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「審査委員会議事録」第1回議事録によると、JSCは新コンペでザハ案流用許可意向だった可能性あり

議事録は第1回から8回まで一挙公開されたが、第1回の議事内容について以下のツィートが有った。
<新国立競技場 技術提案等審査委員会第1回公開議事録
「委員から、旧計画の関与者が有利となることはないかとの指摘に対して、・・・守秘義務の下で提示する資料もあると回答した。」>(1月31日 fmaarch (FMA)さん)

該当部分は「・・・」部分も引用すると以下になる。
 議事録(議事要旨)[第1回委員会] 日時:平成27年8月17日(月)
<委員から、旧計画の関与者が有利となることはないかとの指摘に対して、事務局から、旧計画の成果を最大限活用する趣旨もあり、可能な限り参加者に資料を提示することとしており、また、競争参加資格の確認以降に、守秘義務の下で提示する資料もあると回答した。 >

これだとJSCは「旧計画の成果を最大限活用する趣旨」ということで、元々ザハ案の使用をコンペで許可していたとも受け取れる。それならB案にも公平になって、B案は自主的にザハ案データ使用しなかったことになる。
そして、「成果」と言っている点で、テレグラフ紙が紹介したJSCのレター内容とも符合してくる。(以下はテレグラフ紙記事を伝える日刊ゲンダイ1月20日記事より)
<「今回の暴露について、日本メディアの引用元は今月13日付の英紙デーリー・テレグラフの記事です。同紙記者は、JSC側がザハ氏の事務所に送付した未納代金を巡る契約書のコピーをチェック。JSC側が新たに付け加えた『2つの条件』を詳細に伝えています」(在英ジャーナリスト)
  条件の文言とは(1)JSCは、新たなコンペの勝者が〈著作権にかかわりなく(中略)ザハ氏のデザインの成果の使用が許可されるものとする〉と主張している(2)ザハ事務所はJSCに〈設計の成果を、追加料金や制限なしに自由に利用することを許可し〉、異論を出さずに満足することを互いに同意する――。>

前述のように、コンペ参加者全部へのザハ案資料提示なら公平性は保たれる。そして当初から流用も認める趣旨で資料提示されたなら、大成チームが自由意志でザハ案使用してA案を作成しても問題無くなる。図面提示ならCADデータも提示が想定され、その流用もOKだったのだろう。
こうなると、「A案のザハ案流用は問題なく、JSCがZHA側の了解を取り付けられていなかった」というシンプルな話にもなる(了解得られていないこと自体は深刻であるが)。

しかし、今となってみるとそれでは済まない。隈氏は外国人特派員協会の会見で類似を問われて、「全く違う」と国内外に完全否定を発信してしまった。また、紹介済みの第8回審査委員会議事録で、ザハ案流用から来ている柱数やトイレアクセスの意図について質問されながら、大成チームは流用を全く言わず自分たちが決めたように回答している。つまり、隈氏を含めた大成チームは虚偽を述べた記録が残ってしまっている。JSCの方も、ザハから昨年A案決定時に指摘されたにも関わらず、JSC自らが成果活用を勧めていて流用が有ることを知りながら類似性に関するコメントは未だに出していない。
それで大成チームもJSCも政府も、まだ流用の存在を認めるかどうか分からない。しかし、第1回会合から前述のようにJSCが「旧計画の成果を活かす」ことを推奨していたのだから、このまま流用全否定を続けることが果たして出来るか。

なかなか難しいと思われ、A案で進める場合の可能性として、やはりZHAに追加費用を支払って流用を承認してもらうことになるか。だが一旦流用否定してしまったりして立場が悪くなっているし、中途契約解除もあった。ざっくり想定すると10億円、或いはそれ以上の請求も。もし交渉で(未払い分1.7億円とは別に)追加3~5億円ぐらいで抑えられれば非常に良い結果ということになるか。そして金額如何に係わらず不手際であることは間違いなく、政府の国民への説明は「英断」評価の再検証とも相まって難しい面が有りそう。何ともややこしい展開になってきた(苦笑)
JSC流用許可の可能性に対する考察は本日ここまでとし、ZHA側権利について追記で検討。

以上
[追記]
「wor*****」さんから昨日次のようなコメントを頂いた。(文中のJapan Times掲載「槇氏コメント」は読めてないので以下の内容から検討、Japan Times当該記事のURLや内容など有ればコメント等でお願いします)
<1月28日付のJapan Timesでは槙文彦氏が「(隈氏のデザインが)ザハ氏のコピーとは思えない」といったコメントをしております。ただし「ザハ氏の最新案には日本の建築家も何人か関わっているので、そちらではないか」とも言っており、そのまま取ると日本人の建築家のデザインであれば、コピーしても良いと聞こえます。日本人建築家=大成建設(?)であるので、A案がコピーでも著作権的に問題ないという事なのでしょうか。>

丁度本文で書いたように、JSCが流用許可していた可能性有り。もしそうならJSCがZHAから了承を取り付ければ、設計JVの成果はコピー(流用)OKと想定。(ZHAが基本設計主導したから了承なしは困難と思われる)
次にZHA側権利について検討してみる。ZHA側権利有無に関する論議を見ると、「1か0か」でアプローチして逆に難しくなっているように思える。
検証委員会結果から実態を見てみると、「ZHAはボウル(観客席)設計を主体的にやりたがっていた」と日建設計ヒアリングにあって、基本設計も主導しているからボウル設計を相当やっていたことは確実。ただし日建設計は「両方でやって後で調整した」とも言っているので、設計JV側ボウル担当が梓設計で、調整役として日建も入ったことが考えられる。更に後から加わった大成も或る程度関与したとすると、ボウル設計には計4社が関与したと仮定できる。
これによりZHA側権利については、少なくとも1/4分は権利があると想定してみれば良いと思う。結果的にデザイン監修者という名目を越えて設計にも参加していた以上、ZHA側には何分の一かの権利はどうしても発生してゼロにはならない。権利がゼロでなければ、その侵害に対して裁判を起こすことは可能と云うことになる。(割合の多寡より訴訟起こす名分を付けられることが重要)

もしZHA側が訴えたら権利はあるから門前払いにはならず、裁判が行われて日本側は隈氏が全否定した流用が実際には大幅なことが公式にバレてしまう。ZHAが当事者だから裁判情報は逐次海外にも伝わる。日本政府は恥を晒し続けるわけには行かず、早期に和解などに持ち込むしかなく長引かせられない。つまり判決がどうなるか以前に、「訴訟起こされたら実質日本側負け」というシンプルな話になる。日本政府・JSCは訴訟にならないよう金銭支払で交渉するのではないかというのが当方の見方。

よって以下のJSC発言などは普通に考えると、「言い値でも呑んで、とにかく流用承認貰ってまとめる」という決意表明?のように受け取れる。ただし、もし話がまとまっても追加支出や白紙化経緯の国民への説明というハードルは有る。マスコミや野党も、流用を政府が認めてハッキリしたら追求するところが出て来る可能性あり。
<JSCの池田貴城理事は会見で、旧計画でデザインを監修した建築家ザハ・ハディド氏が自身の案に似ていると主張していることについて、「(ザハ氏側との)交渉内容は言えないが、どうなろうと確実に建つようにしたい」と述べた。>1月29日朝日新聞 

追記以上