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「日本はこのまま国として嘘をつき見え透いた偽装をするのだろうか」

再検証から離れて現在の状況に関して書いてみる。JSCと大成チームの契約が今月末になっているようであり、今週が山場ということになる。先日も書いたが、IOCの調整委員長が来日し先週行われた五輪組織委員会との事務折衝において、竣工時期前倒しと共に「デザインが素晴らしい」と評価されたとのこと。これで逆に政府は厳しい立場になった。

既に昨年末から、特にテレグラフ紙がZHA主張を報道した今月中旬以降、知財や契約等の権利問題が多く論議されて来ている。それに対して政府は対応策が未だ見えない。
ただし、権利問題は重要であるが、もしそれが解決したら「A案を進めて良い」という事になるのだろうか。当方はこのままA案が進行することには反対。その主な理由は知財等の問題より表題に書いたように、A案で建てれば「日本は嘘をついて偽装する国」になってしまうからである。つまり道義の問題。権利問題は相手があるが、道義は自ら判断すべきと思う。
そしてA案をこのまま進行させれば、当方が考えるだけでも以下の様な数多くの問題に目をつぶる事になる。(主に国としての道義的問題を示す)

(1)ZHAとの契約解除経緯を国民に伝えず、更にザハ案骨格流用の意向も隠していた
(2)検証委員会の検証事項例に「ザハ案白紙化経緯」を入れず、検証期間も異例に短くして隠蔽
(3)新コンペ審査委員と委員長を国交省官庁営繕部人脈で固めた偏向人選(審査制御目的か)
(4)A案にザハ案を流用させ、それを明示せず新コンペに応募させた(応募資格違反及びコンペ不成立
(5)中身ザハ案を木材使用と植栽で和風を装い、ベランダ型軒庇で法隆寺五重塔モチーフ偽装
(6)審査委員会は流用に気づかないはずは無いのにA案当選させ、僅差にも関わらず各委員採点未公表
(7)ZHAから類似性を指摘されても、「応募作は著作権侵害無しが規定されている」と五輪相が詭弁釈明
(8)隈氏会見で東京都条例やスタンド形状相違を理由に、「条例等で同じようになるところはあるが、コンセプトが全く違っており似ていない」と公言(実態は中身酷似)
(9)「決まったこと」、「動き始めている」、「IOCにも説明済み」等でA案契約強行? ←今ここ

関係者は「日本のために」と真剣に考えてやっていることも重々分かる。それでも特に(8)では、隈氏はそう言わざるを得ない状況だったと思うが、客観的に見て「嘘をついた」ことになる。隈氏を批判するつもりは全く無く、対外的には一人で重荷を背負う形になって、ご苦労されていると推察。
しかし、如何なる事情があろうとも、流用自体は多数の類似(一致)点存在でもはや動かぬ事実のため、完全否定したのでは「嘘をついた」という結果が残ってしまう。しかも「外国人特派員協会」会見という場で、国立競技場の設計者とされる建築の大家が発言したのだから、国を代表して海外にも発信したことになり、それが嘘だったという悲しい事態。日本という国にとって、このままで本当に良いのか。

ZHAの指摘で世界的にも既に紛糾が知られてしまっている。仮に今後ZHAと権利問題で話がついても、実態を隠蔽したままなら「日本は隠しているが実は中途契約解除までしておいてザハ案を流用している」と知られて行くことになる。五輪で訪れる海外客の多くが知っているような状況にもなりかねない。更に五輪後も30年、50年、或いはそれ以上も存続し、「中身のザハ案を隠して和風を装ったスタジアム」という評価が残っていく。

そして、もっと肝心なことは、先に述べたように「日本人自らが道義の問題をどう考えるか」。
「日本は嘘をつく国」となって、自分はそれでも構わないという人も、家族や親族や友人、職場や地域の人達なども知らぬ間にそのような国の国民になってしまう。避けるべき事態ではないか。
政府には困難な状況であるが何とか方策を考えていただきたい。そのためには、まず国民に対して客観的事実に基づく経緯を明らかにすることだと思う。その上で対応を考えていけば何か明かりは見えて来るのではないか。

以上
明日以降不定期掲載に入り、当面の推移注目。必要が出てきたら随時掲載。