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都側調査報告書「地下空間を埋めた方がコスト圧縮」

盛土について様々な論議が行われて来たが、重要要素であるコストについて誤解が広まっているように思う。例えば、先日のTVタックルで東国原氏が「盛土はコストがかかる」と発言。
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東国原氏:(専門家会議は)法的拘束力は無いんですよ。その専門家会議が盛土をしましょう、盛土が安全と言いました。東京都は「いや、盛土はコストがかかる、工期(注:聞き取りにくく「工費」かも)がかかるんで、すいません盛土は止めましょう」って話でしょ。それを「勝手に都がやった」という話になるんだけど、そもそもは専門家会議というのは、法的拘束力が無いわけだから、東京都は専門家会議の意見を丸々呑まなくていいんですよ。
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これまでの論議の中で、東氏と同様に考えておられるマスコミや識者等、或いは一般の方々も多いと思われる。しかし、ここに大きな誤解がある。東京都の調査報告書では次のように逆のことが書いてある。
イメージ 3

①はモニタリング空間設置する件だが、続く②は「地下空間を埋めたほうがコスト圧縮になる」という趣旨。③では「モニタリング空間の高さを出来るだけ低くしたほうが、コスト・工期が抑えられる」という見方が示されている。
埋めるのは「盛土」になるだろうから、東氏の認識とは真逆だが、公式調査報告書の記述はこうなっている。この事実を皆さんにお知らせしておきたい。

また、佐藤尚巳氏は前回PTで以下のように発言されている。
<下から組み上げたことによって構造的に恐らく増えたであろう分量というのは1メートルからせいぜい1.5メートルくらいの構造の費用です。>
→この「1メートルから1.5メートル」の費用について、佐藤氏は余り問題にならないと考えておられるようである。それはこの後に、<この地下空間というのは決して高い、コストのかかった空間ではありません>と述べておられることでも分かる。
しかし、上記③で都側担当部門は「空間の高さを出来るだけ低くしたほうが、コスト・工期が抑えられる」という認識。天井が高い空間は配管等の自由度は上がるが、空間が大きくなることで構造的にコストがかかることを想定していたと思われる。前回PTは調査報告書公表の前であり、「都の技術系の方の英知」とされたのは、やはり早すぎたか。

以上
[追記]
本日PTで中心議題になると思われる耐震性で、重要なポイントになりそうなのが「緩衝材(ポリスチレンフォーム…商標名「スタイロフォーム」)」。これが映っていると思われる動画があった。小池氏会見後1週間ぐらいして報道陣に地下空間が公開された際の映像。
豊洲市場の地下を取材 深まるナゾ…”NNN 2016年9月16日 (2分ぐらい~)
これを見ると、ポリスチレンフォームは地下空間の天井の方に入っているようである。

イメージ 4

更に都職員が構造について説明している場面も有った。
豊洲市場の地下空間 カメラが初潜入 ”東京MX 2016/09/16 (1分20秒ぐらい~)
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職員の手の先にあるのが「擁壁」と思われる。こうやって見ると、やはりポリスチレンフォームは上の方だけのようで、それより下は擁壁が全面的に見えている。結果的に建物と地盤(擁壁)とは構造的につながっていないから、職員も「構造体として切れている」と明確に言っている。

地下空間の外周が開放になっているということは、これまでも予測していた、しかし、実際にドーンと擁壁が見えて、しかも都職員の「切れている」という説明があるので、個人的にはインパクト大。まさに基礎「ピロティ空間」という状態が実証されている。構造面での高野氏らと日建設計側とのやり取りが注目される。

また同日の取材では、低い位置にある配管が見やすい映像が多くある。

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昨日記事でも述べたように、現状地下空間がミニ重機使用想定されているか?は非常に重要なので、このような映像や画像を見ながら日建設計側に聞いて頂きたい思う。また、2011年6月の基本設計図、2012年12月実施設計図には地下空間がある。それぞれの段階でミニ重機使用が考えられていたかどうか?、都側からの指示や要請はどうだったか?、などを時系列で日建設計側に確認していただくと、盛土問題の解明が進むと思われる。

また、配管配置だけでなく、上から長く伸びた支線などで吊られている点も気になる。大地震での振れ想定やその対策はどうなっているか。ただし、配管は余りにも普通の設計マターだから、よもや耐震の考慮が甘いなどということはないと思う。しかし、地下だから揺れが少ない想定での設計だと、地下空間を1階と考えるかどうかで影響は考えられそう。やはり、PTでの耐震論議が重要になってくる。

以上