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組織体制の考え方と課題

五輪準備検証1 日記 #練習用
昨日3月31日以下の協議が行われた。
＜組織委の森喜朗会長と遠藤利明五輪相、東京都の舛添要一知事はこの日、都内で会談し、競技会場整備や警備範囲の役割分担をする検討チームを近く発足することで合意した。国、都、組織委の実務者レベルで協議し、リオデジャネイロ五輪・パラリンピックが終わる今年９月を目途に、取りまとめをする。＞

費用負担や警備の話をしたようだが、もっと根本的に五輪準備・運営の組織体制は大きな問題を抱えている。以前にも紹介した政府資料（下図左側）で、政府は組織委員会に対して支援・連携するという関係になっている。つまり組織委員会が「主」で政府は「従」と云うことになる。図右側は関係性を分りやすくするために基本体制を整理してみた。

イメージ 1

当方から見て組織体制の問題はざっくり以下の４点。
----問題点抽出開始----
(1)責任の所在…政府側は組織委員会が「主」になると考えているが、組織委員会トップの森会長はどう考えているか？ また舛添氏の考え方はどうか。森・舛添両氏は国政の経験も長いから、どうしても「国」に投げてやらせようとするのではないか。しかも森氏は未だに総裁派閥の隠然たる実力者。
(2)関係する組織が多い…基本体制だけでも組織が多い。この調整は生半可なことではできない。そして組織委員会・内閣・文科省という上部に当たる組織も重要だが、五輪開催や選手強化などに直接的責任を持つ「東京都」・「ＪＯＣ」・「スポーツ庁」も課題。
東京都は舛添氏が途中から参加（招致時は猪瀬氏）しているから、当事者意識をどれぐらい持てるか。ＪＯＣは竹田氏の仕事振りに不安があるようだ。スポーツ庁の鈴木氏は未知数だが、民間出身で初めて霞が関官僚の中に入ってどう動けるか。しかもスポーツ庁自体が新設であり、役割も不明な点が多いのではないか。手探りの活動になると思われる。
(3)森ファミリーが実権を掌握…森・遠藤・馳の各氏に加えて、武藤事務総長も以下インタビュー記事によれば森氏と長い縁があるとのこと。事務総長就任も武藤氏インタビュー記事によると森氏が直接口説いた。
　----記事抜粋開始----
組織委員会発足の１週間くらい前でしたね、森会長に呼ばれて、「組織委の会長を自分が引き受けざるを得なくなった」と。その経緯についてお話がありました。そして「２０年に向けて一緒にやってくれないか」ということでした。・・・
（返答には）１日考えました。森さんとは大蔵省（現・財務省）時代から長い長い縁がある。ただ、私がやってきた大和総研理事長の仕事を放り出していくわけにはいかない。五輪だけならお断りしようかなと思いましたが、両方かけもちでも構わないということなので、やってみようかと思いました。今の仕事の配分は事務総長が６分、大和総研が４分という感じですね。五輪開催間近になればこちらが忙しくなってくるでしょうが。
　----抜粋終了----
森氏がこれだけ自らの人脈を嵌め込んでコントロールする体制で大丈夫か。しかも組織委員会の実務を取り仕切って実質的に五輪準備をまとめ上げる要となる事務総長が、大和総研理事長とかけもちのままである（大和総研HPに今も理事長として掲載)。今後は何処かの時点で専任になるのかもしれないが、同記事だと「五輪開催間際になればこちら（組織委員会）が忙しくなってくるでしょうか」と呑気な発言。本来は聖火台問題も、発覚した後は開会式等を取り仕切る組織委員会が主導して検討を進めるのが筋なのにそうならなかったのは、同事務総長に責任を持っていけないからか。
また、森ファミリーで政府側の実質責任者になる遠藤大臣の手腕に対する不安は、聖火台問題でますます高まったように思う。大きな課題。
(4)やることが多い…上図左側の政府体制に入っている数多くの省庁は五輪に向けて実際に動くことになる。しかし、政府側が支援・連携という姿勢のままでいくなら、組織委員会と各省庁の関係はどうなるのか。政府が間に立って調整するのか。或いは政府が主体的に省庁を動かすのか。もしそうなら支援・連携というレベルと違ってくるのではないか(特に支援)。
----ポイント抽出終了----

全体としては、日本が今まで開催した五輪三大会とは規模や複雑さが大きく異なるという認識が必要と思う。ただし、これまでも各国は色々な問題を抱えながら開催してきて(直近のリオは特に問題多い)、日本も当然最終的には開催に漕ぎつけるが、それまでにどのような紆余曲折があるか。今のままだと「五輪準備が全体として新国立競技場の混迷みたいになりかねない」という危惧を感じる。
今後当ブログは経過を記録したり分析するために、新国立競技場にとどまらず五輪準備全般を検証していく積り。新国立競技場以外の内容が多い記事は本日表題のように[五輪準備検証]などとして書いていく予定。

以上
[追記]

皆さんご存知の通り、ザハさんが亡くなられた。
余りにも突然で、今はご冥福を祈るばかり。

追記以上