砕石層・液状化対策の範囲
昨日記事に対して「ペコ」さんから次のコメントを頂いた。
>6街区の資料(構造図)を持っていますが、
>構造設計上は、建物直下は地盤改良が施されていますよ。
それで更に建物下の考察を行ってみることにする。
まず、技術委員会の資料にある図で「土壌汚染対策の概要」が示されている(図Aとする)。図中のコメントに①~⑤番号付与。
[図A]
まず②は現在大きく注目されている盛土(と埋め戻し)の部分。その上部に①がある。①-2のコンクリートは卸棟などの建物底部、①-1のアスファルトは建物外の通路や駐車場などを指している。①-1、2ともに、その下の土壌は同じ構成で描かれており、②盛土も全体に施されていると読み取れる。しかし、実際は違っていたことが今回判明。
盛土の件は大きな波紋を広げているが、③砕石層も全体に敷設されていると認識できる。この図と同様のものは中央卸売市場HPの「新市場Q&A」などでも使用されている。もし砕石層が建物下に無ければ、間違った公式説明という点で盛土の件と同様の問題になる。また、液状化対策も、④を見れば上部の①-1,2に関わらず実施されていると受け取るのが自然だろう。
次に③砕石層について更に考えてみる。技術会議の資料に掲載されている別の図(図B)には、砕石層が建物下にも存在するように書かれている。
[図B]
「建物下には地下水排水対策用の砕石層を設置」と明記されており、建物下での効果をうたっている。それで砕石層が無ければ大きな問題になる。
しかし、技術会議の工事仕様に関する図で、建物下が「砕石層設置」の対象範囲に入っていないのも明確な事実。「ペコ」さんが構造図を持っておられるのは6街区(水産仲卸棟)と云うことで、比較用として6街区における砕石層設置の面積割合を概略計算。
[図C]
また、6街区における④「液状化対策」の面積割合も計算してみた。同様に約三分の一程度になっている。
[図D]
ここで「ペコ」さんのコメント、「構造設計上は、建物直下は地盤改良が施されています」を考えてみる。
昨日記事でも示した東京都の「豊洲新市場予定地の耐震対策の考え方」(以下「東京都考え方」)に「建物下の液状化対策は行わない」との記述があり、建物下に液状化対策が無い方が整合性が取れることになる([補足]で参考情報記載)。
そうなると、「ペコ」さんがお持ちの構造図にある「地盤改良」は、「液状化対策」とは別の処置と云うことは考えられないだろうか。そしてそれが図Aの⑤「土地も地下水も環境基準を超える汚染物質は確実に除去します」に当たらないだろうか。つまり、⑤が何らかの地盤改良を伴うと想定すれば、④「液状化対策」とは別の処置ということも有り得るのではないか。
現在の考察はここまでだが、結局は実際の図面で確認するのが一番ということになる。まずは、図Cで検証した技術会議の砕石層設置範囲が有るから、「構造図上で砕石層が建物下にも有るかどうか?」について、「ペコ」さんお持ちの図面で確認できないだろうか。
更に、「液状化対策も併せて建物下の現況が図Aに対してどうなっているのか?」 が重要になるが、今後どの都議やマスコミなどでも早急に現場調査を期待。
なお、構造設計家の高野氏は、「がらんどう」指摘を含め重要な指摘を複数しておられる。現在当方で認識しているのは以下4項目。
(1)床の押さえコンクリート厚さ1cm になっている→実際は15cnと判明
(2)耐震性能の計算は、豊洲の構造では1階からではなく地階から行うべきではないか
(3)構造計算における「振動特性係数」の扱いがおかしいのではないか
(4)地階が「がらんどう」→都の従来説明と違って盛土無しが判明
(1)と(4)は都側が誤りを認めた形になった。(2)(3)は継続中と思われる。特に(2)は、構造計算に大きく影響する可能性も有ると思われ、今後が注目される。
以上
[追記]
<東京都では、新市場予定地において建物建設地以外の部分で地盤改良等の液状化対策を予定している。>
両会議とも認識していて、「建物下も液状化対策を実施」にするなら、「東京都考え方」に反する対応になる。結果的に、「建物下は液状化対策を実施しない」というのが正当な仕様。「東京都考え方」の是非は別にして、実際の構造図でどうなっているか確認できるか。
なお、「東京都考え方」では、「緑地での液状化対策は行わない」という記述になっている。技術会議ではこれを変更して「緑地」の下も対策している。ただし、これは議事録に変更が書かれているが、建物下の方は現在のところ変更の記述は見あたらない。
追記以上