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開会式と皇居前広場、及び「完全戦後世代(昭和30年以降生まれ)」

先日記事でも取り上げたように、新国立競技場A案は基本設計が完了し、着工に向けて実施設計段階に入った。しかし、6月24日JSC会見で記者から質問が出なかったこともあってか、ZHAとの交渉進捗状況については語られなかった。ザハ氏が亡くなられてZHAは現在どういう対応になっているのだろうか。日本側は、隈氏による偽りの全否定で押し通して無許諾流用のまま建ててしまうつもりなのだろうか。ただ、ZHA側は幾らでも流用指摘可能だから、このまま何も無しとも考えにくく、まだ波乱は有るかも知れない。

ところで今週は色々な大ニュースが伝えられているが、その中で「天皇陛下生前退位の意向」という報道があった。宮内庁は一応否定しているが、報道状況から見れば事実の可能性大。

それで思うのは「皇居前広場」である。2014年11月に磯崎新氏がザハ案に関する提言を出され、その中で五輪開会式を皇居前広場で実施する案を披露された。
<メディアの時代のライブ性(10万人程度でなく、同時に10億人がテレビやインターネットを見る)をいかす舞台として、二重橋前広場で2020年の東京オリンピック開会式を挙行する
江戸城の堀、石垣、櫓を背景にして、競技場フィールドより広い舞台を前に立体的な桟敷を設ける。約12万人収容可能。50に分解できる。終了後、全国各県にオリンピック記念公園(競技場)をつくり分散移設。>

しかし、当方はこの案を昨年知った際に、無理があることを昨年8月20日記事に書いた。
<(開会式会場の)候補として磯崎新氏の「皇居前広場二重橋前広場)」案が昨年出されている。広さ的にも交通の便などでも非常に魅力的な場所だが、やはり皇居に近すぎるし皇居という静謐な環境との調和で無理が有りそうに思う。>

昭和天皇ご逝去に際して、皇居前広場での記帳者の列の写真がある。
<一夜明けた皇居前広場には早朝からあふれんばかりに昭和天皇をしのぶ記帳者の長い列ができた。>
イメージ 1

このように、皇居前広場はいつどのように使われるか分らないのだから、長期間占有することになる五輪開会式使用は無理があることは磯崎氏もご理解していそうなもの、と感じながら記事を書いた記憶がある。

しかし、例えば五十嵐太郎氏も昨年磯崎提案を評価して以下のように取り上げていたし、他にも賛同の声はあった。今の状況では開会式は新国立競技場としても、こういうことはもっと深く考えて頂きたいと思う。
<『atプラス』の最新25号(太田出版・1404円)の特集「東京祝祭都市構想」で磯崎新が提言したように、皇居前広場で五輪のイベントを開催するくらいの大胆さが欲しい。>

さて、生前退位は「数年内の譲位」と云う報道もあったが、陛下は以前から考えられておられたようである。お考えは固まっているのだから、色々手続きは必要にしても出来るだけ迅速な実現が望ましいのではないか。そして譲位が行われると、現皇太子は昭和35年のお生まれで今年56歳。現陛下は昭和8年で現在82歳だから、一気に若返ることになる。

ここで世代論について考えてみる。当方は「完全戦後世代」という概念を持って考えている。戦後生まれは昭和20年8月15日以降と云うことになる。しかし、昭和20年代は戦後とはいえ、様々な面で戦前や敗戦後の混乱による影響が色濃く残っていた時代ではないかと思う。

それに対して、昭和31年7月に「もはや戦後ではない」という有名なフレーズが入った経済白書が出された。白書で昨年度のことを対象にしているから、もはや戦後ではなくなったのは昭和30年と云うことになるだろう。
そのため、当方は昭和30年以降生まれの世代を「完全戦後世代」としている。「完全戦後世代」をググってみると、使われているのは以下のブログだけのようである。

<(団塊の世代は)「1947-49年(昭和22-24)の間に生まれた、戦後ベビーブーマー世代の俗称。命名者は、作家の堺屋太一である。学校時代を通してのすし詰め教室、激烈な入試競争等々、この世代の上には人口圧ゆえのストレスが重くのしかかっていった。60年代末の大学紛争も、いわばその帰結である。他方、完全戦後世代であり、右肩上がりの経済成長の時代に育った彼らは、消費的な若者文化の先駆者となり、いまの若者にも通じる新たな心性(モラトリアム志向、遊戯性、やさしさ)をも生み出していった。>

この場合は「団塊の世代」(昭和22年~24年生まれ)を指して「完全戦後世代」としている。こういう区分も納得性は有ると思うが、当方は昭和20年代を戦後復興の途上と想定し、上記の「もはや戦後ではない」という状況判断なども踏まえて、昭和30年代以降を「完全」戦後と考えてみている。つまり、当方だけの定義であって今のところ一般性はない(苦笑)。

それでも丁度安倍総理が昭和29年生まれで、完全戦後世代の一歩手前になる。安倍総理の任期は自民党規定で2018年9月。任期延長には党則改正で党大会開催が必要になるそうで、延長が絶対無いとは言えないが、任期通りとしたら後約2年になった。次期総理がもし谷垣氏にでもなったら別だが、安倍氏より若い人がなったら「完全戦後世代」へのバトンタッチになる。

これまで日本における世代論で一番有名なのは、前記ブログにもある「団塊の世代」と云うことになるだろう。しかし数の多さも特徴の世代なのに、政治の世界では余りインパクトが無いように思う。それは総理大臣就任者を見るとよく分る。
団塊の世代で総理になったのは昭和22年2月生まれの「鳩山由紀夫」氏だけである。ただし、その後継総理の「菅直人」氏は昭和21年10月生まれで直近なので、カウントに入れるとしても2名のみになる。しかも両氏併せて2009年9月~2011年9月までの僅か2年間。これが団塊の世代の実績。(ちなみに野田氏は安部氏より若いが、野田氏も在任期間が短かった)

「完全戦後世代」は、団塊の世代どころか昭和20年代生まれも飛び越える。その世代から今後天皇陛下になられ、総理にもなっていく。当然ながら世代交代の影響は社会の隅々まで及んでいく。日本の新しい時代がやって来ようとしていて、たまたまとは云え、2020年五輪が大きな区切りの時期に当たっているように思える。(世代間の大まかな考え方の相違検証などは今後追々書いていく予定)

以上