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聖火台問題18「WT検討結果…推奨設置場所」

官邸HPで聖火台検討WTの検討結果が報告されている、
平成28年4月28日に開催された第4回新国立競技場の聖火台に関する検討ワーキング・チームにおいて、「新国立競技場の聖火台の設置場所について」が決定されました。>
新国立競技場の聖火台の設置場所について”平成28年4月28日 新国立競技場の聖火台に関する検討ワーキング・チーム 

これについて順を追って見ていくと、まず1項で経緯説明がなされている。
----「1.聖火台の設置場所に関する経緯」抜粋開始----
従前計画時) 
必要な追加工事を組織委員会が検討し、実施する方針であった。従って、従前の計画時には聖火台に関する計画・予算積算は措置されていなかった。 
新整備計画以降) 
 聖火台については、開閉会式のセレモニーとも密接に関連する事柄であるため、・・・技術提案の要求水準に盛り込むことは見送られ、後日検討する課題として整理されてきた。 
----1項抜粋終了----

旧計画時は「組織委員会が必要な追加工事を検討・実施する方針」だった。更に新計画でも「開閉会式セレモニーとの関連があるため後日の検討課題」として技術提案の要求に入れなかった。これは遠藤・馳両大臣の会見発言などで分っていたことであるが、公式に確認された。特に旧計画では「聖火台は追加工事扱いで、その担当は組織委員会」だったと明記されたことは重要。

次に2項では設置場所に関する基本的考え方が述べられている
----「2.聖火台の設置場所に関する基本的考え方 」抜粋開始----
(基本的考え方) 
別紙1の通り、聖火台の設置場所の基本的考え方を整理する。 
(今後の進め方) 
大会の2~3年前 組織委員会が、セレモニーの演出チームを編成し、検討を開始 
・大会の1年半前まで 聖火台のデザイン、場所等について、組織委員会がIOCの承認を得る 
(費用負担)
新しく聖火台を製作することとする場合の設置主体・費用負担については、…今後関係者間で検討を進めることとする。 
----2項抜粋終了----

上記今後の進め方については、演出チーム選出からになるので費用負担も含め結果的には少なくとも来年以降に先送りという結論(笑) 別紙の内容抜粋は以下に示す。
----(別紙1) 「聖火台の設置場所に関する基本的考え方」抜粋開始----
過去の事例に鑑みれば、競技中の聖火台の設置場所については、(1)屋根の上、(2)フィールド、(3)スタンド、(4)外部(敷地内)が、候補として想定される。 
全ての観客から聖火台が見える(2)フィールド、又はスタジアムの外にいる人々から聖火台が見える(4)外部(敷地内)に設置する場合は、(1)及び(3)に比べて、技術的制約要因が少ないと考えられる。 
----別紙1抜粋終了----

ここで示された考え方によってマスコミは、”聖火台の設置場所 フィールドか場外を推奨”(4月28日NHK)と報道した。しかし、前述の「今後の進め方」からすると、検討先送りになっていて明確な結論が得られたとは言い難い。例えば、フィールド設置はロンドンの先例があるが、真夏の日本において選手が汗だくで死闘を繰り広げている横で大きな聖火が燃えているのはいかがなものか(笑) ちなみに、真面目な話として季節的に「蒸し暑さ」と「台風」は東京五輪の深刻なリスクと当方は見ている。

つまり、「外部」設置が有力と思われる。JSC(と多分組織委員会)もザハ案時には、「フィールドで着火、その後場外へ移動」と考えていたようだから、結局それに戻ったということ。まさに「大山鳴動して鼠一匹」という結果だが、実はあっさり見過ごせない事態であると思う。

この程度の結論なら、官僚が1週間もあれば検討して概略まとめられるレベルだろう(官僚が出来なければ能力不足の問題になる)。それが何故今回大きな騒ぎになったのか。ここが全く明かされておらず、いつもの隠ぺい体質が繰り返されている(議事録もない)。
考えられる理由としては、「官邸チーム」の仕切りが悪かったのか、「森組織委員長」らが政府に押し付けるために揉めさせ表面化させたのか。結果から見ると、WTの実質は「官邸チーム」になって組織委員会側は押し付けに成功したように思えるから、後者が有力か。

しかも、森氏はWT報告が出ても、なお次のようなことを言っている。
森喜朗会長は28日、新国立競技場の聖火台について「財源は組織委が考えるべきものじゃない。国立競技場の施設だから、設計、製作は国が責任を持ってやる」と述べ、費用負担を含め国が主体となって進めるべきだとの考えを示した。>

この「過度な国頼み」の姿勢は何とかしないと五輪準備全体も危ういと思う。
またWTまで設けて検討するなら、内外から見える「②スタンド上部」に持っていくために技術的課題を検討して解決の目途を立てていくのかと思いきや、結局元々検討していたと思われる外部を推奨と云う情けない結果。しかも残しておくべき外部の「敷地外」は何故か抜かれている。官僚の調整能力は一体どうなったのかと思う。
前から気になっているが、「政治主導」だと官僚は政治家からの指示待ちになり、「官僚主導」だと政治家が官僚頼みになる。これには解決の手法があるのだろうか。根本的な課題と思われるが、聖火台の件からでもそれが見えて来るという事案になっている。

なお、「敷地外」を抜いているのは、敷地外になればJSCとは無関係になって組織委員会の責任が明確化されてしまうことを避けたのかも知れない。森会長の意向を反映している可能性が有りそうだが、もしそのようなことならやはり出来るだけ早く交代してもらった方が良いと思う。

以上