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技術会議「工事概要図」変遷の疑惑、及び(続)砕石層・液状化対策

建物地下に盛土が無かった件について、日テレが都庁幹部に取材した内容が「バンキシャ」で放送された。

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「気がつかなかった」という安直な理由だが、これにも疑惑がある。
技術会議は第18回まで行われたが、現在マスコミで頻繁に出ている図のベースと思われる「土壌汚染対策工事の概要…対策のイメージ図」(以下「工事概要図」)が、第16回会議の説明資料から掲載された。この資料はバージョンアップしながら第18回で完結した形になっている。その中の工事概要図の変遷を示す(第16回=第17回≠18回)。

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第16回と17回にあった「市場建物」の部分が、第18回では無くなっている。それに合わせて土壌の上は「アスファルトまたはコンクリート」の表記に変わり、建物部分(コンクリート)とそれ以外(主にアスファルト)を一緒にした表現になった。(拡大してご覧ください)

他の部分は変わっておらず、何故建物の部分を消したのか、非常に違和感がある。案件の検討が進むほどに説明が詳しくなっていくのが普通だが、逆に肝心な内容が消えている。実際に建物はあるのに図では無くされてしまい、コンクリートアスファルトも一緒にされて位置が曖昧にされた。これは一体どういうことか。

盛土無しに変更しても、建物下に空間表記する変更を行わなかった理由について、都の担当者は「思いが至らなかった」と釈明したとのこと(日経新聞)。しかし、実際はそれまで有った市場建物の部分をわざわざ消して、建物下の存在を分りにくくする方向に思いを至して変更していたようである(笑)

事情を推察してみると、まず技術会議では現地で進捗状況確認を行っている。建物下の状態は一目で分かるから、現場と工事概要図が大きく異なることに気付いた都側担当者や委員がいた可能性は有るだろう。それで建物下を曖昧にするよう図を変更したと考えられないだろうか。もしそうだとすると、都側や技術会議の対応に不信感を抱かずにはいられない。さて皆さんは、偶然にしては違和感一杯のこの変遷をどうお考えになるか。

関連として、9月7日に地下を撮影した共産党都議団の大山都議が、その際の状況を次のように趣旨説明していた。
「(環境基準以下だが)ベンゼン濃度が各棟中で最も高いという結果が出ている青果棟の地下を見たいと要請したら、都側はコンクリートも貼ってなくて『砕石が剥き出し』ということで入れてもらえなかった。 そのため水産卸棟の地下を見て撮影した」

都側説明の「青果棟地下は砕石が剥き出し」というのは、当方にとっても非常に重要な情報。
昨日記事で紹介した以下の技術会議説明書「砕石層設置図」において建物下は砕石層設置範囲(グレーの部分)に含まれないことと合致しない
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読売新聞から以下の記事も出た。
<「青果棟」の地下空間の床にはコンクリートがなく、地下水の上昇を防ぐために都が敷設した厚さ約50センチの「砕石層」がむき出しになっていることが、都への取材でわかった。>

しかし、技術会議説明書の図の記述も明確なので、早く青果棟地下の砕石層実態を確認してもらいたいと思う。ただし、都の担当者は「酸欠」の可能性まで持ち出して、共産の同棟地下見学要請を拒んだとのこと。都議でもマスコミ等でも、都側と再調整して迅速に同棟の地下状況を確認願いたい。

更に昨日「砕石層」と共に記載した「液状化対策」についても、再度取り上げる。
上記の技術会議説明図変遷においても、「液状化対策が全領域で実施される」と認識できる表現は変わっていない。しかし、昨日の図を再掲するが、「砕石層設置」と同様に建物下は対象範囲外という工事仕様になっている。

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それでも、砕石層設置は液状化対策に比べれば充分容易と思われ、何らかの事情で技術会議資料の工事仕様とは別に建物下にも敷かれているかも知れない。
しかし、「建物下の液状化対策」については昨日も紹介したように「豊洲新市場予定地の耐震対策の考え方」(第6回技術会議参考資料)に以下の明確な記述がある。

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第6回議事録でもこれに沿って、「市場施設(青果棟、水産卸棟、水産仲卸棟等)の構造ですけれども、基準としては東京都財務局の構造設計指針によっております。設計の基準ですけれども、建物の基礎については杭を支持地盤まで打ち込むこととしております。それで、建物下の地盤改良による液状化対策は行わない」となっている。

建物下を液状化対策の対象外にした理由は書かれていないが、「東京都財務局構造設計指針による」となっているので、コストダウンは考えられるだろう。その場合、建物下も実施対象にしてコストアップさせることは指針趣旨に反するから、指針通りになったと推測するのが妥当のように思われる。

結果的に、「技術会議の工事仕様」と「東京都の耐震対策の考え方(財務局構造指針)」の両方から、建物下の液状化対策は実施されないことになり、実際もそうである可能性が有る。建物下の「砕石層」確認と並行して、「液状化対策」有無も至急調査が必須と思われる。

もし建物下には、盛土だけでなく液状化対策も無いとすれば、盛土と同様に都側が示してきた説明図と異なることになり、更に問題が大きくなる。また、もし建物下に液状化対策が実施されていれば、指針や技術会議仕様と違うことになり、その経緯調査も必要になるだろう。
今後調査の進展次第では、延期期間拡大や移転の是非までも含めて論議が広がり、混迷の度が深まることになるかも知れない。

以上
[追記]
盛土に関して以下のような記事が出ている。
”都、独断で盛り土中止 小池知事、再延期検討示唆 豊洲・建物の下”毎日新聞 2016年9月11日
<盛り土は専門家会議の提言によるものだが、都は独断で工法変更して公表していなかった。>

ただし、猪瀬氏が9月11日「新報道2001」で、「技術会議の第7回第8回ぐらいでそうなった」というような話をしていたことは当日記事で記した。それで議事録を見てみると、まず第6回で「地下利用する案」(案5)が言及されている。
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その後第7回8回でも取り上げられたが、工期延長や費用対効果などで課題もあり、第9回議事録で案5はボツになっている。このような経過もあったが、最終的には都側が独断で盛土仕様を決定したということだろうか。

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追記以上