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登場者検証12 「隈研吾氏」

まず、昨日追記で言及した今週15日(金)外国人特派員協会での隈氏会見は非常に注目される。これを今までの流れのまま「A案は法隆寺五重塔をモチーフにして和風テイストを重視したオリジナル設計」という見解で乗り切れば、政府と大成チームも今月末の正式契約をそのまま押し切る可能性が高くなりそう。しかしそれで本当に良いのか。日本への信頼も消えていって、何をやっても「分からなければ良い」と云う姿勢の国に変わっていくのだろうか。([追記]に関連記述)

さて、隈氏の新作で今年移転新築された「豊島区役所」を見てきた(下写真左)。ネットでは批判もあるようだが、率直な印象として「結構良いのではないか」と肯定的に捉えた。同区役所建物の特徴として高層マンションと一体になっている(建築費捻出)。だから区役所の方を或る程度目立たせて、背後のマンションの気配を薄めているように感じた。しかも区役所の方は比較的目立つと言っても、お得意の「和」のテイストで木材や緑を使って柔らかい仕上げになっているように感じられた。
背後の建物と一体になっているのは歌舞伎座(写真右)もそうであるが、これも巨大なオフィスビルインパクトは出来るだけ抑えられていると思う。そして地下鉄とつながっている地下の広い空間は移動もし易いし、物販やイベント等で賑わっている。この両建物とも当方は成功と受け止めた。(写真は両方ネットから)

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そのような能力をお持ちでありながら、今回はこのような事態になった。人間関係のしがらみ等も考えられ、隈氏の心中を察すれば、ご自身も心苦しいのではないか。それでも一旦決まってしまうと世間は動いていく。木材売り込みのNHK報道は既にご紹介したが、一昨日の読売新聞朝刊スポーツ面には「先読み東京五輪」ということで新国立競技場(A案)が大きく紹介されていた。

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内容は技術提案書の抜粋だが、問題点も既に表れている。例えば以下は「木製のひさし」となっているが、ひさし自体は木製ではなく、右側図のように下側に木材を貼り付けている構造と想定される。
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左側図は技術提案書にあるが、それに「木製のひさし」という題名は付いていない。読売新聞で斟酌して付けたと思われるが、「五重塔をイメージしたひさし」となれば、ひさし自体も「木製」と思ってしまうことはやむを得ない。”「プーさん」のひとりごと”ブログでも次のように錯覚が指摘されている。
A案では庇の下側に縦の木格子が打たれ、見上げた時には軒のような錯覚を受けますが、上面は平坦で外側に0.6×1mの植栽ユニットが置かれ、その内側は約1m弱の平坦な管理用スペースになっています。>
表面的に取り繕って「まやかし」しようとしても、上図右のように断面図なども出ているのだから「モチーフ偽装」を見破る人は増えていくだろう。


また、読売記事には「フレームユニット」の図も載っている。これはザハ案と並べるとよく似ていて、こういうところから類似性に気がつく人も出てくるだろう。
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それでも一般的には深い関心がある人でも無い限り、ザハ案の骨組みまでは知らないし、精々「似ているかもしれないが、偶然かもしれない」というような反応がほとんどだろう。だが流用はフレームのみならず多岐にわたり、建築関係者なら公開図面を比較して容易に認識できるレベル。このまま業界全体で、そして建築専門家に確認できるはずのマスコミも含めて、沈黙を続けるのだろうか。

以上
[追記]
上記本文を書いたあとにネットを見たら、外電でZHAに関する以下記事が出ている。
<Exclusive: Zaha Hadid Architects has reacted angrily to the attempt by the Japan Sports Council to effectively seize ownership of the copyrighted designs >
詳細は見れていないが、「angrily」(怒って)となっているからJSCは又下手を打っているのか? まさかZHAとは「出来レース」に出来ていない?
明日の外国人特派員協会会見前でもあり、どのような展開になるか。

[追記以上]