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遮水不完全(5)都主張の欺瞞と姑息なWP工

昨年の環境影響評価審議会で、都側は水位目標に到達出来ていないことに対して、以下のように虚偽レベルの説明をしていた。

 P14~<○藤倉委員 …御説明の中に、どうして地下水の水位が高いのかという点と、この工事をすることで本当に下がるのかという点の御説明がなかったかなと思いますので、その点を1つお願いしたい。
○池田アセスメント担当課長 まず最初に、地下水をA.P.+1.8mに管理できなかった原因でございますけれども、主要建物の建設工事中につきましては、敷地内の地下水をポンプでくみ上げて、仮設の排水設備を設置して排水を行っておりました。ただ、平成28年7月から8月にかけまして外構工事が進みまして、その際に仮設の排水設備を一時撤去せざるを得ない状況になった時期がございます。地下水管理システムの本格稼働は10月でございますので、ちょうどこの時期に台風等の影響によりまして相当量の雨が降ったことから、地下水の水位が上昇したものと市場のほうでは考えてございます> 

→審議会より1年前の「2016年7月から8月の大雨による高水位の影響」が残っているという無理な言い訳。その後、同年10月に最大5.44mの高水位が発生しており、過去の大雨の影響が残って高水位になっているわけではないことは明らか。虚偽と言って過言ではないレベルの酷さ。

また、昨日6月20日の水位データを示し、特徴の概要を見てみる。
イメージ 1

①3m超1箇所:4月からWP稼働でも下がらず
②隣接井戸間の水位差大:街区内全体でも大きな水位差
③地下空間水位2m超箇所:ポンプ追加でも1.8m未達
④2日で23cm上昇箇所:大雨でも20cm以内のはず

⇒審議会から更に約10ヶ月も経っているにも関わらず、「①3m超水位」が存在するなど、東京都の説明は破綻している。

結果的に審議会の資料や説明が実態と異なっており、環境影響評価条例違反の状態。開場再延期して、①~④などの原因調査や、それに基づく再審議などが必須。

また、①~④や、これまでの記事で説明してきた「敷地内外の水位連動」などを、都が「遮水万全」の前提で説明することは困難ではないか。「遮水不完全」と考えざるを得ず、外部地下水との繋がりがある場合は、豊洲市場の根本的設計思想が実際は実現されていないことになる。市場として長期間の使用は問題があると言わざるを得ない。

しかし、都側は前述の無理な説明を押し通そうとしており、水位を低下させられない状態に対しては、「ウェルポイント工法」という真空ポンプによる揚水を、駐車場や道路、緑地などを掘り返して設置し、強引な水位低下を図っている。

同工法は、設置した周囲の水位を効果的に下げられるが、影響範囲は狭い。そのような工法を用いてまで、見かけの水位低下を演出しようという姑息な都のやり方。(同工法の設置に関しては、”「[都政163豊洲市場] 観測井戸とウェルポイント工の場所」”などの記事参照)

関連して、本年4月24日に追加対策工事のマスコミ向け説明会が有り、その際に都や平田座長は次のように述べたとのこと。(週刊ダイヤモンド 岡田記者記事「豊洲地下水管理のまやかし」)

(1)「局所的に地下水位の高い箇所にWPを設置している」(都中央卸売市場の山本・環境改善担当課長)のであり「WPを設置した箇所の地下水位が下がってきているのは事実」
(2)追加対策工事自体は7月中旬にも完了し、専門家会議は同月末までに工事の効果を確認する計画だ。その際、WPで一時的に低下させている地下水位(動水位)については「一度、WPを止めて本来の水位(静水位)に戻したうえで判断する」(同)
(3)WPによる揚水をいつまで続けるのかについて「雨水が染み込みやすい植栽のある地点で続ける可能性を検討しているが、まだ何も決まっていない」(同)
(4)(山本課長の)「WPをいつまで続けるのかわからない、という話もあったでしょ?いつまで続けるのか、今は判断できない」(専門家会議の平田座長)

⇒「追加対策工事完了後に、WPを止めて静水位にしてから水位確認する」とのことだが、これまでの考察のように外部との繋がりが有ると考えられるので、WPを止めたら水位は迅速に上昇すると予測される。(岡田記者はWPによる水位低下を「追い風参考記録」と呼んでいる)

そのため「WPは止められない」と云うことになる。しかし、以下写真例のような、いかにも工事中という形態で開場後もWP稼働を続けるのか。(基本的には、追加工事の発注仕様書で「WPの稼働期間は80日」となっている事実も有り)
イメージ 2

稼働継続の場合のメンテや維持費用も課題になるが、明らかになっていない。しかも、現在WP稼働中の上掲水位表の状況を見れば、稼働継続でも目標水位AP+1.8mを達成できない箇所が複数発生することは確実と思われる。

更にAP+1.8mを達成してもWP周辺の地下水位が下がったからと言って、敷地全体の地下水位が下がっていると判断できる理由には、ならないのである」(岡田記者)

また、「静水位を判定をする期間は、梅雨を過ぎた7月中旬から同月末までの、1週間から10日間というわずかの期間だ。1年間の降雨量の大小やゲリラ豪雨の可能性を加味した判断ができるのかどうか、疑問である」(同)

加えて、市場業界の開場の前提条件は「7月中に対策効果の確認完了」まさに八方塞がりの状況。しかし、都と平田氏らは、今までやってきたように詭弁や虚偽を使って、問題を隠蔽しようとして来るか。

以上