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聖火台問題12…「開会式・聖火台と演出」及び馳大臣会見

毎日新聞で以下の記事が出ている。
<2020年東京五輪パラリンピック組織委員会は25日、五輪開会式の詳細な演出内容は大会の半年から1年前に国際オリンピック委員会(IOC)の承認を得る必要があるとの認識を示した。演出家の選定や制作チームの編成など、2、3年前から演出に関する具体的な作業を始める段取りを想定している。

IOCの事前承認は当然として、演出家選定など演出に関する具体的作業開始は2、3年前からというのは当ブログの見方と同様になっている。現在の聖火台問題に関して「演出家や演出」の話を出すのは早すぎたことがこれで分ると思う。
参考として長野五輪の例もあった。
<日本を代表する芸術家の一員として長野五輪の開会式をプロデュースしたり、シナリオを書いたりした新井さんに、当時のお話を伺いました。
 「ちょうど五輪開催の3年ほど前に、長野五輪事務局から『長野五輪の基本コンセプトを考えてほしい』と頼まれたんです。・・・
 1年にもわたる試行錯誤。演出家だけでなく、様々な分野の人々と意見交換することで、その時代にフィットするメッセージを探していったのですね。>

文科省などには、このような事情を知っている人がいるはずなのに、正しい認識がタイムリーに出されず論議が混乱する。マスコミは演出家や演出というような言葉が出るとキャッチーだから深く考えずに取り上げてしまうし、ビートたけし氏などは自らも監督で分っていても面白おかしくする方を選ぶ(たけし氏も超大御所になって迎合傾向が強まって来たか)。

なお、馳大臣が聖火台の経緯を詳細に語っている。
長いので会見録から該当部分を抜き出して追記に示す。
その中で注目した点を二つ抽出。まずはザハ案時の構想に関して馳大臣は次のように述べている。
<ザハさんの案のときには全天候、屋根が覆うようになっていました。しかし、そのときには真ん中で火をつけて、つけた火を種火にして、競技場の広場に持っていって、そこでばっとお示しをすると、このようになっていました。>
→「競技場の広場」というのは、場外で敷地内のどこかということだろうか。もしそうだとザハ案では外部設置での構想があったということになる。

次に、ザハ案でも検討はされていたにもかかわらず新コンペでは抜けたが、その責任問題について馳氏は以下のように二通りのことを述べている。
<責任者は、総合的に判断していくには、もうおわかりいただいたと思います、これこそが遠藤オリパラ大臣の責任ではないかということで、責任者を遠藤さんにピン留め、昨日の時点でしました。>
私はみんなの責任だと思っていました、…みんなでこの問題を、論点、認識を共有しましょう
→組織間にまたがる問題だから、五輪全体の担当である遠藤大臣の責任とするのは妥当と思えるが、結局は「みんなの責任」ということにしてしまっている。一見うまくまとめたようになるが、結果的には五輪担当大臣の責任は曖昧になる。やはり、当ブログでも危惧を書いてきた遠藤大臣の頼りなさをフォローするという面が出ているようにも思う。そのようなことをしていると、組織委員会の森氏も含めて責任の押し付け合いと有耶無耶化が残るばかり。体制問題は深刻(特に森会長と五輪大臣)。

以上
[追記]馳大臣3月4日会見(聖火台関連部分)
記者)
 昨日、オリパラの組織委員会で、聖火台について話し合うという調整会議がありましたが、まず大臣は設置場所について、どのようなアイデアやお考えをお持ちかということと、遠藤座長のところで費用負担の在り方についても考えるというような発言がありました。現実的に考えると、国と都、今の枠組の中でやるのか、オリンピックで使うので組織委員会が出してくださいということになるのか、その辺りになるのではないかと思いますが、費用負担の在り方についても、大臣の考えをお聞かせ願えればと思います。
大臣)
 基本的なベースラインをお伝えします。
 最初の、ザハさんの案のときには全天候、屋根が覆うようになっていました。しかし、そのときには真ん中で火をつけて、つけた火を種火にして、競技場の広場に持っていって、そこでばっとお示しをすると、このようになっていました。ところが、残念ながら白紙撤回となりましたので、A案、B案、そしてA案、隈研吾さんの案に決まったという、こういう経緯の中で、これは聖火台だけで実は考えられないんです。このことをちょっとお話しします。今般調整会議を開いたということで、そのベースをお伝えします。
 開会式、閉会式においては、極めて重要な意味を持っています。聖火が採火されて、日本国中をリレーで渡りながら、最終的に点火されます。点火するイベントは、開会式のある意味ではメインイベントです。
 同時にオリンピック、そしてパラリンピックが終わった後、その聖火が次の会場に引き継がれることになります。これはまた大きなイベントであり、象徴にもなります。実はIOCには、聖火の取扱いについてのルールがあるのです。そして、最終的にデザインとか、どこの場所にとか、点火方式というのをIOCと調整しなければいけないのです。
 と考えると、残念ながらA案、B案の時点においては、聖火台を決めて出すことは、何となくはばかられるというか、まだその議論をする一歩手前のところだったのです。その時点でしておけばよかったという御批判も、私はあろうと思います。
 ところが、私も実は招致から関わっている人間からすれば、IOCと調整をする必要があるというピン留めがある以上、その背景には当然IOCマーケティングの大層を占めているテレビ局なんです。どのように演出をし、どのようにそれを世界に発信をするか、テレビ局の御意見も参考にしなければいけません。
 となると、そこまでの議論をしていると、だんだんわかってきたと思いますが、2020年の開会式で聖火台に点火をどうするのかという、そこまで踏み込んでしまうことになりつつあるのですが、これはまさしくトップシークレットでありまして、このことを踏まえた上で、場所をどこにするか、もちろんトップシークレットである点火方式をどうするか、大会中どこに掲げておくか、閉会式のクロージングセレモニー、このようなことを総合的に判断していかなければいけないので、昨日の調整会議では、その論点を出し合った上で、当然必要な財源をどう確保するのか。ちなみに、長野オリンピックのときには、スポンサーである東京ガスさんにお世話になったんです。なぜかといえば、まさしく東京ガスさんに新しい時代のエネルギーということで、どうぞということで提供いただいたんです。
 随分詳しく言ってしまいましたが、したがって開会式、閉会式、そして大会期間中に関わることであり、同時に終わった後、誰もが聖火台をオリンピックのレガシーとして残しておきたいと思っています。その場所に残すのか、違う場所に残すのかも、実はそれも判断が必要です。
 こういう論点を昨日出し合いまして、これは責任者は、総合的に判断していくには、もうおわかりいただいたと思います、これこそが遠藤オリパラ大臣の責任ではないかということで、責任者を遠藤さんにピン留め、昨日の時点でしました。
 今ちょっと詳しく申し上げ過ぎましたが、こういう総合的な観点から、財源の問題、場所をどこに、また方式等、速やかにアウトラインだけでも決めていく。しかし、トップシークレットの部分がありますから、その部分については、どこからどのように映像を撮って発信するかということも、これもオリンピックの一つの醍醐味ですので、これはIOCとは丁寧に議論しなければいけない。アウトラインだけでも、5月の連休前には決めておかないといけませんよねと、そのことによって、大きな変更が新国立競技場の設計、施工に影響があってはいけませんよねと。でも、今のうちにそれを決めておかないと、小さな変更はあり得るかもしれませんが、大きな変更になってはいけませんよねと。
 こういう観点で、開会式、閉会式、なかんずく聖火台の在り方という問題について、調整会議で昨日総合的な議論をしたところです。
 改めて、みんなで協力しようということで、舛添都知事も、竹田JOC会長も、山脇JPC会長も、もちろん森組織委員会会長もそうですが、みんなの課題として認識をした上で、遠藤さんに最終的に責任を持ってやってもらおうと、こういう議論でありました。
記者)
 ザハさんのときは、そういうやり方で聖火をともすということになっていたと大臣はおっしゃいましたが、これは白紙撤回になって、別のスタジアムを造るとしても、あのような形で外に聖火台を置くと、要するにザハさんのときと同じようにしようという話になっていたわけじゃなかったということなのでしょうか。
大臣)
 それはあなたの案でしょう。
記者)
 ザハさんのときに、そのようになったとおっしゃったと思うので、スタジアムが変わっても、その案が継続しているのか、どうなのかとちょっと思いました。
大臣)
 そのような思い込みを、どうもJSCの皆さん方も持っておられたようでありますので、おい、どうするとなったから、ちょっと待てとなりました。それは調整会議でこそしっかり議論して、責任を決めて、総合的に判断すべきですし、そして、マスコミ報道で出せる部分と出せない部分がありますから、ここは皆さん御理解くださいと、その仕切りを昨日やったというわけであります。
記者)
 もう一つ先ほどお伺いしたところで、費用負担の在り方について、大臣としては、誰がどのように出していくのが望ましいとか、お考えはありますか。
大臣)
 つまりこの聖火台は、新国立競技場の実はメインスペックではありません。これは誰もがわかっていますけれども、2020年のオリンピック・パラリンピックにとっては、象徴となるべき設備、施設でありますので、費用の負担の在り方も、今、あまりがちがちと決めない方がよくて、長野オリンピックのときには東京ガスさんに大変お世話になりました。感謝しております。
 そうすると、ここからが問題で、まさしく点火の仕方は、トップシークレットであり、あっと驚くようなサプライズも検討に入ると思います。それは我が国において、それが新たな我が国のイノベーションになる可能性もあります。同時にこれは、人為的に火をつけなければいけないのです。ぴっとボタンを押して、ぱっと火がつきましたと、IOCのルールでこれは駄目なんです。
 そのようなちょっと弾力的な発想の豊かさで考える必要もあるから、おそらくこのようなマネジメントに詳しい人とか、イベント等で技術的なことに詳しい人も入れながら、これは検討した方がいいのではないかと、こういう議論を昨日いたしました。そういうことであります。
記者)
 関連して2点あるのですが、先ほどあと2か月で決めるということになっているので、そうなるとA案が決まった時点で動き出してもいいのかなという気がしたのですが、ちょっと遅いと言われている点について、あと2か月で決めるということについて、改めてお伺いしたいのと、あと、昨日遠藤大臣に責任をピン留めというお話があったのですが、JSCやスポーツ庁などによりますと、オリンピックに必要な設備だから、聖火台は組織委員会の負担だという認識のようだったのですが、それは遠藤大臣も馳大臣も、それまではそういう認識をされていなかったという理解でよろしいですか。
大臣)
 ここはアウトラインを決めますよと、私はさっき申し上げたと思います。がちがちに聖火台に関することを何から何まで、金額も含めてこう決めるというような言い方はしていなかったと思います。アウトラインを決めます。そのアウトラインは先ほど申し上げたとおりであり、言えないこともたくさんありますが、アウトラインは決めましょう。これが1つ目。2つ目が何でしたっけ。
記者)
 これまでは、組織委員会の責任と、馳大臣と遠藤大臣は認識しておられなかったのかということです。
大臣)
 これは、遠藤大臣は遠藤大臣に聞いていただければいいのですが、私はみんなの責任だと思っていましたので、昨日改めて調整会議を開かれたので、みんなの責任なのだけれども、持ち主のJSCの問題意識は、私たちより多分高いと思っています。これはオリンピックの運営に関することでもあるし、レガシーにも関することなので、これこそ調整会議で話をして、責任者をピン留めしておく必要がありますよということで議論した結果、これは政治的な判断も必要だろうから遠藤大臣がすべきだと、みんながそれはそうだなと、今のところ持ち主はJSCだけれども、JSCだけにこの大きい荷物を背負わせておくわけにはいかないだろう。
 なぜかというと、IOCとのミーティングもして、IOCのルールに従わなければいけないので、こういう交渉事は、我が国唯一のIOC委員である竹田さんであったり、あるいは組織委員会そのものが議論の中枢になる必要があるでしょう。
 では、持ち主はJSC、JSC単独で予算権があるわけではないので、私が所管をしていると考えると、同時に聖火台はオリンピックのレガシーとして、極めて重要な意味を持っておりますので、ここはみんなでこの問題を、論点、認識を共有しましょうと、そして、アウトラインを連休前に決めましょう。その上でスケジュールを作って進めていきましょう。
 そういう意味では、私はいいタイミングで昨日の調整会議を行っていただいたと思っています。
記者)
 遅いというふうには思わないですか。
大臣)
 全く思いません。いいタイミングで議論をすることができたと思っています。

追記以上