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耐震性指摘(新報道2001高野一樹氏)

本日9月4日のフジテレビ「新報道2001」で築地市場移転が取り上げられた。その中で「高野一樹」氏による豊洲構造計算への指摘があった。重要な内容と感じたので画面キャプチャ付きで文字起こし実施。その後に考察を行った。

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<構造計算書を見ると構造計算のプロ高野氏は「まだまだ不可解な部分がある」と言う。
「もともとこの建物『あれ?』と思ったのは、ちっちゃい図で凄く見にくですけども、これ軸組図といって建物の構造的な高さ方向の画です」>

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<高野氏が着目したのは6街区水産仲卸棟を横から見た断面図だ。その1階床下に大きな疑問を持ったという。「これ宙に浮いているわけですよ、1階の床下が」 
図面から読み取ると、建物の1階床下、ここ地下部分に大きな空間が存在しているのだ。
「4メートルとか4メートル50センチぐらい、がらんどうな部屋状態になっている。何に使うかわからないですけど」
フジテレビの1フロアの高さは2.62メートル。つまりオフィス1フロア以上の空間が広がっている。>

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<高野氏はこの空間が地震の耐震性に大きく関係していると言う。
「この構造計算書と言うのは、1階の床は動かないという前提の計算書。だから揺さぶられるのも、この設計GL(地面)よりも上。そう、この建物の構造計算書は地上部5階分の建物が揺れることを基に耐震力が計算されている。
「ところがもしね、地中ががらんどうなんだから本当に揺れる時の高さって、ここから(地下1階の高さから)の高さなんじゃないの?っていう、そういう疑問を僕は持ったんですよ」
(なるほど、5階建ての建物なんだけど)「実際は6階建てぐらいの高さで揺れるんじゃないの」
つまり地下1階ほどの大きな空間があるのならば、地下1階の底から揺れを計算すべきではないか、というのだ。>

イメージ 4
<「私たちは技術者だから、一定のルールの下で仕事をしてるんだから、実際に設計された人にちゃんと反論してほしい。常識的な説明を受ければ『ああそうだよね』という話になる。そうしたら私も含めて皆さん安心できる」
我々(フジTV)は設計会社と東京都に「地下を入れた6階建てとして構造計算すべきではないか」との声が出ている、との質問状を送った。
設計会社の答えは「契約上の守秘義務がありますので、申し訳ございませんが設計内容に関しては弊社が直接お答えできる立場にございません」東京都は「地震力の設定方法については、設計を委託した設計事務所の専門家の判断に基づいています」都民が利用する施設の詳細な情報が開示されない。>

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[考察]
以上を整理してみると、高野氏主張のポイントは「地下1階から計算すべきと思われるのに、1階からで計算されているのは問題ないのか」ということに集約されると思われる。それに対してネット上では、例えば以下のような見解が出ている。
山本一郎(やまもといちろう)@kirik 2016年9月3日
ちなみに、日建と関係ない構造計算の人たちがタレ込んできた内容では、あの図面だけで断定はできないが、もしもあの水平力の計算が特定の計算方法でアウトだと言い切るなら、大口のビルや地下駐車場つきのショッピングモールなどが違法になる建物続出してしまうのでは、詳細を待ちたいという感じでした>

確かに地下に空間がある建物は数多いので、この反論も、もっともな面がある。まずは、通常の地階を持つ建物が、地下から計算されているか、地上から計算されているか?  両方とも地上からで同じなら、通常建物と豊洲での地階及び1階の構造比較。色々条件は有るだろうが論点は絞れて、構造設計者同士で話をすれば分ると思われ早期究明を期待。

小池知事が都の担当者に指示すれば、担当設計会社から説明することも可能と思われる。それを見て在野の構造設計者らが、また検討することも出来ると思う。まず誰が小池知事に伝えるか。フジテレビが今週の定例会見で本件について知事に質問できることを期待したい。重要な問題で今後の進行が注目される。

なお、上記ツィート者の「山本一郎」氏は、橋下氏と同じく「延期すべきでない」という主張を行っていたので、橋下氏同様に「小池氏の立場も読めない人」と感じていた。(築地市場は早々に移転するべき”2016年8月29日)

ただし、延期決断が下された後は、さっそくブログで次のように「仕方ないのかな」としておられる。
<なお、私自身は「さっさと移転したほうが都民の利益になるんじゃないの」と思うほうですが、確かに小池百合子女史は都知事選のなかで「いったん立ち止まる」を公約にしていたのと、11月7日の移転予定日は市場においては年末年始の超繁忙期に重なるため混乱することもあるだろうから、多少の延期は仕方ないのかなとは思います。それだって、金はかかるわけですが。 >

ブログタイトルからしてもキャラ(切込隊長?)優先で先鋭的に書いておられるのかも知れない。ただ、新国立競技場にもコメントしておられるが、これは頂けない。キールアーチの何が問題だったかを理解せずに書いておられる。
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短い文の中にも色々事実誤認が含まれているが、例えば<キールアーチが地下鉄にぶつかるとか珍説>と云う件。同じように言っている人は他にもいたが、では「地下鉄にぶつからない」という証明はされているのか???

 当方は新国立競技場問題を詳細に見てきたが、証明は見たことが無い。また、「地下鉄干渉」と言うとセンセーショナルなイメージがあるのかも知れないが、当ブログでは「キールアーチ支持部が工事を含めて敷地内に収まるのか?」という命題と捉えている。その証明も見たことは無いが、アーチタイ追加によって命題自体が消えたようになった。それで「地下鉄干渉」説に関しては根拠を示さないままでの批判だけが残った形になったが、肝心の「アーチタイ」についても不透明なままで「施工可能な図面」は未だに確認されていない。

山本氏は、このような事情を殆どご存じなくて書いておられると推測される。少なくとも昨年の「文芸春秋9月号 由利俊太郎氏記事」などは読んでいただきたいと思う。情報収集が不足しているように思われ、著名なブロガーである山本氏が、このようなアプローチの仕方なのかと少々残念に感じた。

新国立競技場問題は当ブログとして検証継続しており記事再開も考えているが、築地移転問題が大きくなって埋没しそうなのでタイミング検討中。新国立競技場の真相解明のためにも、上記の豊洲構造問題は有耶無耶にならないように、関係者で明確に決着をつけてもらいたいと思う。

以上