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モチーフ偽装考

昨日記事でご紹介した「プーさん」のブログ記事は、実質的にモチーフ偽装を示唆しておられるようであり、当方も更に論考してみる。ブログから引用させていただく。
<庇の問題です。A案では3階から5階まで、建物の周囲に庇を廻し、外側に加圧防腐処理をした「木製格子ユニット」を内側に傾斜させて嵌め、梁下には水平に格子ユニットを貼っています。庇の図は技術提案書16頁と21頁に載っていますが、それによると、庇の上部は平坦な面で先端に幅60cm長さ1mの植栽ユニットを孤に沿って並べ、内側に幅1m程度の管理スペースを取っています。
→「管理スペース」があると云うことで技術提案書の図を引用し、管理する人が軒庇に乗る状態を右側に追加。

イメージ 2

日本建築であれば、屋根の先端付近で構造的に弱い部分である軒庇の上に定期的に人が乗るという発想は無いと思う。落ちやすいから乗ったら危ないし、怒られるだろう(笑) 乗るとしても修理時ぐらいか。
上図はどう見ても洋風建築の(手摺りは無いが)バルコニーかベランダではないか。バルコニーなら渚ででもやってもらいたいし、ベランダならどこのマンションにも有るもので、それが法隆寺五重塔につながるとは・・・。

<植栽ユニットを転落の危険のないところに置き、管理し易くするのは常識です。A案設計者があえて軒先に置いたのは、それなりの理由があると思われますが、技術提案書からは何も読み取れません。当然の事ですが、日本の伝統的建築文化で、庇の軒先に植栽ユニットを置いた例は皆無です。
この危険を回避するためには、植栽ユニットを各階のコンコースの外側にある手摺の内側に、少し控えて並べれば、こと足ります。>(当方で記述順序入れ替え有り)
→これも「マンションのベランダにプランターを置く発想」としたら理解できてしまうのではないかと思う。コンコースではなく軒先に置くのは、最外周に置いた方が緑の演出が映えやすいという理由が考えられそう。また管理する人の危険も増すにも関わらず最外周に手摺りが無いのも、植栽を目立たせやすくするためではないか。

このように五重塔がモチーフでは様々な疑問が出てくる。結果的に「モチーフ偽装」は時間が経つにつれて、更に多くの人々から見破られて行くと思う。それは五輪やその後も日本にやってくる海外の方々にも伝わっていくだろう。
ザハ案流用隠しの欺瞞で美しい日本の伝統建築文化を冒涜するのはぜひ考え直して頂きたい。流用するにしても、「原案 ZHA」の明示とともに、モチーフ偽装の部分はデザイナーに知恵と感性を絞って頂いて再検討願いたい。そのための時間は流用効果で生み出せているのではないか。その場合ラグビーW杯はやはり無理ということになって来るだろうが、偽装解消の方が優先と思う。
なお、比較用として壮麗な法隆寺五重塔の写真を示す。
イメージ 1

以上
[追記]
今こそ建築設計界の出番。図らずも巻き込まれたと思われる隈氏、そして五輪に間に合わすために今も頑張っているであろうゼネコンや設計会社、更に良かれと思ってやったはずの政府・JSCにも出来るだけ傷がつかないように配慮して上手くまとめて頂きたいと思う。現在の問題を整理すると大きくは以下の3つと想定する。
 ①ザハ案流用(流用は確定で無許諾と推測され、このままだと原案表記も無しか)
 ②新コンペ公平性毀損(ZHA側調査待つまでもなく、A案のザハ案流用で公平性が失われていた)
 ③モチーフ偽装(日本の国柄にも関わる大きな問題)

建築家の方々の中でこれらに気づいて思い切って動く人が出てくるか。急ぎであることを考えると、影響力の大きい建築設計の大家や関連団体の重鎮などが迅速に動いていただくことが望ましいと思える。それが無理なら中堅や若手がまとまって声を上げるのも効果があると思う。いずれにせよ手遅れにならないことが最重要(ただし前述の各立場への配慮も必要)。

追記以上