地下利用に関する経過
「盛土問題」の波紋が広がって、朝から晩までマスコミで取り上げられるような状況。それにつれて「なぜ?」・「いつから?」という解明も始まっている。
例えば東京新聞報道がある(ポイントになると思われる動きに①~④当方付与)。
"豊洲市場 都、08年に地下空間案 盛り土提言を受けた直後" 東京新聞 2016年9月13日
<豊洲市場を巡っては〇八年七月、土壌汚染対策を検討する有識者の「専門家会議」が、①敷地全体を盛り土するよう都に提言。都の資料によると、この会議では「有害物質が建物内に入る恐れがあるため、地下施設は造らない方がいい」と指摘していた。
提言を受けて都は〇八年八月、工法を検討する専門家の「技術会議」を設置した。しかし、議事録などによると、都側は同年十一月の会議で、②地下空間を設けて駐車場などに利用する公募案を紹介。翌月には、地下空間を設ける理由として③「有害物質が検出された場合、浄化作業ができる空間が確保できる」と別の提案もしていた。
②駐車場などの公募案は工費や工期の問題から技術会議で却下された。④都は建物の下に浄化作業ができる空間を確保する案を設計に反映したという。だが、設計図面を技術会議の委員に示さなかった。豊洲市場の整備を担当する都の芳田浩司課長は「工法が変わったら専門家会議に戻して安全性などを検証するべきだったが、解散したこともあって検証が抜けていた」と説明した。
一方、技術会議の委員だった川田誠一・産業技術大学院大学学長は「地下も盛り土がされたと思っていた。実は空洞だと聞き、びっくりした」と話した。>
この中で、技術会議において②「地下空間利用案」と③「浄化作業空間」の二つの話が出ていることに注目。二つあることで、マスコミによってどちらか一方しか示してなかったり、混同があったりするので、分かりにくい状況が生まれている。
更に①「専門家会議提言」と④「建物設計」の話も絡むので余計ややこしくなってしまう。そのような中で、上記記事は、状況を的確にまとめて伝えていて東京新聞の仕事ぶりは評価したい。
ただし、当然ながら紙面字数の制約もあり詳細経過は載らないため、会議内容の抜粋等も入れた時系列表を作成してみたので参考に以下掲載。(なお、①の前に読売新聞記事から(注1)を入れたが、その説明は後記)
個人用整理でもあるので、何かお気づきの点等ありましたら、ご意見・ご指摘など頂ければ幸いです。
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< 東京都は2007年5月、豊洲市場の敷地の土壌汚染対策を検討する専門家会議を設置。初会合で都は、豊洲市場の建物下に地下空間を設け、市場で使われる荷台付き小型三輪車「ターレ」の置き場にする案や、配管などのメンテナンスに使用する「地下ピット」を設ける案を説明した。
この記事の参考用として関連議事録を示す。「地下を持っていない」という話が第1回からいきなり出ている(苦笑)
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2007年5月19日[第一回専門家会議議事録](抜粋)
○平田座長 それと、よくベンゼンがガスになって上がってくるということもございますので、大気に出ていってしまえば、私も簡単な計算をしましたけれども、まずここは大丈夫で、環境基準の0.003mg/㎥までになるベンゼンの土壌の濃度というのは数十mg/kg、とんでもなく高いのです。ここにはそういう土壌はありませんので大丈夫なのですが、やはり少しずつ上がってきて、ひょっとしたら建物の中に入り込むかもしれないという懸念も、内山先生は医学的な見地からお持ちだと思うのです。それについてどうでしょうか。
○内山委員 この建物が地下を持っていないということで、少しはいいかと思うのですが、実はガスや揮発性のものですと、ちょっとでもすき間や亀裂があれば上がってくると。・・・ 普通の場合だったらまず大丈夫だと思うのですが、食品を扱うことから考えれば、十分対応していただいた方がいいと思います。
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これら経過以外にも現在次のような話が出ている。どんどんややこしくなる(笑)
・東京都の土壌対策担当部署と施設建設担当部署の情報共有不足
・都の幹部は「将来、土壌汚染が出てきた場合、建物の地下を掘り返す必要が出てくるかもしれない。ショベルカーが入れる空間があった方がいいという議論になった」と説明(TBS)
それとどのマスコミも、当方が昨日示した技術会議資料図の変遷に触れておらず、第18回の図は紹介されていない。わざわざ建物の絵を無くすよう変更したのは、技術会議を所管する土壌対策担当部署も地下空間に気付いていた実証なのだが。
以上
[追記]
談合疑惑も報道された。落札率が余りにも見事で、技術的問題よりはマスコミも突っ込みやすく、こちらも大きな話題になりそう。盛土問題に加えてこれだと非常に厳しい。豊洲移転は実現するか、客観的に見て微妙な面も出てきたようだ。
< 築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)で、土壌汚染対策の盛り土が行われていなかった水産卸売場棟など、主要3施設の建設工事の再入札の平均落札率が99・9%だったことが13日、都への取材で分かった。各工事の入札には、それぞれ1つの共同企業体(JV)しか参加しておらず、競争原理が働かなかったことが整備費の膨張を招いたとの指摘もある。>
それにしても談合疑惑の際にいつも思うが、何故落札率をここまでギリギリに調整するのだろう(苦笑)しかも、3施設工事で、それぞれ一つのJV入札。もっとカムフラージュしても良さそうなものだが、今回その辺も若干なりと解明されるか。
追記以上