kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

森会長・安倍総理・他の在任期間見通し

聖火台問題の国への押し付け発言などからも、責任回避が際立つ組織委員会森会長の出来るだけ早い交代が必要と思う。しかし、昨年10月に森氏が「組織委員会会長を2018年までは務める」という意向を示したインタビュー記事もあり、3月27日記事で紹介した。
<(森氏は)ある決意を安倍首相に伝えたと打ち明けた。10月3日、東京・富ケ谷にある私邸を訪ねたという。「組織をまとめあげるまでが私の役割だと思っている。あと3年はちゃんとやるよ。総理の任期まで。私はがんを抱えた身でもあるから、と」。>

また、今年4月のTVでは、<もう1年でも2年でもいい。毎日毎日全力投球する>と述べたとのことで、それを受けて遠藤大臣は「2020年まで務められる」と言っている(両氏の間柄からすると当然だが)。
<森会長は2日に放送されたBS朝日の番組で、昨年3月に肺がんの手術をした自身の体調を踏まえ、会長職について「もう1年でも2年でもいい。毎日毎日全力投球する。(20年まで)頑張りたい気持ちはあるが、そういう大層なことは考えない」と述べ、大会前に退くこともあり得るとの考えを示した。
 これに対し遠藤大臣はこの日、「森会長は私たちにハッパをかけるために、『俺はそう長くやらないんだ』とか『2020年はみんなで乾杯しような』といろんなことをおっしゃる。そう特別な発言とは思っていません」と強調した上で、「少なくとも2020年までにしっかり務められると思います」と期待した。>

結果的に森会長の心境は、「2020年までやって会長として五輪を迎えたい」という思いと、「体調面から来る限界意識」とが交錯しているものと思われる。森氏自身の判断は揺れて決まらないだろう。外部から交代を求めるべきと思う。会長交代なら事務総長以下の人事も変更の可能性が出てくるから、五輪準備への影響を出来るだけ少なくするために早期の対応が必要。

加えて前述のように森氏も一つの節目と考えている安倍総理の任期は五輪前の2018年9月に切れる。2回目となった自民党総裁就任が2012年9月で、党規定により総裁任期は2期6年だから2018年9月までとなる。総理大臣の任期は決められていないが、自民党は総裁=総理でやってきているから、安倍政権がこのまま続いたとしても総裁任期が来たら終了。五輪どころか、ラグビーW杯の1年前には安倍総理の交代が既定路線。
ただし、自民党が規則を変えれば続投は可能という面もある。実際にも以前の中曽根政権時に1年延長している。しかし、中曽根氏の時は総裁任期が2期4年で延長しても5年だった。安部氏は延長なしで6年可能だから、延長があるかどうか未知数。それでも昨年1月には3期9年への延長論が出ていたが、その後は余り動きがない模様。延長の動機にされるかもしれない憲法改正も、以前にも書いたが自民党改憲案では全く無理で、道筋をつけることさえ困難だろう。
<連続で2期6年までとなっている自民党総裁の任期を「3期9年」まで延長すべきだとの声が安倍晋三首相(総裁)の周辺を中心に党内で浮上してきた。現行の党則や総裁公選規程に従うと安倍総裁の任期は平成30年9月まで。首相が招致に成功した2020(平成32)年東京五輪パラリンピックを安倍首相のままで迎えるべきだというのが理由だ。首相の悲願である憲法改正に道筋をつけたいとの思惑も働いている。>

また、安倍氏は健康問題を抱えていると以前から言われている。良くなっているようだが総理は激務だから不安が全く無くなったというわけでもなさそう。更にこのところアベノミクスに陰りが見えているなど問題山積で、支持率低下が進んだりすると途中退陣も有りえないことではない。それでも野党への「政権交代」の可能性については、国民が一度大きく懲りているから、少なくとも五輪までには無いと考えるのが妥当だろう。ちなみに次回衆議院選挙も2018年12月までには行われる。

色々事情はあるが、種々勘案して安倍総理が規定一杯の2018年9月までやって延長なしを仮定してみる。五輪の約2年前に新総理誕生になる。新たな組閣や人事が行われるから、五輪準備組織における主要人物たちの去就も不透明になる。概要を見てみる。
------
安倍総理(「東京五輪競技大会推進本部」本部長)…総理在任期間が小泉氏や中曽根氏も超えることになる実力者として辞任後はどのような位置づけになるか(安倍氏は派閥も完全掌握しておらず森氏のような院政的な動きはしないように思えるが)
②菅官房長官…今や内閣に無くてはならないキーマンだが、次期総理になったら菅氏をどう処遇するか。また可能性としては安倍総理の後継選びで候補難になった場合に、周囲から推されて総裁選出馬も有りうるか
③和泉総理補佐官…菅長官のプッシュで就任したとのことで菅氏交代ならどうなるか
④遠藤五輪担当大臣…森氏人脈、手腕期待できず、今後さらに不安
⑤馳文科大臣…森氏人脈、仕事は今までのところ手堅いか
⑥森組織委員長…高齢・体調・資質面から交代必至
⑦武藤事務総長…森氏と関係が深いようだが、委員長交代ならどうなるか
⑧竹田JOC会長…手腕疑問?
------

結果的に五輪関係組織のトップ人事が広範囲に見直される可能性が高くなる。加えて開催都市である東京都の方も舛添氏が4年間務めるとして、次回都知事選挙は2018年2月になる。都知事としての舛添氏に対するこれまでの評価は「微妙」というところか。しかし、最近は高額出張費問題などで追及され批判が高まっている。仮に次回選挙も自公が支持したとしても再選確実とは言えなくなってきた情勢で、対立候補者次第では、どうなるか分らない面もある。つまり都知事も五輪前に交代の可能性が有りえる。更に組織員会の上層部にも副知事等が入っているので影響を受ける可能性が出て来る。
五輪準備では、これまでも色々大きな問題が噴出しているが、今後についても各組織トップやキーマンの任期からして不透明。開催には漕ぎつけるにしても、それまでにどんな紆余曲折が待っているのだろうか。

以上
[追記]
「ザハは監修者に過ぎなかった」という誤解の記事がまた出ている。
<●新国立競技場の設計では蚊帳の外に
 新国立競技場のコンペには当選したものの、ハディドはあくまで監修者にすぎず、基本設計や実施設計は別人に委ねられた。・・・
 国立競技場の修正案に対し、建築家の磯崎新は《当初のダイナミズムが失せ、まるで列島の水没を待つ亀のような鈍重な姿に、いたく失望しました》と述べた。もちろん、建設にあたって当選案がそのまま実現することはありえず、さまざまな条件に合わせて調整しながら修正が行なわれる。磯崎が問題視したのは、その手続きにハディド本人が参画できなかったことだ。>

当ブログでは、例えば5月1日記事”ZHA契約内容関連資料 「デザイン監修仕様書」”などで、「ZHAは監修者どころか設計に参加して主導していた」ことを証明資料付きで示してきている。しかし、有名人の磯崎新氏や浅田彰氏などが思い込みで、(監修のみと云う意味での)「監修者」と言っていて、それを信じる人や記者も多くなり事実と真逆の誤報が出続ける。

結局「事実より感情」と云うことになるのだろう。感情を表現するのが仕事のアーティストには時折非常に鋭い人がいて、「中島みゆき」氏が吉田拓郎氏に提供した「永遠の嘘をついてくれ」という曲があり、その中に次のフレーズがある。
 「人はみな 望む答だけを聞けるまで尋ね続けてしまうものだから」

今回の場合、分りやすいストーリーに仕立てあげたい記者たちが望む答えは、「ザハは当選しても監修だけにされた=理不尽・可哀想→著名人が日本側が悪いと決めつける」という「勧善懲悪」「お涙頂戴」の話(苦笑)
そして隈氏の「永遠の嘘」が残っていくという構図か。しかし、今は海外の目がある。「日本人は嘘をついている」という評価が残っていく。その中で、もう一つの重大な真実の可能性「ザハ案の構造設計は建てられなかった」は掻き消される。同じ事態に関して、「資料や当事者証言で証明された事実提示」とそれに反する言説がある場合、どのように受容されていくかの重要例になりそう。

追記以上