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降雨と地下水位、及び観測井戸構造

地下水管理システムの水位管理が破綻状態であることは、これまで書いてきた。更に新しい情報が見つかり、Twitterの方で(1)を記述。また「水位観測井戸」の構造が分かってきたので(2)で紹介。

(1)水位が迅速反応する分かり易い例
状況…4月11日9時~17時の降水量2.3cm、この間で10cm以上の水位上昇地点複数

→当日は丁度朝の観測時刻9時頃から雨が降り出し、夕方観測時刻17時には降水量以上に観測井戸水位が上昇していた。4mの盛土を浸透してから観測井戸に入るまでに要する時間としては短すぎるのではないかと推測。
イメージ 1

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更に雨水浸透率の都側想定が8%(或いは15%)であるのに、降水量の何倍も井戸水位が上昇している点も考え併せると、地下水を経由しないで直接的に井戸水位を上昇させる何らかの経路が存在するのではないかと推測。次項で考察。

(2)観測井戸の構造
これまで観測井戸の水位を降水量以上に上昇させる経路として、地下水経由にはなるが「遮水壁下側の難透水層を通しての外部流入」を考えてみていた。或いは遮水壁からの外部流入可能性も有りうるか。

何れにせよ降水量以上の水位上昇は、雨水浸透率想定8%も考慮すると何らかの外部流入経路が必要と仮定してきた。しかし前項(1)のように降雨に迅速反応しているとなると、まず地下水経由ではない経路の検討が必要と考える。経路推測として、観測井戸のフタ、フタの中の井戸外周パイプ、擁壁周りなどの示唆を頂いている。当ブログとして、まだ経路の想定は出来ていないが、観測井戸の構造が分かってきたのでご紹介。

井戸の周囲は硅砂のため、下図右側のように井戸の水位が高くても、集水用スリットと珪砂を通して水が逃げて、いずれ水位は下がると思われるが、半年以上経過しても高水位の不思議さ。

イメージ 3

上図の「AP+2m以下にスリット」と「周囲珪砂」の根拠は、後掲の都議会質疑による(別途「周囲砂層」の情報も頂いていた)。「目詰まり懸念とメンテナンス」なども答弁有り。(当該委員会は他にも参考情報多いので追記でも掲載)

なお、不可解なことが多い水位管理だが、3月から上昇に転じたことで、都側も「順調に低下」などと言っておられないだろう。調査せざるを得ないと思われ、次の専門家会議で報告が期待される。都側が調べれば、破綻要因は比較的容易に分かるのかも知れないが、当ブログでは技術的関心の対象として原因判明まで追跡予定。

公営企業会計決算特別委員会”2016年年10月28日
○村井基盤整備担当部長 地下水をくみ上げるポンプは、土の中に設置している揚水井戸の中にございます。揚水井戸の中には、ストレーナーという細かい溝がAPプラス二メーターより下の全面についております。そこから井戸の中に地下水がしみ出すようになっております。こうして井戸の中にたまった水がAPプラス一・八メートルを超えるとポンプが動き出し、APプラス一・三メーター、すなわち五十センチ水位が下がるとポンプが停止するようになっております。その後、地下水がしみ出すことで復水し、AP一・八メーターを超えると、またポンプが動き出す。
  地下水をくみ上げることを繰り返しているということで、復水する時間の間はポンプが停止しているということになります。 
○曽根委員(共産党) 井戸の周りはスリットが入っているといいましたが、その外側に、珪砂という細かい砂粒のものを厚さ二十五センチで井戸の周りに埋めているそうですね。それがフィルターになっているそうなんですが、この珪砂のフィルター層の中に外側から、粘土層ですから、そういった砂粒、土の塊が入ってきて、それが目詰まりを起こす、外側で目詰まりを起こすというようなことは私はあり得ると思うんですが、そうした場合、先ほどいったように、ポンプを引き上げてポンプを洗うだけじゃ済まない、外側の珪砂そのものの目詰まりというのは、なかなか解決が難しいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。 
○村井基盤整備担当部長 委員ご指摘の点につきましては、ポンプを引き上げた上で、先ほどもご答弁差し上げましたけれども、ジェットで噴射します。そうしますと、かなり強い水圧の水が出てきますので、珪砂の中がもう一度洗い出されます。そういったことで、細粒分の土も洗い流されて、もう一度正常な状態に復帰するということでメンテナンスも行うようにしております。 

以上
[追記]
本文の都議会特別委員会質疑で他にも参考情報あるので紹介。
①雨水浸透率想定15%
15%という数字が出ている。ただし、新専門家会議の添付資料では、都側が8%で計算した資料もあり、想定数値は1種類ではない模様。

○村井基盤整備担当部長 豊洲の市場用地は、全体で四十ヘクタールほどございます。その中には建物も建っております。建物に降った雨については全て下水に流れます。しかし、地表面に降った雨につきましては、アスファルト舗装をしている部分や植栽の部分がございます。しかしながら、舗装面に降った雨も、設計では一五%ほどしか地下水化しないというふうになっております。

②盛土無しの場合の地上安全性
以下の週刊金曜日記事にある都側調査について同委員会でも質問があった。記事と同様に、<地下水環境基準の十倍までは許容範囲だから空洞のままでよい>という日水コンのシミュレーション結果が示され、都側は「把握していない」との答弁。しかしその後百倍が検出。当ブログ見解としても、排水基準を超える汚染を許容することは無理筋と思われ、今後早期移転派のアキレス腱になる可能性あり。

豊洲市場ベンゼン問題 「地上」の健康リスク指摘した報告書を都の専門家は“無視””2017年4月17日 週刊金曜日
<都は、盛土がなくても安全性は担保されるのか気になったらしく、日水コンに地下が空洞になっている場合の安全性の評価を委託、報告書(15年3月、「豊洲新市場事業における地下水管理システムに関する施設等修正設計報告書」)を得ていた。
共産党都議団が昨年入手したその報告書によると、同社は専門家会議が使ったのと同じリスク評価モデルを使って計算し、「土壌汚染対策により地下水水質が環境基準に担保されれば、床下空間が空洞の場合でも発がんリスクは目標発がんリスク(10万人に1人)を下回ることが示された」と結論付けている。そして、「地下水環境基準の約10倍程度までは許容される」とし、目標地下水濃度は0・118㎎/L(ベンゼン)としている。
この結論にあてはめて考えると、今回の100倍という数値は「許容される」濃度のさらに10倍で、到底許容されず、地上も安全とは言えないのではないか。この点を平田座長に問い合わせたが、「専門家会議は、日水コンの数値解析については関知しておりません」との回答だった。>

③根切り深さを除く高さまで盛り土
環境アセス案(2010年11月)や日建プロポーザル(2011年1月)は、この仕様になっていたことが分かっているが、2011年3月の応用地質㈱による報告書も同内容だったことが明らかにされている。「根切り深さ除く盛土」は、相当コンセンサスが得られていたように思えるが、何故これが全く盛土なしになったのか再調査すべき。都議会の追求が甘い。

○西沢委員民進党) あさの議員が経済・港湾委員会で質疑をしてまいりましたが、実際に盛り土をしないと決めた期間というのがどの辺にあるのかということですが、平成二十三年三月の応用地質株式会社の土壌汚染対策工事設計報告書には、AP四メートルまできれいな土で埋め戻すとあり、砕石層の上に二メーターの盛り土をすることと理解できるわけでありますが、建物予定地以外は、予定どおり、さらに二・五メートルの盛り土をするというようにあります。建物予定地には、建物基礎工事等の根切り深さを除く高さまで盛り土をすることになっていたということであるが、そういう理解でいいのか、お伺いいたします。 
○村井基盤整備担当部長 平成二十三年三月の報告書によりますと、APプラス四メーターまで購入土などのきれいな土で埋め戻し、計画地のうち、新市場の建設予定地以外はAP六・五メーターまで盛り土をするとされております。また、建設予定地は、AP六・五メーターから建築基礎工事などの根切り深さを除く高さまで盛り土をするとなっております。 

追記以上