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「技術提案等審査委員会議事録」に見えるザハ案流用

昨日はJSCと大成チームの第I期事業契約が行われたというニュースが有った。それとJSCのHPに昨年12月19日(プレゼンと審査が行われた日)の審査委員会議事録も公開されていた。A案のみざっくり読んだ段階だが、流用問題に関して重要な記述がある。

審査員が意識していたかどうかは不明だが、「ザハ案流用によって生じる疑問点や問題点」を指摘している。それに大成チーム側が答えているが、流用を隠すために虚偽やコジツケの回答が色々出ている。現時点で気づいた3点を以下に示すが、他にもまだ出てくる可能性あり。また審査員たちはこのような的確な質問をしていながら、最後まで流用に気づかなかったのだろうか(気づいた人は多分いると思うが、それで黙っていたら罪深い)。
結果として、契約解除しておきながら流用した上に虚偽と隠蔽と偽装で塗り固めた状態で、「決まってしまったから」と、このまま強行するなら「日本の劣化と恥」を国内外に晒すことになるという危惧が更に強くなった。

日時:平成27年12月19日(土)9:00~17:30 
①柱本数108本の決まり方…「意匠から」 (P16~)
【審査員】構造のことをお伺いしたいのですけれども、これ、計画にも絡んでいますので。当然、もう解析を随分かけられて、これが確実にできると思って見ておりますけれども、かなり梁せい(当方注:梁高さ)を抑えていらっしゃるように見受けられます。多分、先ほどご説明あった高さを抑制されているからだと思うのですが。それで、その分、梁の本数というか、柱本数がすごく増えていると思うんですね。平面計画を見させていただくと、かなり、コンコースを含め、いろんなところに柱が落ちてきていて、仮に梁せいを上げると、柱は変わる、減らせるぐらいの余力を持った構造になっているかどうかということをお伺いしたい。 
【設計幹事企業 構造設計責任者】 今、質問のありました梁せいですけれども、柱本数につきましては、構造のほうから、梁せいの制限から与えたものではなくて、意匠のほうから108本。 
【審査員】意匠のほうから来ている。(当方注:審査員が確認の意味で繰り返したと思われる) 
【設計幹事企業 構造設計責任者】 煩悩のあれではないですけど108ということで来ていまして、梁せいのほう、構造のほうで計算して決めております。 
→柱本数は意匠から決まったと言っているが、皆さん御存知の通り、「ザハ案が108本だから」が真相。梁せいは追記に参考図を示すが、梁せい寸法などもザハ案から来ている可能性はありそう。

②トイレのアクセス…1階は地下1階に降りる、3階は4階に上がる(P24~)
【審査員】ユニバーサルの点で、非常に盛りだくさんというか、事細かく提案されているのですけれども、1つ、平面計画でどうしても理解しがたかったので、何か意図があってかと思いまして。メインのコンコース平面計画の中で、ユニバーサルデザインということで、階段を使ったトイレ形式をとっていますよね。1階に通常の人たちが使うトイレがなくて、地下に下りる、あるいは、3階は4階に上がる。つまり、これから高齢化の時代、子供も一緒に来てというときに、階段待ちをご提案している理由が私はちょっと理解できなかったもので、そこを質問させてください。 
【管理技術者(設計)】 大きくは、1階の構成に関してご説明をしたいと思いますが、当然のことながら、1階のコンコースのところで、全てのトイレ、それから、コンコースの空間等が取れれば一番よいんですが、今回、トイレに関しましては、このスペースで全部取ろうと思いますと、どんどん外周方向に膨れていきまして、コンコースの滞留面積でありますとか、それから、外部のスペースを取ることができませんでした。そういうこともありまして、いわゆる車いす用のトイレでありますとか、それから、多目的トイレでありますとか、そういう皆さんが使っていただけるようなトイレは1階に配置をしています。 
【審査員】ありますよね。 
【管理技術者(設計)】 そういう意味では、通常のトイレに関しましては、階段を用いてB1階でアクセスするようなことになっているのは、プラン上……。 
【審査員】プラン上というか、それはユニバーサルデザインということとしても誇れるというものに匹敵するとお考えでのご提案ですか、という聞き方なんですけど。あるいは、何かの条件が、さっき言ったように、変われば、それが可能になるという可能性をお持ちなのか、いや、これがいいんだというふうに思って、この計画を進めているかを聞きたいんですけど。 
【管理技術者(設計)】 はい。 
【建築デザイン代表者・工事監理企業】 それは条件が変われば、当然、我々もそちらのほうがユニバーサルになると思っておりますので。 
【審査員】例えば、半分。結構階段も量があるので、半分くらいできるじゃないかと思ってお聞きしたんですが。 
【管理技術者(設計)】 そうですね。何カ所かのトイレを1階で確保してというようなことは十分考えられると思っておりますので、今後、検討の時間をいただければというふうに思っております。 
→ザハ案がこのような構成(トイレのアクセスが1階は地下1階、3階は4階に移動)になっている。ザハ案流用を表す重要な事例と考えられる。また審査員はユニバーサルデザインにそぐわない使いにくさを指摘しており、「悪しき流用」ということになってくる。

③軒(のき)…日本屋根の上に緑は乗らない(P30~)
【審査員】一番最初のプレゼンテーションのところの全体のイメージにかかわるところについて、どうしてもお聞きしたいんですけどね。全体に軒が重なって、垂木がずっと見えていると。これが日本的なデザインで、法隆寺の垂木というのを例にされましたね。これは一般の人が多く見に来る建物の中で、素直に理解される1つのイメージだと思うんですね。しかし、この屋根の上に緑が載るということですね。もちろん、それは悪いというんじゃないです。ただ、普通、日本屋根の上に緑が載るということはあまりはないですね。伝統的なイメージで言えば、壁に緑がつくのは、むしろヨーロッパの建物とか、壁にツタがつくような、むしろ北欧なんかでは、屋根に緑を載せているのはいっぱいありますけど。そういうものにつながるので、この屋根の上に緑が載るというのは、私も年とってるせいかもしれないけど、日本的イメージと必ずしも素直にはつながらないわけですね。ですから、これがやっぱり日本的である――日本的でなくてもいいかもしれないけど、日本的であるとすると、どういうところに注意を払われているのか。そのポイントをちょっとお聞きしたいという。別に意地悪な質問ではないんですね。 
【建築デザイン代表者・工事監理企業】 今回、木だけではなくて緑を組み合わせたのは、やはり単に伝統的建築をつくるわけではございませんので、新しい意味で世界に発信できる日本ということで考えました。 
日本でも、民家の芝屋根という、茅の上に土をちょっと置いて生やせる技術がございますね。ああいう意味で、日本の社寺建築ではない場所では、そういう緑と屋根を組み合わせる、そういう伝統もございましたので、そういう意味で、これは日本の伝統の延長線上に新しい日本らしさを世界に発信するデザインだというふうに思っております。 
【審査員】今のお話の延長線で、1つだけお聞きしたいんです。このデザインのコンセプトを一言でいうとどのようになりますか。それから、メッセージとして、何を世界に発信したいのか。短くお願いします。 
【建築デザイン代表者・工事監理企業】 一言で言いますと、自然環境技術と一体になった日本らしさでございます。 
→モチーフ偽装を突かれている(笑)「意地悪」どころか非常に鋭い質問。
本来の答えは「ザハ案各階床の延長上にベランダ状の軒を造り、軒上側にプランターを置いて緑を装い、下側には木材を貼り付けて和風を偽装している」が正解。
なお新コンペでの木材使用推奨には、純粋に木材利用を拡げる目的とザハ案隠しの両面があると思われる。いずれにせよ木材使用から来る問題は後々響いて来そうだが、もしザハ案隠しで使用した部分が問題になったら全くの愚策となる。

以上
[追記]参考
(1)日刊スポーツ記事
→迅速によく調べられているが、本文に書いたように審査員から指摘されている重要な問題点の中に「ザハ案流用」から来ているものがあるという核心には切り込めていない。マスコミはいつになったら流用問題の深刻さを正面から取り上げるのだろうか。

(2)梁せい
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追記以上