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B案への転換

以下の報道があった。
<先月、建築家の隈研吾氏と大成建設、梓設計で作るグループに決まりました。これを受けて今月、設計の契約が結ばれたあと、来月から10か月かけて基本設計と実施設計が行われ、12月には本体工事が着工する予定です。>

少なくとも今月正式契約が結ばれる前には、「B案への転換」を果たすべきではないか。A案には知財や既契約上の論点よりもっと根本的に、「設計盗用」の問題が存在することが見えてきた。つまり、旧計画参加で知り得たザハ案設計情報を許諾を得ずに流用し、そのことを明らかにしないままコンペに応募したのではないかという疑いである。昨日追記でも触れたが、再整理すると次のようになると思われる。
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(ⅰ)設計流用…(昨日記事でも示したように)A案において、少なくとも上段中段スタンド周りの設計は、ザハ案からキールアーチを外した状態を下敷きにしていることはもはや確実(特に平面図は殆どそのまま流用だから言い逃れも出来ない)
(ⅱ)許諾有無…ザハ案の設計流用について、もし許諾を受ける場合の申請先はJSCとZHAが考えられるが、どちらからも許諾は得ていないと推察される(JSCは自らも責任が発生する許諾を行うとは考えられず、ZHAは類似性調査すると言っている)
(ⅲ)流用認識…新コンペには許諾を受けず応募した可能性が高く、ほぼそのままの設計情報使用で流用自体は当然認識していたのだから意図的であり、「盗用」と判定されても仕方がないことになる(もし「違う」と云うことなら、これだけ似ているのだから公式の経緯説明が必要だろう、是非出来るだけ早く行って頂きたい)
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特に(ⅲ)を例によって再説してみると、「コピーフリーで商用利用も可の素材集」があって、それの基本部分を流用した上で例えば和風の装飾を施して何かのコンペに応募したとする。権利問題は発生しないが、その応募は問題ないのか。つまり、「オリジナル」なのか?
知財や契約問題の認知度が高まっているから専門的な話になりがちだが、今回はもっとシンプルに「オリジナルであること」がコンペ応募資格の基本だろう。それには明らかに違反しているから、細かい話は別にして「失格」扱いにすることが妥当ではないか。
そしてザハ案設計情報に接する機会が長期に渡って有ったのだから、偶然などではなく「意図的」流用となってしまうことが致命的になっている。

さて、この事態をどう収拾するか考えてみた。その際に次の記事があった。
スタンドやコンコース、選手控え室など骨格に当たる意匠設計を梓設計が手掛け、構造設計を大成建設、全体のとりまとめとデザインを隈氏が担った。隈氏とタッグを組んでの仕事は4回目だが、実際に建築するのは初めてとなる。>
A案のスタンドは梓設計ということになる。同社はザハ案でも設計JVのメンバーで、しかもスタンド設計を担当していたようである。(裏取りは出来ていないが参考情報…知恵袋<客席や部屋部分は梓設計>)

梓設計が設計JVで2年近くザハ案に携わって内容を知る機会があったことは紛れもない事実。その上で流用してA案スタンドを設計し応募したのだから、一番責任が重いのは梓設計と見える。(余りにも似ている状態で、それでも「流用や盗用ではない」と云うことなら前述のように公式経緯説明を行って頂きたい) 
当然裏事情は色々あると思うが、それは重々承知の上で、ここは梓設計に責任を取ってもらうことを考えてみる。
具体的には同社が「社内調査で設計者がザハ案スタンドの基本的設計を流用していたことが判明したので、コンペ応募自体を遡って辞退させていただく」と云うことにする。それを受けて大成建設が当選辞退を発表する。そうすれば大成と隈氏には傷がつきにくくなる。
ZHA側も今後調査結果公表したら、訴訟有無の前に正式に酷似指摘をするだけで新計画を大きく揺さぶることになる。水面下では政府・JSCと或る程度話しが付いているとも思われ、もし調査公表で中止になって悪役になることは避けたいだろう。
結果的に梓設計は大変だが、自ら申し出ることで誠意を見せられるし、組織設計会社は大手でも世間一般的には知名度は余り高くないだろうから早めに忘れてもらえる。

これでギリギリ丸く収まる可能性が出てくると思う。その後は次点の竹中チームでB案実施を政府が決める。どこかの時点で大成もJVに参加とし、出来れば隈氏にもVIPルーム等で「和の内装」などを設計して貰う。
これが当方案だが、実際に政府がどのように収拾するかは分からないにせよ、時間が勝負であることは誰が見ても明らか。一刻も早くB案に転換し正式スタートすると共に、実質は契約を待たずとも設計を進めてもらうぐらいでないと間に合わない。

A案はザハ案流用もあり、設計完成度ではB案を相当上回る進行度合いだったと思われる。このアドバンテージは大きいが、着工までは1年近くある。そして盗用(疑惑)問題を抱えてのA案進行はリスクが大きすぎる。(この状態でもA案で押し切ったら、それはそれで政府というものは凄いと思うが)
ラグビーW杯は完全に諦めざるを得ないが、大成も加わった、まさしくオールジャパン体制で2019年11月末完成必達に向けて邁進して頂きたいと思う。そして政府はこのような体制を迅速に作れるか。ここ1~2週間が正念場と推察され、特にZHA側の調査公表前にアクションを取ることが必須。

(後日1月22日追記:B案もハードル高い可能性有り・・・B案への転換を上記で書いたが、その後A案の潜在的設計完成度の高さが次第に見えてきた。A案完成度を前提として納期を2019年11月目標に設定し、B案はそれに合わせただけというような裏事情がもし有ったりすると、B案への移行もハードルは極めて高い可能性がある。B案の実現性をどう判定するか)

以上
[追記]
A案、B案以外では「Z案」が考えられると思う。ゼロ・オプションを実際に実施する「ゼロ案」である。ただし、当方は以前から述べてきたように全くゼロではなく、「五輪までに建てることにはこだわらず、国民的論議を行って仕様を決める」というやり方になる。

その際に今まで書いてこなかった件として「PFI方式」がある。新計画でも維持管理・運営事業については民間活用を検討しており、PFI法の公共施設等運営権の活用を第一候補としているとのこと。
しかし、建設も含めたPFI方式も検討してみるべきではないか。実際に採用するかどうかは別として、採算性検討には必要かつ有効な取組みと思う。本来は旧計画で既に検討があってしかるべきと思い、過去資料も見てみたが今までのところ見つけられていない。

都心にあって5つ以上もの駅が最寄りという絶好の立地で、しかも土地が国有だから定期借地(30~50年程度)で賃料ゼロの条件でのPFIを想定してみる。都心一等地において民間で建設し維持管理しながら収益を上げて運営できないか。そして日本のスポーツビジネス発展の拠点にしていく。まずこれの可能性を考えてみるべきと思う。Z案なら、そこまで戻っての検討も出来る。

追記以上