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サドル型とフラット型の検証

表題の件は類似性指摘に対する隈氏反論についての検証となる。
まず類似性であるが、昨日記事で追加項目を記載し、余りにも類似している点が多く見えてきて驚く。特に地下1階は一致している部分が非常に多い。昨日記事の図で以下の機能の場所を、ザハ案は赤・A案は青で塗って重ねあわせてみた。
「トイレ(WC)8ヶ所、通路4ヶ所、機械室4ヶ所、空白部分1ヶ所」の配置が一致

イメージ 1

全周の半分以上で重なっており、加えて「ホスピタリティ機能」と「メディア機能」の位置もほぼ同じ。南北部分はキールアーチが有るため、両案で構造が変わることを考えれば、以下のザハ氏指摘のように「似通っている」という評価は避けられないだろう。
新国立白紙のザハ氏がA案酷評“模倣”を指摘”[2015年12月23日] 日刊スポーツ
<ザハ氏はA案が安倍首相らに承認され10分もたたないうちに「我々の案と似ている」との酷評コメントを発表した。「スタジアムのレイアウトや座席配置が我々が発表したものと、とても似かよっており、2年間のデザインワークとコストカット案の要素も確認できる」と“模倣”の可能性があると指摘。 
 隈氏は会見で「(8万人収容のため)スタンドが3層になるのは合理的な解決策でそれはザハ案も同じ。スタンドについてザハ案はサドル型だが、私どもはフラットで環境に優しい」と説明。>

率直に言って、よくここまで流用したものだと思うが、上記のように隈氏はスタンド形状での「サドル型とフラット型」の違いを挙げてザハ氏の模倣指摘に反論している。
サドル型とフラット型
ザハ案のサドル型は以前にも述べたが、キールアーチの下側でスタンド高さが抑えられてしまうことへの対応策として採用したものと当方は見ている(ザハ案の特徴である巨大キールアーチと座席数を両立させるために採用せざるを得なかったとも言えるだろう)。A案ではキールアーチが無いためそのような制約も無く、ザハ案の6階部分を削除し総5階建でフラット化した設計と推察。想定図を以下に示す(ZHAビデオの図を使用し設計図面とは違う部分も有るが、6F座席を移すと云う設計上の考え方を説明するための模式図とする)。

イメージ 2

6階座席は南北側スタンドに移した形になるが、それだけでは足りないと思われるので、調べてみるとA案の上段スタンドはザハ案より約2,500席減っている。6階の座席を全部移し切れないためにそのようにしたのではないかと推測している。

スタンドのサドル型とフラット型の違いはキールアーチの有無に影響されることを踏まえ、それ以外の部分での多くの類似性や一致点を目の当たりにしてプロなら言い逃れが出来ないことはすぐ認識できる。著作権や契約内容等を云々する前に、一目瞭然で取り下げるしか無いことが分かる。つまり「自主回収」相当。本来隈氏もそれは理解するはずなのに反論しているということは、もしかするとA案設計の詳細なザハ案との比較は把握しておられないのかも知れない(A案設計内容自体もどこまでご存じなのだろうか…梓設計や大成がやった部分が多いと推測)。隈氏以外の大成チームには更に色々事情もあると思うが、やはり遡って応募を取り下げるのが、この状態を収拾する方策ではないかと思う。如何せん流用が余りにも大幅過ぎる。
ただ、流用度の高さによってA案の完成度が予想を遥かに上回りそうで、その点は明日記事で検討。

以上