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聖火台問題3…公式書類記載まとめ(3月6日)

昨日記事で「A案の技術提案書では(旧)聖火台の位置が見つけられなかった」と書いたが、「花粉花粉2016」さんのツィートを参照させていただいて「基本図面」の「記念作品リスト」に入っていることが判明した。
その記述や昨日・一昨日記事内容も含め、聖火台問題に関して現時点までに分った「公式書類にある記載事項」のまとめと若干の考察を実施。更にソチとの対比検討も行う。

----公式書類記載事項まとめ開始----
(1)新計画聖火台JSCはゼネコンに「新しい聖火台工事は本事業対象外」と文書回答
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[考察] 非常に重要な事実と思われるが、これに言及した報道は今まで見ていない。河野理事長名で出されているが、実際にJSCの誰がどのような形で承認を受けて回答したかを調査すると、聖火台についての経緯が相当判明するのではないか。

(2)記念作品等の再配置や保存…応募要項規定で聖火台は対象作品のNo.1に記載
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[考察] A案・B案とも再配置対応している(位置は次項)。しかし、川口鋳物による旧聖火台は「日本の物づくり」の象徴のような作成経過があるなどレガシーの価値があり、保存にとどまらず再活用の話は以前からあった(昨日記事参照)。当然聖火台について関係者で話し合いがされているのは確実で、新計画において場内か場外かという基本部分さえも決まっていないのは不可解。どこかで経緯情報が隠されていると推測せざるを得ない。 

(3)新コンペ両案の(旧)聖火台位置…前項再配置・保存規定対応

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[考察] 上図B案の位置(①スタンド最上部)は観客席全体から見やすい好位置と思われ、保存にとどまらず伊東氏が述べているように再活用前提だったと個人的には推察。一方A案の位置はスタンド裏側で観客席からは見えないと思われる。ただし、隈氏は以下のように述べており、実現方法の詳細は別にして新計画での聖火台の場内設置は可能と考えているようである。
<木材を使っている点について、「スタンドの最上部に置けば、その上が鉄なので危険性は少ないし、屋根の上に聖火台を載せても耐えられる」と話し、構造上は競技場の中に置くことが可能だという見解を示しました。>

(4)ザハ案書類…デザインコンペ要項及びフレームワーク・基本・実施各設計書に新聖火台の記載は無いようである
ただし、実施設計書に以下記述があり、JSCは組織委員会と要望事項の打合せを行っていた。

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[考察] 開会式演出に関する話し合いをして聖火台の話が出ないことは有りえず、以下のようなJSCの話は余り納得性がない。一体どこでおかしくなったか。
<JSCは屋根で覆うザハ・ハディド氏監修の旧計画でも外に置くことを想定しており、「組織委から聞き取った要望の中に、聖火台を競技場内に置くという話はなく、(白紙撤回後の)公募時にも設置場所は想定しなかった」(幹部)。>

----まとめ終了----

[ソチとの対比考察]
まず以下記事のように場外配置するとしたら「夏の五輪では異例」という報道がある。
国際オリンピック委員会は「聖火台は全観客から見える位置に置くべきだ」という原則を定めており、競技場外の設置は夏の五輪では異例。>

これについて考えてみると、ソチで開会式で使われた会場はサッカー場のようである(下図のように改良して2018年ロシアW杯で使用するとのこと)。
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つまり、冬季五輪の競技は開会式会場では実施されないから、聖火台を場内に置いても余り意味がないので、もっと見えやすい外部配置にしたことが考えられる。「冬季五輪では外部配置に積極的意味がある」ということになる。このことは重要と思うが、今までの報道では言及を見ていない。

夏季五輪である東京で外部配置にする場合、ザハ案の際には全屋根付きという理由をIOCも理解してくれただろう。異例でも承認された可能性は充分有った。日程的には昨年ザハ案で着工間近だったのだから、組織委を通じてIOCと事前調整がされていたと想定される。ザハ案で外部配置がIOCに了承されていれば、その延長で新計画でも事情(屋根木造)を説明すれば承認得ることは可能ではないのか。つまり、ザハ案の時にどうなっていたかが重要だが、今は不明なので以下の点を明らかにすべきと思う。
 ・JSCから組織委に「ザハ案は全屋根のため聖火台は外部配置」と明確に伝えられていたか?
 ・組織委が外部配置のJSC意向を聞いていた場合、IOCとの話し合いや組織委の構想等はどうなっていたか?
後は新コンペで仕切り直した時にどうだったかだが、それも含めて何かまだ表に出ていない経緯があると推察。今までも隠ぺいで失敗して来ているのに、また隠ぺいしたまま「今後対応を決める」ということになりそうな政府の対応は大いに疑問。

なおソチの聖火台写真は昨日記事で示したが、別アングルで正面からの写真もあった。
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白鳥を模したと思われる聖火台が、バックの競技場と一線上に作られている。外部配置の前例がこれほど精緻な設計になっているということで、ザハ案も外部を考えていたなら早くから事前検討が必要だった。当然JSCも分っていたはずで組織委との打ち合わせを全くやってなかったとは思えないが、一体どうなっていたのだろうか。また費用問題であれほど騒がれたのだから、ソチほど豪華でなくても費用が発生することは確実で事前調整は必須。

工期的にも、ソチ聖火台で考えてみると高さ約20mで噴水池も付いた凝ったデザインだから、すぐに作れるものではないし場所も取る。東京五輪でも、もし外に置くなら日本のイメージを損なわないようなレベルのものが必要になる。それでも出来るだけ簡素にしたとしても、途中から工事すれば元々敷地が狭いから肝心の全体工期への影響も危惧される。外構のデザイン等にも影響が出てくる可能性あり。しかし、隈氏は上記NHK記事で以下のように言っている。
<「設計に携わる自分としては、聖火台は『どこにでも置ける物』だと思っている。演出家が決まらない今の段階で大騒ぎするよりも、開会式の演出が決まったときに議論すればいいのではないか」と話していました。 >
演出家や演出が決まった後では遅すぎるのではないか。かなり安易な発言という印象。隈氏はパクリ問題もあって相当追い込まれているのかも知れない。或いはパクリ問題も含めて、このような発言が余り無理せず出来ているのなら相当の大物ということか。

また、「ザハ案の時も外部で想定されていた」と安直に報道しているメディアもあるが、上記のように外に置く場合は場内設置より手間も費用も時間もかかる可能性が有る。それについてJSCがどう考えていたかまで取材して報道して当然と思うが、なかなか当たり前のことを行うメディアが出てこないようである。

追記以上