたけど、検証委託事項にないことを権限逸脱するというのは、やりかねたということです。
→期限まで文科省側から設定されたことに対する疑問を記者が質問。委員長は、前述した「検証対象制限」も含めて、文科省要請に縛られたことを明示している。文科省を裏から仕切った和泉氏らは、ここまでやっていた。それに対して、事務局長で有ると共に文科省No.2だった前川氏がどういう思いで対応していたか。前川氏に新国立も質問すれば色々出てくるのではないか。

また、和泉氏の仕切りはザハ案撤回後の「新コンペ」でも発揮されている。そこには官製談合や審査不正疑惑などが有る。参考人招致における野党には、加計より闇が深いと思われる新国立について、今後再調査する端緒を掴んで頂きたい。加計以外の質問は制限されるかも知れないが、そこは工夫だろう。ただ、やはり民進党が新国立との関連に気付くかが鍵。

以上