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A案とザハ案の類似性検証(1月2日版…2月9日改訂)

新年初記事。類似性検証について追加で重ね合せ図作成等を行ったので現時点でのまとめを記す。結果的にA案が「ザハ案ベース」であることはもはや動かぬ事実。(最初の平面図重ね合せを見ただけでも容易に分かるレベルで同一性の高さを再認識した。細かいところを見ていくと他にもまだあるし、大きいところでも「空の杜」と「スカイウォーク」の対比などがある)

1. 平面図比較
 (両案の上段中段スタンドを重ね合せ)
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[検証と考察] 類似性事項を連番(①~)で記す
① 上段中段スタンドの形状・サイズ…(ザハ案には有るがA案には無い6F分を除く)両案の上段(4F5F)中段(2F3F)スタンドは形状・サイズともほぼ一致している、敷地に対する位置も一致(但しB案もスタンドのセンターはほぼ一致している模様)、なお6F有無はキールアーチ有無に関係していると想定される(詳細は1月6日記事「サドル型とフラット型の検証」後半参照)
② 上段中段スタンドの通路数・角度…両案とも通路数54本で同じ、位置・放射状の角度もほぼ重なる

2. 断面図比較
 (両案スタンド下の柱を重ね合せ)
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③ 上段中段スタンドを支持する柱数と配置…主要な柱の数は同一(4本)で、位置もほぼ同じ
④ 上段中段スタンドの角度…ほぼ同じ
⑤VIPルームの吹き抜け…窓際を2F3Fの吹き抜けにしている構成が両案で同じ(吹き抜けの中間に少し突き出しがある点も似ている)
⑥A案屋根支柱とザハ案最外周柱…A案は6Fが無く、ザハ案で6Fスタンド下にあった最外周柱が不要になるため屋根支柱に転用する発想があったかも知れない(12月29日記事に検証あり)

3. 柱割り比較
(上段中段スタンドの類似性が高いため、両案で上中段スタンド下の柱割りを比較した)
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⑦ 柱の数…放射状になっている柱の配置において、1周の基本数は(27本x4=)108本で両案同数
⑧ 柱の配置…「放射状の角度」がよく一致している。位置もほぼ重なる柱が多い。両案で配置が違う部分に関しては、ザハ案はメイン&バックスタンド部が盛り上がったサドル型で、A案は全周がシンプルなフラット型というスタンド形状の差による影響が想定される
A案の屋根支柱…先端が斜めになって外観上の特徴になっているが、その本数や配置は前述のようにザハ案の最外周柱列と類似性がある(つまり外観上の特徴もザハ案由来の可能性がある)

4. 各階図面比較(1F・3F・5F・地下1Fの平面図…A案を半透明にしてザハ案に重ね合せ)
(1)1階
⑩入り口・・・6ヶ所ある位置がほぼ同じで、一箇所除くと大きさも一致

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(2)3階
⑪メディア機能と防災警備機能…割り当てられたブースの位置と大きさがほぼ一致

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(3)2階(凸部分は5階で比較していたが実際に位置する2階に変更…2月9日改訂)
⑫凸部分…位置が一致…凸部分はVIP用ボックス席と推定(4ヶ所)
  (注:A案の下図上側2つの凸部はVIPルーム増設改修後でないとVIPルームに接続しないと思われる
     →改修後まで含めた一致ということになる)

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(4)地下1階(この階は特に一致度が高くなっている)
⑬トイレ(WC)、通路、機械室…配置と大きさがほぼ一致 (通路は6ヶ所あるが特に斜め通路4ヶ所は一致度高い)、”大きめWC-機械室-斜め通路-小さめWC” の並びが4組ある点も同じ、1階には一般用WCがなく階段で地下1階に降りる必要があるレイアウトも同じ


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(5)1階(追加)
⑭ホスピタリティ(VIP)専用入り口・・・ザハ案は2ヶ所・A案は1ヶ所、しかしA案は将来のVIP席増設が考慮されていて、増設分のVIP専用入り口はザハ案と同じ位置(両案とも2箇所になって位置も同じになる)

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(6)地下1階(追加)…1月29日追加
⑮WC等との境界線の形状…よく一致している


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⑯境界線形状の特徴…上図の境界線は長円形ではなく楕円でもない微妙な曲線になっている、このような曲線の生成にはCADを使用していることは確実で、その元データはザハ案流用が考えられる

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5.断面図再検証…2月4日追加
⑰上段中段スタンド…ザハ案座席平行移動してA案に重ねると角度が一致。上端下端位置も(6階有無で違う上段スタンド上端を除き)一致。
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以上
[追記]
これだけ多数の項目で一致度が高く、すぐ分かる流用を何故行ったのかが謎になるが、参考になるかもしれない記事があった。
”新国立問題 ザハ案の再活用求める意見出る” [2015年7月22日]日刊スポーツ
自民党の内閣部会・文部科学部会合同会議が22日、都内の党本部で行われ、新国立競技場についてザハ案の再活用を求める意見が出た。 
 ゼロベースの計画見直しとなったが、国際コンペで選出されデザイン監修者となっていた英建築家ザハ・ハディド氏や、これまで設計を担当していた4社の一部設計案を活用すべきとの内容。内閣部会長の秋元司衆院議員は部会後、「6万人の常設席など、スタンド部分に活用できる部分はある。このまま違約金を支払うぐらいなら、使えるところは使う考えもあるのでは、という意見が出ていた」と説明した。>

7月17日の白紙見直し表明から1週間も経たないうちに自民党内ではこのような意見が出ていたことになる。発言した議員の個人的着想か、或いは実際にザハ案を流用して設計を行っていたところからの依頼や意を汲んでの発言か、発言した議員名の記載もないため真相は不明。
しかし、可能性としては「ザハ案活用(流用)」の流れが既にこの頃には具体的に有った事も考えられそう。その中において政治家や官邸サイドで一旦流用する方針になったが、その後流用NGとなっても設計側はそのまま進んでしまったというような経過だろうか。

それにしても白紙見直し表明から殆ど間をおかずザハ案活用(流用)を言い出すのは、当時の状況からすれば非常識だっただろう。「英断による白紙撤回」という高揚感があって、とてもそんな発想が出てくる雰囲気ではなかったと思う。やはりもっと前からザハ案流用による短期間でのやり直し設計作業が進んでいて、ごく一部の関係者だけが知っていたというような裏事情でもあるのだろうか。「スタンド部分に活用できる部分がある」と云うのは、今となってみれば実態を的確に知っていた発言だったという推察が出来てくる。

追記以上