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サブトラック問題

昨日記事本文の最後で「絵画館前広場へのサブトラック仮設」について触れたが、実際は「2020年五輪でのサブトラックについて未だに正式決定は無い」と云う状態のようである。(注:その後新整備計画では絵画館前広場に仮設決定)
経過を概略辿ってみると、まず2014年4月に以下の記事がある。槇氏も出席した記者会見の記事であるが、当時東京都から「いつ誰が書いたか分からない」と云うサブトラック配置図しか出されてなかった模様。
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The Huffington Post 2014年04月24日
東京都のオリンピック・パラリンピック準備局は3月28日、新国立競技場建設の環境アセスメントの調査計画書を発表し、新国立競技場のサブトラックの配置場所として聖徳記念絵画館の前庭を使うという案が提示された。絵画館前の馬蹄形の芝生と周辺に縁取られているいちょう並木の道路が改変され、オリンピックスタジアム周辺の空き地の一部となる。>
イメージ 1

<このサブトラックの計画がもちろん仮設であって、また元の状態に復元するということがはっきりしているのであれば、それなりに納得できるのですが、それがはっきりしないんですね。(槇氏)>
<この調査計画書は東京都のアセスメントに出てくる図で、2012年2月の初期評価アセスメントにも使われていますが、都の準備局に問い合わせたところ、「この図をいつ、誰が描いたのかわからない」という回答でした。(森まゆみ氏)>
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その後、今年になって舛添知事の7月末記者会見で次のように述べられている。
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記者<政府が陸上競技のサブトラックは仮設でとか、・・・、知事としては、ワールドカップの会場とかサブトラックの件についてどう受けとめていらっしゃるのか>
知事<国立競技場のサブトラックの問題についても、これも正式にどこからも聞いてない話で、これも臆測の域を出ないのではないかなと思っていますし、昨日か今日か、遠藤五輪担当大臣が陸上競技の3者さんとお会いになっているんだと思いますので、意見を聞いた上でお決めになるんじゃないかなと思っています。>
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この時点でも正式決定無しは驚くが、更に8月中旬公表の基本計画でも盛り込まれず、8月末の整備計画には入るとのこと。
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陸上大会開催に必要なサブトラックを仮設とすることは今回公表した基本方針には盛り込まれなかったが、今月中にもまとめる策定案には反映する方針。> 
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仮設候補地は世界陸上でも使われた絵画館前広場以外には浮かんでいないと思われるのに、ここまで正式決定を引き延ばしている理由は今のところ当方では把握できていないが、それにしても引っ張りすぎ。最終的には絵画館前広場に仮設されることは確実と思われるが、槇氏提言にもあるように五輪終了後は広場の当初意図に基づく原状回復について真剣に議論をお願いしたいと思う。

なお、ここからは当方独自検討であるが、過密都市東京で絵画館前広場のような広いスペースについて「芝生広場」なども良いが、別の形で活用する道も考えられるだろう。それで検討してみたのが下図「絵画館の前方移動」案である。絵画館を前方に移築して、跡地にサブトラックが配置できないかと云う趣旨。

イメージ 2

今までのような絵画館前の「景観破壊」状態を続けるよりは、「絵画館の尊厳」と「スペースの利用」との両立を図ることが出来るのではないか。この構成なら、いちょう並木からそのまま絵画館前庭に入れる環境が整備出来る。前庭の広さ自体は縮小するが、今のように本来の通路が途中で一般立入禁止と云う異常状態より、並木道を歩いてきて気軽に入れる方が絵画館設立の趣旨にも適うのではないだろうか。

また、絵画館に入館しない人も、いちょう並木散歩の心地良さのまま、前庭・噴水・池、そして絵画館建物などの景観に親しめて、歴史にも触れられる。
その上で空いた絵画館裏に丁度サブトラックが入るかも知れないぐらいの大きさのスペースが生まれる。駐車場は地下に作れば良いと思われる(競技場との通路も地下道が考えられる)。
ただし、種々の歴史的経緯や管理者の思惑、移築費用など課題山積は当然であり、あくまでも勝手な個人案である。しかし、サブトラック仮設問題と絵画館景観破壊の現状は両方共深刻であり、その解決を図る両立案として考えてみた。

更に当方は新国立競技場建設に関して「ゼロ」の可能性に言及してきた。ただし、河野太郎議員の「ゼロオプション」とは2つの点で異なる。
第一は「オプション」ではなく種々の情勢を考えると「必然」ではないかという点。今月末に出るという整備計画の出来にもよるが、政府側に相当な名案がないと設定金額や仕様など多方面から議論沸騰はまず間違いない。コンペ実施も危ういと思える。コンペが出来ても審査や業者選定など各段階で論議が起きて、困難の連続が予想されるから、その帰結としての「ゼロ」想定になる。
第二は、当方の「ゼロ=建てない」は五輪開催に何が何でも間に合わせて建てることは考えないと云う意味になる。完成時期にこだわらず国民的議論や与野党議員結集での検討を進めて貰う。最後は推進責任者の決断として仕様を決定し、新国立競技場予定地に完成は五輪後になっても何らかの施設を建てる。その時に陸上競技場機能を持つ施設を建てるのであれば、前述のサブトラック常設なども検討の対象にならないかと思う。
また議論のまとめ役及び推進責任者には河野議員が適任ではないかと云うことも、これまで述べてきた通り。(河野議員が最終的に全くのゼロを選択する場合にも、跡地利用と云う大きな課題が発生するから、その推進役にも成りうる)

これが現状での当方の(勝手)案であるが、前述のように外苑は歴史があるので、なかなか思い切った変更は難しい面も有る。例えば森山氏ブログは、余り人が行かない絵画館裏手にある歴史的な場所を紹介しておられる。このような所を改変する必要がある場合は相当の困難が伴うだろう。
明治天皇大喪のおり御轜車(ごじしゃ)、棺が安置された場所なのです。葬場殿趾です。>
また次のブログでは、パロディでは有るが「絵画館と新国立競技場の位置交換」の図を作成して載せておられる。
新国立競技場はモノスゴイもんだ”(図は下の方に有り)
このような案も含めた自由な発想での国民的論議を経た施設が何時か建てられることを望みたい。

なお、今回の騒動が今後に与える影響について、注目点と思われることを追記に記す。

以上
[追記]
今回論議が盛り上がったことで五輪が早い段階で注目された。ドタバタ劇になってはいるが、注目されること自体はメリットにもなる。そして五輪だけでなく「国立競技場」も大きく注目を浴びた。宣言効果に換算したら幾らぐらいになるか。出来れば電通さんに試算してもらいたいが、相当な効果になることは間違いない。

国立競技場の場所は更に価値が上がるから、単に広場にすると云うよリ、しっかりした施設を作る意味が出てくる。施設検討に際してはゼロベースで考えて論議し、最終的に競技場を含めて何がふさわしいかと云う選択になる。どのような施設になっても元々の立地の良さも含めて大きな集客力を持つ場所になることは確実。
レストランやショップ併設についても批判する声も有るが、充分ニーズが出てくるのではないだろうか。また交通至便な外苑地区が、全国的及び世界的認知度のアップで東京名所として再認識され、神宮球場の野球観戦だけでなく駅間の回遊性の高まりも期待出来て、商業施設は更に有望ではないか(今は立地の割にレストランやカフェ等が少ないと思える)。

なお国立競技場の場所を「広場にする」と云う案は、市民派を標榜する方々には受けが良いと思われ、実際当方も広場の開放感は外苑にふさわしいと思う。しかし、もし国立競技場跡地に新競技場、特に陸上競技場を作らない場合はサブトラック用地も必要なくなる。槇氏提案通りに絵画館前広場を原状回復して、芝生等も整備して開放すれば素晴らしい憩いの場になる。広場二つというのは都心の土地利用面で勿体無く、新国立競技場予定地には、やはり何らかの施設建設でも良いのではないかと考える。(本文の絵画館移築案でサブトラックを作ると広場が無くなるが、サブトラックを出来るだけ開放することなども考えられるだろう)

色々な考え方があると思うが、要するに幾らインターネットで意見募集したり、アスリートから話を聞いたりしても、結局政府が(恣意的に)まとめて結論付けるのでは、国民の納得を得られない段階まで今回は来てしまっていると思われる。まだまだ国民的論議が必要で、その際には前述の広場の件でも触れたように市民派の皆さんの発想力や行動力は議論推進に大きな役割を果たすことが考えられる。それについての考察を明日行う予定。

追記以上