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聖火台問題13…聖火台検討WT第2回、及び追記「森氏在任期間意向」

聖火台検討WT第2回会合(3月25日)が行われ、その情報を元にした以下の記事が出た。
<2020年東京五輪パラリンピックの主会場となる新国立競技場の聖火台問題を検討する第2回会合が25日、都内で行われ、大会組織委員会は競技場上部への設置が最善だとの認識を示した。国際オリンピック委員会の規定でも大会中は会場内外から聖火が目視できることが望ましいとしており、そのガイドラインに従った形だ。
  最近では08年北京、00年シドニーがこのタイプ。それが困難な場合はスタンドやグラウンドに設置する12年ロンドンや88年ソウルのようなタイプ。ともに不可能な場合は場外設置も視野に入れるという、3段階の優先順位を提案した。
  一方、日本スポーツ振興センターは屋根の上部に設置した場合は「相当数の観客席から聖火台が見えない」との試算を示した。>

昨日記事で書いたように、「現在の聖火台問題に関して演出家や演出の話を出すのは早すぎ」という点において、最近出されている組織委員会の見方と当ブログは一致する。その上で上記記事が伝えているように、演出家や演出が決まってなくても基本検討として色々な可能性を想定し何段階かの案を考えておくことは当然の対応。今頃このような議論をしているのがおかしい。JSCも組織委員会文科省キャリヤ官僚や元官僚が実務面の責任者クラスで入っている。それでこのような有様だから、このところの記事で懸念を書いてきた「官僚のレベル低下」がやはり著しいということか。

なお、会合の議事次第と資料も既にアップされていて、この辺は官僚も仕事が早くなっている。
この中の資料3で三つの場合が示されている(①~③の番号は当方付与)。
これを上記日刊スポーツ記事の記述と照らし合わせてみる。
 ①屋根の上部…記事:08年北京、00年シドニー
イメージ 1

 ②スタジアム内部…記事:12年ロンドン、88年ソウル
イメージ 2

 ③スタジアム外部記事にはないが例えばソチ
イメージ 3

こうしてみると、記事には何故か前回東京五輪(④とする)が入っていない。
イメージ 4

④の位置を①~③に照らし合わせてみると、外部(③)ではないから①か②に含まれるのかということになる。
同じく資料3の「技術上の課題」に、特に①についての記述と思われる以下内容がある。屋根耐荷重や風荷重の検討が必要ということで「屋根の上側=外側」に設置する場合と考えられる。
<構造的な検証(特に屋根に設置する場合には耐荷重や風荷重)、配管設置の検証等が必要となる。 >
そして旧国立競技場は聖火台部分に屋根はないから、①ではないことになる。ただし、写真を見るとシドニーも「屋根の上側」ではないようだし、北京も厳密には「屋根の側面」と見える。
④が③と①に含まれないなら残るのは②になる。④は観客席の中にあるから「スタジアム内部」と考えて、②に含まれるとするのは妥当性有りと思われる。しかし、②のロンドンとソウルは外部から見えない(特にロンドン)。④は外部からも見えると思われ、その点では①との共通性が有る。

また、以下記事でも「①→②→③」という優先順位で組織委員会が要望しているとのこと。④は内外から見えるということで一番優先になると想定すれば、④は①に含まれると考えた方が適切かもしれない。しかし、④はどう見ても「屋根の上」ではない。結果的に、この資料だけだと矛盾が解消されないようなので、今後もっと詳細が明らかになるか。(この辺は明日3月28日記事で再度検証)
<五組織委員会は、聖火台置き場について(1)屋根の上(2)場内(3)場外の順に望ましいと要望。>

また、資料4に前回聖火台の保存場所が「敷地東側」となっていて、この部分を抜き出して報じた記事も有り誤解を招きかねないが、あくまでも保存用で検討している場所。今回大会中に再使用する場合は上記①~③(或いは④)への配置が検討されることになる。

防災面も重要検討事項。木造屋根があるA案で①②や④の場合に、防火対策が出来るかどうかということになる。防災面は資料3に以下の説明がある。
<○防災上の課題 
消防関係法令上、聖火台は「炉」及び「裸火」として取り扱われると考えられ、原則として周囲に5m以上、上方10m以上の空間確保が必要となる。 ただし、消防署長等が同等以上の安全性を確保することができると認めた場合等においては、これらの規定によらないこととできる可能性がある。 >
「周囲に5m以上、上方10m以上の空間確保」はスタジアム設計上で影響するレベルのスペースと思われる。隈氏の「どこにでも置ける」という発言との関係はどうなるだろうか。また、防火対策が特に重要な日本なのだから、安直とも受け取られかねない発言は避けて頂きたいし、消防署長等承認のような「例外規定」に関しては今後の前例になることも考慮して、なるべく使用しないほうが望ましいと思える。

以上
[追記]
一昨日には毎日新聞で以下の記事が出ていた。
<五輪というビッグイベントにミスが相次いでいることに対し、新国立競技場旧計画の白紙撤回を求めていた大野秀敏・東京大名誉教授は「大会を統括するプロデューサーが存在しないのではないか」と指摘する。プロデューサーの役目は大会の準備と運営に必要なことをすべて把握し、さまざまな立場の人たちの意見を束ね、時には競技団体などに我慢を強いること。
「その役割を果たしている人物はいますか」と、大野さんは語気を強めるのだ。>

ここで言っているプロデューサーは演出家とは別の役割だから、実現しようとするとプロデューサーも新たに選ぶことになってしまう。既に五輪担当大臣がいて、組織委員会の会長や事務総長もいるので屋上屋を架すことになる。ただし、その人たちが能力的にどうかという大きな問題は有る。例えば五輪大臣を選びなおして、プロデューサーとして動ける人にするという手は有るかも知れない。しかし、もし民間人で能力の高い人を持ってきても、今でも様々な陳情が行われるなど膨大な要望を調整しなければならないから、やはり五輪担当大臣には政治家が必要、などとなってしまいかねない。人選は非常に難しくなる。

組織委員会会長にプロデューサー的役割を果たして貰うことも考えられるかも知れないが、今は名誉職的な森会長。そのような中で毎日新聞の同じシリーズ記事に森氏自身が昨年10月に「後3年、総理任期まで」と安倍総理に伝えたとの話が載っている。2018年9月までと云うことになる。体調も厳しい中で頑張っておられて更に続ける意欲は立派と思うが、昨今のドタバタどころではない有様を見ていると何とかもっと早く・・・。
<もうドタバタ劇はごめんである。国民は、新しい時代にふさわしい東京五輪へ本格的なエンジンのかかることを待ち望んでいる。森さんは開会式には83歳になっている。「老害か……」。そうつぶやき、ある決意を安倍首相に伝えたと打ち明けた。10月3日、東京・富ケ谷にある私邸を訪ねたという。首相がニューヨークでの国連総会から帰国した翌日のこと。「組織をまとめあげるまでが私の役割だと思っている。あと3年はちゃんとやるよ。総理の任期まで私はがんを抱えた身でもあるから、と」。>

追記以上