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遮水不完全(4)雨水浸透は少ない

当方ブログの水位問題についての以前記事に対して、特に「雨水浸透」に関するコメントを頂いていた。
コメント:すうさん2017/8/24
個人的には地下水位上昇要因が降雨による浸透水の影響のみというのはありえないと思っています。
豊洲の構造から考え、周囲を防水壁で囲み、緑地帯以外はコンクリートアスファルト・建物で覆われる構造であり、緑地帯には浸透防止のための人工不透水層が施されている構造であり、しかも雨水汚水分離下水道となっているこの地区においては雨水浸透はより少ない状況になります。

これほど早い地下水位上昇が見られる場合、河川河口域であることを考慮すると伏流水による湧水を疑わないといけないと思っています。(河川河口域では海水中に伏流水による淡水湧水があることは珍しくなく、釣り人にとっては絶好の釣り場を提供する事も知られています)

計画上の地層調査では防水壁下部には難透水層が存在し、封水状態となっている筈ですが、土壌汚染対策で行われた加圧注水と揚水浄化による汚染物質溶出作業の影響なのか、そもそも不連続難透水層しかなく底が抜けた応対だったのかは全くわかりませんが、これだけ早い降雨量反映は他に考えにくいのです。
市場区域外に比較観測用井戸がないのも何が起こっているのかわからない一因でもあります。>

→最後のところで「市場区域外に比較観測用井戸がない」とされておられるが、これまで紹介してきたように、都は敷地外に2箇所の観測井戸を作っていることが、2017年8月環境影響評価審議会の資料で判明。そのデータをWADAさんが入手して分析されたため、このコメントの的確性さが改めて浮上。

そして「緑地帯には浸透防止のための人工不透水層が施されている構造」とされている点は、当初2013年検討資料では緑地の地下に遮水層が設置されておらず、この時に「緑地の浸透率85%」という数字が出ていた。

イメージ 1

 
イメージ 2

しかし、その後の設計では下図のように、緑地下に遮水層(ベントナイト層)が設置されたため、最終的な地下浸透率は85%より大幅に下がっていることは確実。
イメージ 4

ただし、最終的な緑地の地下浸透率は不明だが、ベントナイト層も遮水性は高い。更に、大きな面積を占める建物への降水は、「屋根等から直接下水道管へ流入」と上掲「資料3 頁2」で示されている。結果的に上記コメントのように雨水の地下浸透は少なくなる。また、舗装部分の浸透率も15%ではなく8%で都側が計算している資料も有る(もっと浸透少ない可能性は?)。

このように豊洲市場用地は大幅な浸透抑制が実施されている。もし敷地内外とも降雨に連動して変化するとしても、敷地内は浸透抑制により変動幅が少なくなる。しかし、実際のデータは「外部と内部の水位変動幅が殆ど同じぐらい」という異常状態を示している(グラフ再掲)。
イメージ 3

技術系のかたであれば、この連動性を内部と外部の繋がり以外で説明することは不能と容易に見抜かれるのではないか。それでも都と専門家会議平田座長らは、虚偽・詭弁を繰り出して誤魔化し切ろうとするかも知れない。参考として、今までの都の誤魔化しを次記事で分析する。

なお、追記で水位目標が達成できない場合の課題を挙げる。

以上
[追記]
水位目標未達(外部から地下水流入)の場合の課題
①外部からの「汚染流入」可能性
敷地外は汚染対策されていない箇所も有り、汚染濃度が高い(下図参考)。そこから流入してくるのでは、汚染対策の根幹が崩れている。
また、環境影響評価書の「変更届」では次のようになっている。
P23<④  今後の地下水管理による地下水の水質への影響 本事業の計画地は準備工事として街区周縁に遮水壁を設置しており、計画地外の地下 水の移動は遮断されていることから、降雨等に伴う計画地の地下水の増加に対しては、 地下水管理システムにより水位を管理するとともに、地下水管理システムからの排水は 下水排除基準以下としたうえで公共下水道へ放流することで対応する。 また、遮水壁により計画地周辺からの地下水の流入は無いことから、新たな地下水汚染のおそれはなく、地下水管理システムにより地下水を日常管理水位に保つことで、計画地に存在する汚染地下水は徐々に回収される。 そのため、地下水管理システムを稼働させることで、計画地の地下水の水質は中長期的に改善される。>
→虚偽のオンパレード

液状化対策
市場問題PT1次報告書”で地下水位AP+1.8m以下維持の必要性が述べられている。
P91<(5)豊洲市場液状化対策 
・・・
〇これらの液状化判定は、市場施設完成後に、地下水位をA.P.+1.8m に維持することで、 液状化しない表層を4.7m確保することにより担保されている。また、A.P.+6.5m より A.P.+2.5m までの埋め戻し土の締まり具合によっては、地震時の地盤沈下、地下水上昇 時の液状化などが問題になる可能性がある。したがって、地下水位を A.P.+1.8m 以深に維持することが必要である。>

50cmの砕石層は毛細管現象防止用であるが、水位がAP+2.5m以上になると、毛細管現象防止が効かなくなる。

④盛土再汚染懸念
水位がAP+2.5m以上になると盛土再汚染の懸念が発生する。また、実際にAP+2.5m以上の高水位が継続した箇所が多いにも関わらず、都は再汚染のチェックを行おうとしない。無責任の極み。

⑤根本的設計破綻
敷地の遮水は豊洲市場の汚染対策の根幹施策である。それが破綻しているにも関わらず、調査も行わず開場強行など全くの暴挙。

⑥維持費
ウェルポイント(WP)工やポンプの追加で、維持メンテ費用はどれだけアップするのか。特にWP工は長期運転を想定した工法ではないと思われるが、水位が下がらなければ継続運転も考慮と都側は安直なことを言っている。それで一体幾ら費用がアップするのか、また50年間も動かし続けるのか。WP工の問題は、また別途取り上げる予定。

追記以上