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A案の完成度とラグビーW杯

昨日記事で地下1階の一致度が高いことを紹介したが、トイレ・機械室・通路などの位置と大きさがほぼ同じ。これはトイレの器具や水回り、機械室に置く設備類などもザハ案から想定済みと考えられるし、通路にしても例えば車椅子ですれ違えるかなどの検討済みと推察される。
一致や類似は他の階でも多く有る。また上中段座席部分も一致度が高いことを今まで示してきた。ザハ案の流用可能なところは出来るだけ使っているというような印象。

昨年7月7日に有識者会議でザハ案は実施設計の了承を受けている。つまり着工可能な図面が出来ていて、各種申請に回せる状態だったと云うことになる。アーチタイのような根本的問題はあるが、大部分の実施設計は完了していたと考えられる。
それを流用して、キールアーチを削除し屋根も固定にして設計変更を行った。しかも見直し作業は少なくとも官邸が仕切るようになった5月頃には本格的に始まっていたと推測すれば、新コンペ募集も待たずに流用設計が進行していたのではないか。特に安倍総理の決断に際しては、「白紙見直ししても五輪に確実に間に合う」という見通しが事前に伝えられていたようである。和泉氏を中心とする官邸チームが進言したと思われるが、それが判断できるところまで設計検討が進んでいたと云うことになる。

このように考えてみると、実施設計が済んでいたザハ案流用(活用)により、現時点でもA案の設計はほぼ実施設計まで完了しているような状態に近いのではないか。新計画における屋根部等の変更点などで、まだ詰めは残っているとしても、昨年11月の技術提案書提出以降も正式受注を織り込んで設計作業が進んでいると思われる。現在の完成度は更に上がっていると推測される。
今年12月予定の着工をもっと早められる可能性は高そうである。そうなるとラグビーW杯に間に合う可能性も出てくる。穿った見方をすれば、官邸チームはA案に流用が有っても、更なる日程短縮で2019年9月のW杯に間に合わせる目標を今後公表することにより、押し切るつもりかも知れないと思えてくる。

もしそうなればA案でこのまま進めることも魅力がある。しかし、それでもザハ案ベースを公式に認めることは必須。国が象徴的な大事業で率先して違法、或いは脱法行為を推進するのでは今後示しがつかなくなる。「原案 ZHA」表記のようなアクションは欠かせない。ただし、ザハ案ベースを認めると、何故契約解除したのかという説明が必要になる。加えて以前から述べてきているように、ザハ案のモチーフに法隆寺五重塔が有るとは思えないから、A案のモチーフは後付けということになってくる。これも撤回出来るか。

当方個人的には無理に和風にしないで、もしA案で進める場合も例えば屋根は木材のハイブリッドではなく金属の方が軽量化や高耐久化が出来るのではないかと思う。またあざといし、維持にも手間がかかりそうな軒の植栽も廃止か最小限で良いのではないか。和風推しを取り下げるとこういう変更も可能になるが、コンペの募集要項と合わなくなるから、それも遡って変えるのかということになる。果たして収拾が付くだろうか。
結果的に「A案取り下げでB案へ転換」も、「A案続行」も、そして「ゼロ案」も、それぞれメリットデメリットやリスクが有る。非常に難しい選択になった。その中で当方は少なくとも「原案 ZHA」を明記しないA案続行には反対という見解は変わらない。

ただし、当然ながら最終的に決めるのは政府だから、特に官邸がどのような判断をするか。月内の正式契約に向けて今後が注目される。
また、建築設計界はいつになったら動くのだろうか。緊急シンポジウムなどを開いて検討してもらえないだろうか。業界団体が正式に動いて政府と話し合うことも必要。多くの類似点や一致点を具体的に見せて説明すれば建築専門家で無くとも流用が分かるレベル。遠藤五輪大臣などに面会して状況を説明してあげて頂きたい。また梓設計や大成建設とはプロ同士の話し合いをすべき。
マスコミもこれだけ明白な流用に対して的確な報道が見られない。例えば以下の様な「似ている?」といった疑問符付きの報道では今後は済まない。「流用は明らかであり、その上でどうするか」という課題についての掘り下げた報道が必要な段階。
本当のことが知りたいだけ」と著書のあとがきで書いておられる東京新聞森本記者などもどうされるのだろうか。「A案がザハ案ベース」と云うことはもはや動かしがたい事実。真相を知りたい多くの国民に客観的事実と、それに至った経緯や背景等をどう取材して伝えて頂けるか。

A案はザハ案に似ている?
 2つ目のハードルはデザインの権利関係だ。
 「スタジアムのレイアウトや座席の形状が私たちのオリジナルなデザインと驚くほど似ている」。旧計画のデザインを担当したザハ・ハディド事務所は22日、A案に対してこうコメントを出した。また、「私たちのコスト削減案のすべてが採用されている」とし、「知的財産権は我々にある」と強調した。・・・>

以上