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聖火台問題4…費用問題等と「再検討推進室」

昨日記事で聖火台については「どこかで経緯情報が隠されていると推測せざるを得ない」と書いたが、いくつか考えられることがあるのでメモとして記す。

1.費用問題
以下のFNN(フジテレビ)報道では聖火台に関して「常設か仮設か」という論点が出ている。
<誰が費用を負担するのかという問題も、はらんでいる。
聖火台を常設にした場合、費用は競技場の事業主体であるJSC(日本スポーツ振興センター)などが負担。
一方、オリンピック期間だけの仮設の場合は、組織委員会が負担することになっている。
JSCは、「聖火台はオリンピックに関わるところなので、当然、組織委員会の負担という認識」で、関係者によると、先週JSC側から組織委員会側に、「競技場の外に、仮設での設置をお願いしたい」という打診があったという。
組織委員会の幹部からは、「費用と責任をこちらに押しつけたいのだろう。聖火台をどうするかは、国の責任で決めるべきだ」と、反発の声が上がっている。
常設か、仮設か、そして、どこに設置するのか、聖火台をめぐる議論の火消しは、難航するとみられる。 >

この記事には数多い他の聖火台関連報道にも出ていない内容が入っており、政府筋のリークかも知れない。例えばJSCが仮設にして組織委員会に費用と責任を投げたいのは重々分るが(笑)、「先週(2月末)に打診」というのは幾ら何でも遅すぎる。リーク元の思惑が入っていそう。やはり裏事情があるのだろう。
その詳細は分らないが、今まで出て来ていない話として官邸の新国立競技場の整備計画再検討推進室」(副室長 和泉総理補佐官)が聖火台問題でどのように動いているか。新計画の実質的な権限は文科省・JSCではなく推進室にあるから、実質責任も当然ある。情報が隠蔽されてしまうのは、推進室が表に出て来なくて文科省やJSCからの情報が報道されていることも大きいだろう。推進室がどのように差配して来ているのか、そろそろ報道機関も注目すべき。
なお、推進室がバックについていながら、何故聖火台について未検討という話が一気に表に出てきたのか?という疑問もある。大臣やJSCなどの関係者には「当然考えていますが、シークレットにすべき部分もあるので今は明かせません」と言わせておいて、裏で今後調整すれば良かった。
これについては、仮定であるが推進室も聖火台の費用負担は解決困難だったのではないか。そして基本設計確定が近づいてきたので表に出してきたのかも知れない。JSCと組織委員会のどちらが負担するにせよ国費の使用になる。あれだけ費用で揉めて新計画にしたのに、ここに来て追加負担では政権の信用問題になり、野党の追及も出てくる。4月末までに結論という先送りは予算審議等への影響も考慮したか。果たしてどのように費用問題を決着させるのだろうか。

2.仮設・常設問題
まず旧聖火台の使用に関して、「川口鋳物」使用の陳情は先日記事で紹介したが、もっと端的に「JSCが検討している」という記事もあった(2月末なので上記記事と連動させたリークの可能性有り)。
<1964年の東京五輪開会式で使われた旧国立競技場(解体)の聖火台について、日本スポーツ振興センターは26日、2020年の東京五輪開会式での使用を検討していることを明らかにした。 
 今後、大会組織委員会などと協議し、新国立競技場の基本設計を終える今年5月までに判断する。>

先日記事で紹介したように旧聖火台の製作過程には命がけの物づくりのドラマもあり、再活用の可能性は相当高いと思われる。もしかするとJSCは安直に「外部に仮設を組んで旧聖火台を乗せる」程度で考えていたのかもしれない。それだと費用も仮設の仕様も組織委員会に丸投げできる。しかし、組織委員会はその程度のものでは困るだろう。前項の費用面と同様に、推進室でも両組織間の仕様調整が困難になったのかも知れない。
またソチでの外部聖火台(常設)の豪華さを昨日記事等で紹介したが、もし仮設になっても例えば石油掘削櫓のようなものというわけにはいかない(笑) 演出次第とはいえ旧聖火台を乗せる部分の外観も重要だし、ある程度の高さや大きさも必要になるだろう。
しかも火を使うから注意が必要。実際にゼネコンがJSCに対して「立体都市公園や新明治公園内などは、都市公園法により聖火台が設置できないものと考えて宜しいでしょうか」という質問書を出している(昨日記事参照)。それに対してJSCは「事業対象外」とあっさり回答しているが、ゼネコン側としたらもし聖火台を場外に作るとなったら大きさや外構デザインとのマッチング等を考慮しておかなければいけないから、このような質問になったと想定される(敷地が狭いから新明治公園への設置可能性なども検討したものと思われる)。都市公園法施行令で「火の使用」は制限されているので設置する場合は仮設であっても検討が必要。禁止行為の規定は都市公園法施行令第十八条3 公園管理者が指定した場所以外の場所でたき火をすること」となっているので許可を得ればOKの可能性は有るが、外部設置も検討事項が多いことは確実(許可が得られても位置的に競技場と離れてしまう問題などもある)。

3.B案との関連
前項のように外部設置も検討課題が多く、その点B案の旧聖火台を場内設置する方式は魅力が出てくる。これが昨年12月の決定前に分かっていれば、B案は僅差を逆転できたのではないか。伊東氏は目立たせないようにしていたと云うことのようだが、決定が近づいた時点で明らかにしていれば逆転要因になりえた可能性あり。ただ、現時点で考えればA案は設計が進んでいてB案は止めているだろうから、工期面では差が広がっている。もしや推進室がA案屋根木造の弱点を表面化させないように狙った高等戦術だったのか。

以上
[追記]
以下の記事も注目される。
<検察当局は「報告書の指摘は日本側が国際陸連に金銭を支払ったおかげで東京への招致に成功したと思わせる内容だ」として、事実関係や目的について慎重に調べを進める方針を示しました。>
文藝春秋「由利俊太郎氏記事」で示唆されていた「ザハ氏のIOCへのアピール力」と何か関連が出てくるか。

追記以上