kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

組織委員会 「森会長と人脈支配」

4月1日記事五輪準備体制について考察し、組織委員会の問題点を取り上げる中で「森ファミリー」について書いた。本日は森氏について人脈を中心に更に考察してみる。
まず人脈には入っていない下村元文科大臣。昨日記事で同氏の国会答弁を紹介したが、載せなかった部分で<今回のゼロベースの見直しは、…総理が決断されたものでございまして、その際、…私の報告を踏まえてなされたと承知しています>と述べている。官邸チームがやったのは確実なのに、下村氏は自分がやったかのように言う。
こういうところが同じ早大雄弁会出身でありながら森氏からも好まれないのか、森氏インタビュー記事でこき下ろされている(苦笑)
文科相下村博文さんと猪瀬さんはこの問題で3~4回会ってますよ。あの2人は会う度にそれぞれが自分の手柄のようにアナウンスするからカチンとくる。その辺が国と都がギスギスした原因の一つかな。
だけどそれはそれ。舛添さんはそういう過去の経緯を承知して五輪をやるということで都知事になった。だから自民党都連が一生懸命、推したんだ。
 まあ下村さんと(舛添知事は)色々ギスギスしてたけど遠藤利明さんが五輪相になったので、国と都の調整は遠藤さんにお願いすることになった。するとどうも下村さんは逃げよう逃げようとするんだな。五輪相がいたって所管は文科相なんだよ。>

同記事の他の部分や別のところでも、森氏は下村氏を公然と非難し続けた。性格的に合わないのだろうと思っていたが、今考えると余りにも執拗で特に以下記事の件などは難癖の部類だろう。
<同会合では、下村氏が官邸での新国立競技場に関する関係閣僚会議に出席するため退席を申し出てると森氏が不快感を示し、下村氏が何度も頭を下げる場面があった。>

五輪関係の閣僚会議に出るための退席であり、この非難は明らかにやりすぎ。普段陰謀論的なものは余り考えないが、今となると一つ大きな疑念が出てきた。
 「行き過ぎとも思える下村氏叩きには、馳氏の文科大臣起用への意図があったのではないか?」
馳氏が入って、森組織委員長・遠藤五輪大臣・馳文科大臣と、五輪準備組織のトップは森一家で固められた。

下村氏とぶつかった舛添氏も本来は性格的に森氏から受けが悪いと思われる。しかし、舛添氏は2年後の都知事選で再選を目指したいから自民党の支持が必須。幾ら表向き政府に対して吠えても、実際は今でも自民党実力者の森氏に頭が上がらない。それに関連して、「下村氏は都議経験も有り、次期都知事選では舛添氏のライバルになる可能性が有る」という見方も有った。しかし、今回の不手際で大きくイメージダウン。舛添氏はしてやったりだろうし、これも一見陰謀論的になるが、下村氏とのバトルは森・舛添両氏共にメリットがあった。両氏が組んでいたとまでは判断できないが、特に舛添氏は再選されたら五輪を知事で迎えられる。内実は自民党から支持を貰えるなら「何でもやります」という心境だろう(自民党が支持すれば対立候補も出さないから非常に有利になる)。

次に組織委員会No.2の武藤氏についても先日書いたように森氏と縁が深いようだが、更に詳しく書かれた記事があった。
<森氏と武藤氏の付き合いはかなり古い。出会いを語るのは、さる永田町関係者。
「1981年12月、森さんは衆院の大蔵委員長に就任した。当時、彼は当選5回の中堅代議士でしたが、元々文教族ですからね。親しい大蔵官僚はいなかった。大蔵委員長に就任した後、親しい新聞記者の仲介で、同世代の大蔵官僚を4~5人紹介された。その中にいたのが主計局主計官補佐だった武藤さんでした」
 さらに、2人を結びつけたのは、「82年6月、武藤さんが商工労働部長として、森さんの地元、石川県に転勤になりました。森さんは、この人事をすごく喜んでいて、ますます親しくなったのです」(同)>

他にもJSC関連において、以下のように新旧理事長とも森氏との関係が考えられる。特に河野氏は密接で退任後も組織委員会副会長にしっかり残っている。
<Jリーグというから元サッカー選手かと思いきや、大東氏は元ラグビー選手。早大住友金属で日本代表でもプレーした。その後、Jリーグ鹿島の社長に就任し、2010~14年にJリーグチェアマンを務めた。つまり、森喜朗五輪組織委会長、遠藤利明五輪相、そして退任する河野一郎理事長に連なる「ラグビー人脈」だ。>

スポーツ庁長官鈴木大地氏に関しては、森氏は長官候補に元Jリーグチェアマンの川渕三郎氏(早大出身)を推していたそうだから思惑が外れたのかも知れない。しかし、森氏は元々文教族で更に政界入りを指南した子飼いの馳氏を大臣に送り込めたから、もはやスポーツ庁も含め文科省は森氏の威光に全く逆らえないだろう。その文科省関連ではスポーツ・青年局(スポーツ庁の前身)元局長の布村氏が、組織委員会の筆頭副事務総長で入っている。
政府トップの安倍総理は森氏と同派閥だが、派閥運営では軋轢も有ると思われ蜜月ではなく、実質的にはオーナー格の森氏に安倍氏の方が頭が上がらない状態だろう。

このように見てくると、五輪準備組織への森氏の影響力は凄いものがある。組織委員会の組織体制図において上記で言及した人物を枠で囲ってみた。調整会議で政府側も入っている。
イメージ 2

各人と森氏との関係は濃淡があると思うが、囲っていない人でも人脈に入っている場合は有るだろうし、都の副知事やJOC関係者では森氏を抑えるなど無理。そして中枢になるほど濃密な人脈が張り巡らされている。見事と言っても良いぐらい。
森氏自身は一生懸命やっておられると思うし、「利権」の詮索は置いておくとしても、これでは「世代交代」が進まない。2020年東京五輪は、首都と日本全体の新しい姿を国内外に見せる場になると思う。それに向けては世代交代を必須とすべきで、このままでは森氏とその人脈支配が阻害要因になる。もはやリオ五輪後どころでもなく一刻も早く、まず森氏交代の準備に入ることが望まれる。後任人選は難しいと思われるが、それでもやるしかない。
世代交代阻害に加えて、森氏が中心になると都側と組織委員会が国頼みになるのも大きな問題。しかも国側の五輪担当責任者が頼りなく、神宮球場休業要請の件でも呑気さ発揮。以下のような図柄でこのまま続けてはいけない。
イメージ 1

以上