kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

「盛土抜け」、及び「液状化対策の有無」

昨日小池知事が緊急会見を行った「豊洲新市場の地下に盛土が無い」件は、共産党都議団撮影の写真で一目瞭然。
イメージ 1

早速マスコミが各社取り上げており、例として今朝のNHK解説記事。
<盛り土の工事は、土壌の汚染を受けて設置された専門家による会議が敷地全域で行うことを提言していましたが、東京都は建物の地下には盛り土を行わない方針を会議に報告しないまま決定し、工事を行っていたということです。
そして、工事の完了後も、都のホームページでイメージ図を掲載するなどして、敷地全体に盛り土を行ったという事実と異なる説明を続けてきたということです。・・・
豊洲市場にある水産卸売場や青果棟など、建物の地下には配管や配線が通され、空洞となっています。盛り土を行わなかった理由について、東京都は配管などを修理・点検するため一定のスペースを確保する必要があったとしています。
それぞれ建物の1階の床は、土壌汚染対策法の運用指針で定められた基準の厚さ10センチを超える厚さ35センチほどのコンクリートで覆われていて、都は、盛り土をしなくても土壌汚染の影響はないと判断したとしています。>

この記事では「専門家による会議の提言を都が方針変更した」と云う趣旨になっている。しかし、昨日会見で小池氏は「土壌汚染対策について二つの専門家委員会が存在した」と述べていた。東京都中央市場のHP”豊洲市場に関する会議資料”によると以下の二つ。

(1)豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議(以下「専門家会議」)
  …2007年5月~2008年7月まで9回会議実施、座長:平田健正 和歌山大学システム工学部教授、
(2)豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議(以下「技術会議」)
  …2008年8月~2014年11月まで18回会議実施、座長:原島文雄 首都大学東京学長

この二つの会議の関係は、次のようになっている。
<都は、平成20年(2008年)7月26日に、専門家会議から新市場予定地の土壌汚染対策に関する報告を受けました。この報告を踏まえ、都の土壌汚染対策計画をとりまとめるため、技術会議を設置し、技術工法などの評価・検証を行いました。> 

両会議で盛土に対する考え方が異なっている。
①「専門家会議」…「建物建設地」と「建物建設地以外」とも、盛土4.5m(追記①参照)
②「技術会議」…「建物下」は盛土無し、それ以外の盛土は(基本的に)4.5m(追記②参照)

前述のように技術会議の方が後なので、②の方式が現在の状況になっていると想定される。
建物地下に関しては先週日曜日の新報道2001で、高野氏から「がらんどう」になっているという指摘があった。その実態が今回明らかになった。更に、本日の新報道2001(以下「本日番組」)では、技術会議の報告書にある「建物下の盛土は無しで、それ以外は4.5m」になっている図が森山氏によって紹介された。

当方も昨日から調べてこの図(追記②参照)に到達し、建物下に盛土が無いのは仕様であり、業者が勝手にやった手抜き工事などでは無いことは明らかと考えていた。ただし、技術会議で変更された経緯は不明だが、追記の最後に若干考察実施。

建物下に盛土が無いことの影響については、上掲NHK報道にあるように、都の担当者は「厚いコンクリートで覆われていて土壌汚染の影響はない」としているようだが、担当者としては現状こう言うしかないだろう。
しかし、35cmのコンクリートは地下空間の天井に当たる1階床部分のことを指していると思われ、地下空間底部のコンクリートは10cmと本日番組で指摘されていた。継ぎ目等の防水対策も無い可能性あり。

それで地下部分を技術会議報告書でもっと見てみたところ、盛土だけでなく、”建物下は「液状化対策」も「砕石層設置」も実施しない”という仕様の図になっている。

訂正…下図のように、技術会議最終会合だった第18回の説明書では、「建物下の液状化対策と砕石層設置は無し」という図になっている。しかし、同回の議事録で「建物建設時に、別途液状化対策と砕石層設置が行われる」ことが事務局から説明されていた(9月20日記事[追記]参照)。そのため、以下は技術会議第18回時点の参考情報としてご紹介し、最終処置とは異なります…最終的には建物下に液状化対策と砕石層設置が有ると思われる

イメージ 3

液状化対策を行なわない理由としては、東京都の「豊洲新市場予定地の耐震対策の考え方の「3.各施設の設計の基準」にある「建物下の液状化対策は行わない」という記述が根拠になっているようである。

しかし、次のような記事も有る。
<土壌汚染でもっとも心配なのは、地震による液状化によって地下から汚染物質が大量にわき出てくることですが、これについても液状化対策の工事が施されました。
 ただ、地下4.5メートル以下の土壌では現在でも基準値の10倍程度の汚染物質が残存しており、移転に反対する人たちからは疑問視する声が上がっているようです。>

このような観点からすると、建物下の液状化対策不要とはなりにくいのではないか。関連して、冒頭写真に見える水の出所も早急に究明しておく必要があるだろう。
結果的に疑問点が多いので、土壌汚染の影響有無は別としても、延期自体は確定だから延期期間中にしっかり調査・論議を行ってもらいたいと思う。

以上
[追記]
①専門家会議の盛土方式
以下のように表と図で、上記①”「建物建設地」と「建物建設地以外」で盛土のやり方は同じ”ということが明確に示されている。
イメージ 2


②技術会議の盛土方式
建物下の盛土はない。その仕様を示す資料で、技術会議として「盛土の工事完了状態」を確認したという報告書が有る。抜粋とポイントを示す。
イメージ 5


ただし、例えば東京都中央卸売市場HPのG&A資料では、以下のように建物下にも盛土がある図になっていて、東京都と技術会議で食い違いがある。
イメージ 4

都側の確認不足が主因かも知れないが、技術会議側も報告書等で「建物下とそれ以外で構成が違う」ことをもっと明記すべきだった。また専門家会議の提言を変更するにあたっての配慮も欠けていたのではないか。
土壌汚染への影響は別としても、双方がこのような仕事ぶりでは他にも何か問題が有る可能性も考えられてきて、少なくとも経緯や経過の調査は必須。

結果として、なぜ技術会議でやり方を変えたのかは現在不明だが、手掛かりとして、本日番組で猪瀬氏が「技術会議の第7回第8回ぐらいでそうなった」というような話をしていた。経緯詳細は不明だが、当時の議事録を見ると、「業者から提案を公募し、その中に『地下活用する案』が有った」ように読み取れる記述有り。実態は今後の正式調査で明らかにされていくと思われる。

追記以上