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ザハ氏訃報

ザハ氏訃報に接し、今後について報道等から出来るだけ客観的に考察。

報道はまずネットで行われ、その後国民への影響力が強いTVのニュースが伝えるにあたって、「極めて似ている」という主張と「著作権をめぐる交渉」も明確に読み上げていた。例えばTBS。
隈研吾氏の案が自分のデザインと極めて似ているとして、著作権をめぐる交渉をJSC=日本スポーツ振興センターに対して求めていました。>

更にNHKも以下のように同様だった。他には日テレも伝えている。
<新たに採用されたデザインが見直し前のものと酷似しているとして、事業主体のJSC=日本スポーツ振興センターに対し、著作権を巡る交渉を要求していました。>

新聞では例えば読売がJSCの話と共に掲載。
<ハディド氏と事務所は、白紙撤回後に採用された建築家の隈研吾さんによる新競技場のデザイン案の一部が、自身の案に酷似していると主張。著作権を巡って法的措置も辞さない考えを示し、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)に交渉を求めていた。JSCは「(ハディド氏の死去が)交渉にどう影響するかを見極めたい」と話した。>

朝日はJSCの交渉を別記事にして詳しく書いている(交渉はZHA幹部意向が主という話も重要で今後に注目)。
<新国立競技場建設の事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は1日、競技場の旧計画のデザインを担当し、31日に急死したザハ・ハディドさん側とのデザイン監修料支払い交渉について「ハディドさん事務所と我々の組織同士の話なので、今まで通り進める」としている。交渉はハディドさん個人でなく、事務所幹部の意向が主に反映されているとみられる。…新計画で採用された隈研吾さんの建築案が似ているとの指摘もあるといい「ハディドさん側次第で訴訟に発展することもありうる」とみている。>

これだけ「類似性」の問題が報道された。上記以外にもあるし、今後も出てくる。
当ブログでは、「判決での勝ち負けよりも裁判になること自体が日本政府にはダメージとなり、訴訟を起こされた時点で日本側の実質的な負けになる」と書いてきた。法廷で「類似性」が争われたら「流用有り」の認定は確実。一般人でも一目瞭然のレベルだし、専門的にはCADデータ照合で決定的になる。またJSCが「旧計画(ザハ案)成果の積極活用」を明言している議事録も有る。
「流用認定」されたら著作権侵害に当たるかどうかの議論以前に、隈氏の「全く違う」という完全否定が崩れ、嘘をついていたことがバレる。推進して来た政府も責任を問われ、負けに等しくなる。また訴えられた時点で広く論議が起きるのも確実だった。世界的広がりも持つ。

今回訃報に伴う報道は、流用問題を広く知らしめたという点で、上記のような訴訟提起と近似した効果を持つように思える。また、今まで流用問題について特に国内大手メディアは報道しにくい「空気」があるようにも感じられたが、タガが外れる可能性がある。ここから更に審査採点疑惑追及にもつながる。特にTV・新聞だけでなく、このところ元気な週刊誌が関心の高まりで取り上げやすくなる。

そして野党も動きやすくなる。丁度以下の法案審議も始まった。
<新国立競技場の整備に必要な財源を確保するため、スポーツ振興くじの売り上げのうち整備に充てる割合の上限を引き上げるなどとする法案が、衆議院本会議で審議入りし、馳文部科学大臣は法案の早期成立に理解を求めました。>

まさに絶好の場が誂えられている。費用面だけでなく流用問題も広く報道され、審査採点問題も併せて官製談合疑惑にもなるのだから、追求しなければ野党の責任も問われる。国会で強く要求すれば審査採点の公表も可能。ザハ案時の審査委員会議事録の黒塗りも政治の要求で外れた。また「流用」の有無認識について隈氏だけでなく政府側の見解も質せるから、どう答弁するか。「流用無し」と答えたら政府も嘘をつくことになり、「分らない」という逃げの答弁でも一般の人が分るのだから結局嘘が見抜かれる。
アベノミクス停滞で苦しい政府では抵抗する力は弱い。今までの流れのまま押し切ることは難しくなるように思う。どの程度かはまだ不明にせよ、これから変化が起きるかもしれない。それでも隈氏が全面否定を通したら、精神力を評価するしかないか。しかし、隈氏は押し通せても、前述のように国会で追及されたら政府(と官邸チーム)がどう対応するか。4月は山場になりそう。

以上