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「審査委員会議事録」B案は誠意の対応を追求されA案は流用を見逃された

昨日のA案に続きB案の議事録も見てみた。その前に伊東氏が先月のA案決定後に語った内容の記事がある。
<審査の最重要ポイントとされた「工期短縮」で大きく点数をあけられた。「事前着工ができれば確実に19年11月に間に合う、できなくても何とか完成させたい、と誠意を込めたつもりが、工期に間に合わない可能性があると受け取られてしまった」と悔やんだ。>

この「事前着工」に関するやり取りと思われる部分が議事録の中に有るので抜粋。
----P29抜粋引用----(【事務局】はJSC、当方が【審査委員】と想定した部分は実際は黒塗りで発言者不明)
【事務局】 これまでの技術的事項の確認をいろいろやりとりさせていただいたものの整合との関係で1点。それから、我々、プロジェクトを実施していくわけですけれども、本日の説明によりちょっと懸念に思った点、3点ございます。順次ご質問させていただきたい。 
まず、技術的事項の確認との整合なんですが、先ほどSMW(当方注:土(Soil)とセメントスラリーを混合・撹拌(Mixing)し、地中に造成する 壁体(Wall)の略称)の話があったんですけれども、確認前着工が行政協議でだめになった場合のお話で、技術的事項の確認では、完成時期が4カ月遅れて、それを様々な努力で2カ月縮めて、32年1月末だというふうに承っておるんですが、先ほどのご説明だと、11月末でやりますとおっしゃったように聞こえたんですが、それは聞き間違えなのか、技術的事項の確認とは違う内容のことをお話しになったのかをまず確認させてください。 
【監理技術者(建築)】 すみません。その確認事項と違う内容のお答えを今日いたしました。それにつきましては、先ほど申し上げた設計を1カ月縮める努力と――あの後、協議をしまして、設計を1カ月縮めるという努力と、それと、さっきあったバックアップ工法、あれに関しては、お金はかかるんですが、我々は、あのお金も上げることなく、11月末の工程にしたい、すると今日お答えさせていただいた次第です。 
【事務局】 わかりました。今の点について言うと、SMWが行政協議で駄目になる場合というのは、相当設計が進んでいる段階だと思うんですけれども、要するに、12カ月の設計期間を1カ月という話ではなくて、もう残り何カ月を1カ月なので、それは残り何カ月を1カ月縮めるというお話なわけでしょうか。 
【監理技術者(建築)】 設計…。 
【事務局】 本来、こういったことは技術的事項の確認の段階で詰めておきたかったんですけれども。 
【監理技術者(建築)】 残り最後の1カ月ね。 
【PM室長】 その点については、事前協議を通じて、その方法が可能かどうかということをあらかじめ確認して、それまでには設計工期を詰める必要があるかどうかの判断はした上で、対応したいと思います。 
【審査委員】ちょっといいですか。我々は12月15日に、それまでに細かくやりとりした全ての結果を検討して、それに基づいて最終判断して今日のヒアリングに臨んでいるわけなんです。今のお話は、我々が最終的な確認と考えていることがまた変わったということですか。 
【監理技術者(建築)】 そうですね。あの段階のお答えは、2020年1月末になります。 
【審査委員】あの段階というのは、我々にとっては最終的段階なんですよ。 
【監理技術者(建築)】 はい。 
【事務局】 変わったことをお話しになったということですね。 
【監理技術者(建築)】 はい、そうです。 
----引用終了----

伊東氏が述べている「事前着工」の件は、上記から更に抜粋すると、「事前の確認時とは話が変わった」と以下のように事務局から突っ込まれている。
<【事務局】 …確認前着工が行政協議でだめになった場合のお話で、技術的事項の確認では、完成時期が4カ月遅れて、それを様々な努力で2カ月縮めて、32年1月末だというふうに承っておるんですが、先ほどのご説明だと、11月末でやりますとおっしゃったように聞こえたんですが、それは聞き間違えなのか、技術的事項の確認とは違う内容のことをお話しになったのかをまず確認させてください。> 

また審査委員(誰かは不明…後日注:伊東氏によると工藤和美氏)も嫌味っぽく?聞いている。
<【審査委員】…我々は12月15日に、それまでに細かくやりとりした全ての結果を検討して、それに基づいて最終判断して今日のヒアリングに臨んでいるわけなんです。今のお話は、我々が最終的な確認と考えていることがまた変わったということですか。・・・
【審査委員】あの段階というのは、我々にとっては最終的段階なんですよ。  >

委員会は「(ヒアリング前の)12月15日に全ての結果を検討して最終判断した」とのことだが、ではヒアリングは何だったのか?という疑問が出てくる。更にそれを超える問題として、昨日紹介したA案議事録の当方記事中「②トイレのアクセス」で、どの委員からかは分からないが以下の質問が出ていた。
<1つ、平面計画でどうしても理解しがたかったので、何か意図があってかと思いまして。メインのコンコース平面計画の中で、ユニバーサルデザインということで、階段を使ったトイレ形式をとっていますよね。(当方注:1階からトイレに行くには地下1階に降りる)>

このトイレアクセスへの疑問も既に事前検討の中で出ていたのではないか。その際にB案やザハ案との比較をするのは当然で、ザハ案とは同じアクセス方式であることがすぐ分かる。また審査員は多くが建築専門家で、ザハ案とA案の地下1階トイレ等の配置が一致していることも一目瞭然。しかし質疑応答で「流用有無」に関する質問は、どの委員からも全く無し。B案との対応に差が有り過ぎる。

また、もっと問題なのはJSC。【事務局】となっている箇所の発言者がJSCの誰かは不明だが、担当理事の池田氏が出席していたことは確実。今月のテレグラフ紙報道では「JSCからのレターは、ZHA側が昨年10月JSC宛てに送った未払い金請求に対する返信」と書かれている。10月からはJSCが新体制になっており、理事長は大東氏だが本件の実質最高責任者は池田理事。
テレグラフ社も見たというレターに書かれた条件の文言は、<(1)JSCは、新たなコンペの勝者が〈著作権にかかわりなくザハ氏のデザインの成果の使用が許可されるものとする〉と主張している(2)ザハ事務所はJSCに〈設計の成果を、追加料金や制限なしに、変更その他を含めて自由に利用することを許可し〉、異論を出さずに満足することを互いに同意する――。>とされる。

つまり、JSC(責任者池田氏は「コンペの勝者がザハ氏デザインの成果を使用する」ことを想定している。だがA案の質疑応答時に、柱数108本やトイレアクセスに関して委員から質問されて、大成チームはザハ案流用に由来していることを一切言わずに自分たちのオリジナルで決めたように回答した。事務局(JSC)も何も言わず見逃している。
これではコンペで一番重要な公平性が保たれていたとは言いがたいだろう。コンペ不成立につながる明白な証拠が議事録に残っているのに、マスコミは依然スルーするのだろうか。

それと、本日特に書いておきたいのはB案竹中チーム。公平性毀損の証拠があるのだから、A案当選無効で提訴すべき。しかし、その気配はこれまで全く無い。やはり官製談合でA案チーム及び審査委員会と一緒に官邸から仕切られていたのかと推測せざるを得ない。
唯一伊東氏がザハ案類似性について指摘しているが、これも真意はどうなのだろうか。A案決定後すぐに類似性を指摘するとともに、「ある程度A案ありきだった部分もあるのかも」と述べている。これは官製談合の出来レースを知っている発言のようにも思える。そうなると結局指摘も単なるポーズで、2月のシンポジウムなども真意を隠したまま面白おかしく、かつA案進行に影響与えない範囲で批判を語るのだろうか。折角良い提案を出しながら、類似性の真相公表もコンペ不公正の提訴も行わなければ、伊東氏を含む竹中チームも官製談合に加担している証になってしまう。

またA案チームは上記のように、ザハ案流用を隠蔽した上にオリジナル発想を強弁し、中でも「全く違う」と真っ赤な嘘を公言する隈氏。水面下で仕切ったと思われる官邸チームは、白紙見直しの当初方向性は良かったが、契約解除して流用という非常識な策で世界に日本の恥と劣化を発信。JSCは官邸指示で動いていると想定されるが、未だにZHAと話が付けられていない。
マスコミは、「真実を知りたい」と書かれた本件の著書も出した記者までもが沈黙。建築設計界は、普段は立派なことを言ってシンポジウムや提言など行いながら、肝心な時には建築村秩序優先で専門家の責任を放棄(直近のJIA提言も流用はスルーだし、旧計画の設計をZHA・アラップとともに混迷させて今に至る問題を引き起こし、流用も一番よく認識できるのに未だダンマリの某設計会社もある)。
これが国家的重要案件のゴタゴタから垣間見える現在の日本の姿ということか。

以上