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「隈氏会見文字起こし」と流用有無解明アプローチ案

隈氏の日本記者クラブにおける会見映像がアップされていたので、類似性問題の質疑応答部分を文字起こししてみた。
----質疑応答文字起こし開始----
37分頃~
東京新聞(瀬口記者 日本記者クラブ企画委員)…ザハさんの案で、ものすごく巨大で隈さんの案と全く違うんですけども、ただスタジアムの設計について、ザハさんの方から「驚くほどレイアウトや座席の構造が似ている」という表明も有りました。これについてはどういうふうにお答えになりますか?
隈氏…あのーまあ、建物のまず外観とかですねえ、皆さん「物凄く対照的と言ってもいいぐらい」と分かって頂けると思います。断面に関しては、まず3段式というのを我々は採用しています。3段式にするというのは、一番最初のコンペ、第一回のコンペで11社が応募が有って、そのうちの7社が3段式でございます。
というのも3段式というのが一番避難の問題ですとか、ユニバーサルデザインの点でもいいんですね。2段式にしちゃいますと、上の方から降りてくるのが大変なんです。なので3段式というのが、やはり8万人という規模で一番合理的なのはまず3段式という判断を致しました。
その断面の形は、トラックの形が決まっていて、どこまでが見えなきゃいけないというのが決まってるんですね。砂場の半分ぐらいまでは絶対見えなきゃ駄目というふうになっています。そうやって断面の形を決めていくと、断面というのはちゃんと計算して法律を分かっている人だと大体同じ断面に落ち着きます。
なので断面の形ということで言うと、それは法律を守って見やすくして、敷地の外形も決まってますので、だいたい同じ所にどの案も落ち着くと思います。
それから通路の観客席の取り方もちょっと専門的になりますけれども、東京都の安全条例というのが決まっておりまして、その安全条例で通路幅が今回80cmと指定されています。それはコンペの要項で。80cmで席がどれぐらい並べていいか。通路がダーッと席ばっかり並んじゃうと避難の問題が有るので、通路と通路とは何メーター位置に取らなければいけないかというのが、80cmという条件があると安全条例で計算すると、それも大体殆ど同じ数値に落ち着きますので、法律をちゃんと遵守して緻密に計算をすると大体同じところに落ち着くというところなので、その部分が近い数値になるのは、どの方がやっても大体同じところに落ち着くと思います。
60分頃~
日刊スポーツ(三須記者)…2点お伺いします。まず工期のことなんですが、組織委員会の森会長もおしゃってますけども、工期を若干短縮してラグビーワールドカップに間に合ったらいいなという話が俄にあちこちから聞こえてきてますが、2ヶ月早くすれば決勝も行えるということなんですが、それは期待して良いのかどうか?もう一つは著作権の問題なんですけども、ザハさんが主張している著作権の問題ですが、スタンドの構造が先ほどおっしゃてましたけども、座席の角度とか配置が似てる、プラス柱の位置も平面図を重ねるとかなり重なっているという現状で、まず柱のことについてどう思われるでしょうか?それと元々の設計JV、今回梓設計さんが入っていますが、それ以外の3社に関してスタンドのことを、事前にこのように著作権の問題ですので確認をとったのかどうか、お伺いしたいんですがよろしくお願いしますですが、
隈氏…まず工期の話ですけども、かなり精密に工程表が作られていて、どれくらいのニンクを掛けて行って、どういうふうなロジスティックでやっていくかというのは、(工程表が)精密に作られていてやっと収まったと云う状況が今回ですので、これから更に2ヶ月というのはかなり厳しいと思います。ただそれは工程の専門家に正式に話が有った時は専門家がお答えすべきではないかと思いますので、私が迂闊に出来るとか出来ないとか言えないですが、かなり厳しいということです。
柱に関しては、先ほどの配列と関係していまして、80cmという通路幅が決まっていて、席数の数が今は28個で避難通路、それは柱の位置に影響してきます。席数が決まると一番合理的な柱の配置というのが決まってきます。トラックの形も同じですから、当然同じようなところに柱が建ってきます。例えば柱を1本おきに抜いてしまうというふうにすると、今度は梁が大きくなってきてコストがかかってくるとか、天井が梁の分で低くなるとかと云う問題があるので、経済的に今の法律の中で柱を置いていこうとすると大体同じような柱の配置になると思います。それに関しても我々のチームでも著作権の専門家に聞いても「全く問題ない」というふうに言われています。
----文字起こし終了----

質疑応答の冒頭で東京新聞記者(森本氏ではない)が、いきなりザハ類似指摘について聞いていた(笑) 
やはりマスコミも関心自体は高いようである。最後の質問でも、日刊スポーツ記者が柱位置や著作権について突っ込んで質問をしていた。同紙は以前から詳報を続けていて今回もグッジョブ。
しかし、それでも隈氏は淡々と、流用全否定という虚偽と数字や条例を使った詭弁を重ねていた。(今回詭弁の例として「柱を1本おきに抜いて」という仮定の話をしていた。極端な命題を設定して、それを否定することで元の命題も否定しようとする典型的な詭弁術。「何故ザハ案と同じ柱本数なのか?」という趣旨が含まれる元の質問に対し、1本おきに抜くという、一気に本数を半分にした場合を否定することによって、ザハ案と同本数を正当化している。実際はザハ案の108本に対して、104本や112本も有り得るし、もっと段階的に変化させた本数も検討できるのに「何故A案はザハ案と同じ本数に決めたのか?」という質問趣旨をはぐらかしている。隈氏の詭弁術を安冨歩氏に解読してもらいたいが、東大同士だと互助会精神が働くか)
他にも、スタンド形状フラット形の件は質疑応答では出なかったが、前半の説明には有って、やはりザハ案との違いとして主張していくようである。

しかし、記者さんたちは明白な流用があっても、なかなか真相に迫れないようである。状況解明へのアプローチを提案してみると、「流用に対する大成チームとJSCの姿勢の差」を突いていくのが近道と思う(大成チームで隈氏以外は日刊ゲンダイ問い合わせ結果で、大成は「データ流用の事実なし」、梓は「一切答えられない」とのこと)。
JSCは一昨日記事紹介の「審査委員会第1回議事録」で、事務局として次のように述べているので再掲。
<委員から、旧計画の関与者が有利となることはないかとの指摘に対して、事務局から、旧計画の成果を最大限活用する趣旨もあり、可能な限り参加者に資料を提示することとしており、また、競争参加資格の確認以降に、守秘義務の下で提示する資料もあると回答した。 >
これはJSCの方針表明でもあるから、JSCに以下のような確認を行えば良いと思う。
----確認事項例開始----
①JSC新コンペ方針確認
 (1)応募者にザハ案設計情報使用することを推奨する方針だったか?
 (2)特に推奨はしないが、応募者が使用したい場合は許可する方針だったか?
 (3)応募者が使用する場合、JSCに許可申請等を行うように取決めてしていたか?
②提示資料確認
 (4)どのような資料をいつ提示したか?大成、竹中両チームに提示したか?
 (5)CADデータは渡したか?
③大成チーム実態確認
 (6)大成チームのザハ案情報使用有無について、JSCは把握しているか?
 (7)把握している場合、使用している・使用していない、どちらと認識しているか?
 (8)使用している場合、JSCへの許可申請等はあったか?
 (9)使用している場合、隈氏の「全く違う」という主張は矛盾するのではないか?
 (10)JSCとして大成チームは使用無しとの認識の場合、ZHAと交渉する必要性はあるのか?
 (11)JSCとして使用有無が分からないということはあるか?容易に分かるのではないか?
④JSCの基本的考え方確認
 (12)常識的に考えて、契約解除し白紙見直しなのに、同じ案の積極活用は違和感ないか?
 (13)関係閣僚会議メンバーにザハ案成果積極活用方針は伝えているか?了承されているか?
 (14)外観が変わっていればOKで、内部構成等の設計成果は積極活用すべきという見解か?
 (15)ZHAと契約解除せずに、キールアーチを外した仕様にして続けられなかったのか?
⑤新コンペの公平性・公正性確認
 (16)JSCとして大成チームはザハ案使用と知っていた場合、竹中チームにそれを知らせたか?
 (17)大成チームがザハ案使用の場合、特に工期面で不公平になることを認識していたか?
 (18)審査委員とはザハ案活用の妥当性について議論したか?「活用」は「流用」も想定したか?
 (19)審査員に両チームのザハ案使用有無を知らせてあったか?審査員は使用有無を知っていたか?
 (20)コンペ応募は通常オリジナル設計が前提ではないか?ザハ案流用でもオリジナル性はOKか?
 (21)ザハ案使用の場合は「原案 ZHA」というような表記を入れないと、不正使用にならないか?
⑥ZHAとの関係確認
 (22)ZHAとはどのような交渉をしているか?追加支払いは有るか?了承得られなかったらどうするか?
 (23)10月レターよりもっと早くから交渉すべきだったのではないか?実際はいつから交渉していたか?
----確認事項例終了----
ざっくり挙げてみただけでも非常に多くなった。更にまだ有ると思われるが、これらについてJSCに取材や質問状送付、会見要請などを行って、その結果と隈氏や大成チームの見解とを突き合わせれば状況は解明できてくるのではないか。また、「⑥ZHAとの関係」はJSCとして明らかにできないと言う可能性が高く、主に①~⑤をまずJSCに問い合わせるべきと思う。当方提案は以上のようなものだが、マスコミ等は今後どのように真相にアプローチしていくか。

なお、当方は新国立競技場の建設には反対ではなく(五輪までには建てないでじっくり仕様論議するゼロ案は支持だが)、以前から述べてきているように現状は日本の国柄にも影響する「道義的問題」という認識で、この点が最優先と考えている。道義的に「このまま嘘をついて進めて良いのか」という大きな疑問を検証するために、参考情報提供として各種検証を行っていく予定。

以上