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鳥越俊太郎氏と憲法、及び選挙予測第一弾

都知事選は昨日告示が行われ、有力候補者3名「鳥越俊太郎(76)・増田寛也(64)・小池百合子(64)」(届け出順、敬称略)の三つ巴が確定。
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判断が注目されていた「宇都宮健児」氏は直前に取り止め。同氏出馬の場合は得票順位で四番手が想定されたと思うが、他候補の得票に微妙に影響を及ぼすことになるので、辞退で攪乱要因が減った。当初名前が上がりながら出馬を見送った「片山善博」氏と共に慧眼だったと思う。

有力候補の中でも、驚きをもって迎えられたのが直前出馬の鳥越氏。参院選の投票結果を見て決めたという状況を朝日新聞が報じている(ただ実際は少し違うかもしれないと思わせる記事もあるので追記に掲載)。
<鳥越氏は12日、都内で記者会見し、自民などの「改憲勢力」が憲法改正発議に必要な「3分の2」に達した危機感から立候補を決めたと明かした。>

憲法問題で出馬を決めたというのは、都知事選に対しては違和感が大きい動機。それでも反骨ジャーナリストの最後の務めとして出馬した意欲は買いたい。しかし、先に辞退した石田純一氏も同様だが、何故護憲にこだわるのだろうか。日本人が作った憲法が外国製に変えられるなら抵抗すべき。だが占領軍によって短期間で殆どの草案が作られた事実を知っていながら、絶対そのままにしようとする。

主要な理由は「9条改正反対」と云うことなのだろうが、当ブログ7月10日記事で書いたように、昨年の政府答弁書で「自衛隊国際法上は軍隊」と明言されている。「現憲法自衛権自然権として認めている」という見解の方々にとっては、個別的自衛権の発動に際し自衛隊が軍隊として戦力を行使するということで辻褄が合う。

後は「自衛隊の海外における武力行使」は憲法違反ではないかと云う、昨年の「安全保障関連法」(安保法)に対する批判となってくる。その場合、自衛隊国際法上で軍隊と認めたのだから、軍隊の基本機能として海外であっても武力行使は有り得ることになる。その上で、安保法は武力行使の「新3要件」を示すなどして縛りをかけ昨年9月成立した。それから一年近くたった今回の参院選において、野党統一で反対を繰り広げたにもかかわらず、改憲容認勢力の2/3確保を阻止できなかった。

それが鳥越氏の出馬決断につながったということだが、時代の流れに反し過ぎているのではないかと感じる。もちろん個人が様々な見解を持ち、選挙に出るのも自由。しかし、今回自民系が割れているとはいえ、参院選と違った流れの有権者意思が示されることが有るだろうか。結果的に三候補の中から、まず鳥越氏の選択は無いと見る。

更に世論調査も出ていない段階で他2候補についても予測を行ってみる。増田氏は経歴から手堅い印象を持たれるのは間違いない。しかし、増田氏が勝利した場合は、都議会で舛添氏の延命を図り、選挙でも親族の行動まで処分要因にしようとしている自民党都議団幹部(「内田茂」氏など)が高笑いすることになる。都連においても、原発問題での「金目」発言などで品性が疑われ政治的に消えかかっていた「石原伸晃」会長が、自民党内で復権の足掛かりを得ることにもなりかねない。
この事態を都民が選択するだろうか。当方は「無い」と見るので、増田氏も外れて小池氏が残るというのが現段階の当ブログ予測。

今後の展開に関しては、まだ2週間あるので読めない部分もあるが、小池氏が当選すれば将来必ずある「女性首相」の誕生に向けての試金石にもなると考えている。大局的に考えれば、増田氏は配慮して降りるのが筋だったとも思う。また、女性の方が先に決断しているのに、ずるずる参院選後まで出馬表明を延ばす対応は情けないと感じた。
これらで都民から最終的に評価されないのではないかと思えるが、増田氏が出ることで「手堅い人が良い」と考える有権者にも選択肢を与えられた面もある。結果的にそれでも小池氏が勝てば、当選後の立場が強化されることにもなる。

なお、小池氏は先行したので政治資金面も報道されたが、今のところ乗り切っている感じ。逆に後出しの増田氏に関して、「知事時代にファーストクラスに乗っていた」と余り政治に関心がなさそうな知人が昨日言っていて驚いた。
また、小池氏の場合は「女性票」がどうなるか。劇場型への反発も有るだろうが、「同じ女性が頑張っている」ということで支持する人の割合がどれぐらいになるか。女性票(と若者票)が今回選挙の鍵を握ると思う。

いち早く選挙予測をやってみたが、憲法の方について追加すると、9条以外にも現在示されている「自民党改正草案」の是非が問題になって、ややこしくなってしまっている面がある。同案に対しては以下の「知恵袋」の質問で示されているようなイメージが有って、「古臭い」と云うことで反対につながっている傾向がある。
自民党憲法改正草案を見て思うのですが、個人主義を排除して昭和初期の家族主義・国家主義をイメージしてしまうのですが、>

しかし、狭い可住地域に多数の国民が暮らす日本において、「個人間の権利調整をどうするか」と云うのは大きな課題であることを多くの人が感じているのではないか。自民党草案は、それに取り組もうとしたが、非常に深く複雑な問題にも関わらず決定的に論議不足のまま拙速に出してしまったと思われる。よって改憲論議は、まず現在の案を正式に取り下げることが先決。しかし安倍総理は、そうは考えていないようなので、結果的に安倍政権下で改正が行われることは考えにくいと思っている。

以上
[追記]
本文のように鳥越氏の言によれば出馬決断は7月11日夕方。しかし、その5日前の7月6日時点で既に東国原氏がTVで以下の発言をしていた。
”東国原氏、・・・70代キャスター出馬説も” 2016年7月6日 スポーツ報知
<東国原氏はあるキャスターを擁立する動きがあるとし「今日動いたといううわさを聞いた」と爆弾発言。「長崎出身。京都大学卒。70歳代。ガンを患ったことがある」と著名なキャスターT氏を連想させるヒントを挙げ、実名は出さなかった>

まさに鳥越氏を指している。「擁立する動き」となっているので、決断はしていなかったかも知れない。しかし、本文の朝日新聞記事にある以下の話は、そのまま受け取りにくくなる。
民進関係者によると、鳥越氏のもとに11日、参院選長野選挙区で当選した元キャスターの杉尾秀哉氏から電話がかかってきた。鳥越氏は元コメンテーターの三反園訓氏が鹿児島県知事選で勝利したことにも触れ、「後輩だけに任せて、自分は何もしなくていいのか」とつぶやいた。「脈あり」と感じた杉尾氏は、民進幹部に連絡。知らせを聞いた長妻昭代表代行が鳥越氏と面会し、「立候補したい」との言質を得た。>

鳥越氏は知名度抜群でキャスターの実績も有るとはいえ、76歳のご高齢で癌手術も複数回。民進党関係者としても、「出たい、或いは出ても良い」というような意思をある程度確認してからでないと擁立に動くのは無理。曖昧であっても何らかの意思表示をしていたと推測される。これが選挙結果に響くということはないだろうが、人の行動の裏側には色々なことがあると改めて思わせる実例。

以上