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検証報告検証6「基本設計でもキールアーチ支持問題が継続」

本日は検証報告書と河野議員ブログ内容との突き合わせを行う予定であったが、詳細な話になるので後に回し、早めに核心目指して考察を行う。
昨日記事で「フレームワーク設計」でのキールアーチ両端支持問題を書いたが、基本設計でも同問題が継承されてしまったことを明らかにする。基本設計書の構造計画部分を示す。
イメージ 1

まず右側の屋根フレーム部⑤で次のように書かれている。
地震時や風荷重時キールアーチに生じる力を受け止め、スタンドに力を流す。> 
以前の考察時にこれを見て、「ザハ案はキールアーチ自立がメリットなのにスタンドに力を掛ける(流す)のでは矛盾しないか」と考えたが、「地震時や風荷重時」となっているので特別な場合のみの対処とも考られ、それ以上の追跡が出来ていなかった。

しかし、今回改めてスタンド部記述を見てみたら、①で「屋根の常時荷重支持」も入っていた!
<コアに配置したブレースは、サイドストラッドを介してスタンドに入ってくる屋根の常時荷重地震荷重・風荷重等を支持する役目も果たしている。>
基本設計でもフレームワーク設計と同様に「スタンドで屋根を支える構造」になっていたことは、もはや確実と言えるだろう。なお、「コアに配置したブレース(斜材)」は③を指している可能性があると思うが、「コア」だけでは詳細位置が不明。ただしスタンド構造に関する記述であり、スタンドで支えることは確実。

これで②の免震構造採用記述とも辻褄が合ってくる。
免震構造は、耐震構造に比べ地震時の揺れを大幅に低減し、屋根・スタンドの地震時の応答加速度・応力を小さくし、躯体数量を抑えることができる。屋根鉄骨の数量が多い本建物では、耐震構造に比べて、コストの面において優位であることから、免震構造を採用する。>

屋根をスタンドで支えるから、④の免震層に免震装置を多数入れて、スタンドと屋根一体で免震構造にするという設計思想になる。他スタジアムのスタンドは基本的に耐震構造で、本プロジェクトが免震構造採用になったのは、このような理由だった。つまり屋根支持対応を主目的とする免震採用。
ザハ側が主張するキールアーチのメリット(屋根とスタンド並行工事可能)が無くなって、デメリット(両端支持がないとスタンドまで免震構造必要)だけが残った。これでは「悪い設計」の見本のようなもの。なお、計画にあった商業施設等のスタジアム内緒施設にも免震は有効だったと考えられるが、上記のように「屋根鉄骨の数量が多い」ことが採用の主理由だった。

また、⑤の屋根フレーム図に両端支持構造もアーチタイも無いのは、屋根フレームがキールアーチではなくスタンドで支えられているからだった。つまり図は合っていた(設計思想は間違っているが)。
信じられない話だが、これが現実の日建設計による基本設計の構造計画になる。
ZHA反論ビデオでは、キールアーチについて前述の「並行工事」以外にも「橋梁技術の応用」と云うコンセプトを述べている。しかし、両端支持でなく上部で別の躯体(スタンド)による支持が必要では橋梁技術とはかけ離れ、結果的にZHAコンセプトは2つとも成り立っていない。また前述のようにスタンド免震が必要になった。
このような根本的問題を抱えた設計を日建設計中心の設計JVがJSCに提出したことの証明が、上掲の基本設計書構造計画で明確になっている。

ZHAの立場も検証する必要があるが、それはまた別途として、明日は基本設計に続く実施設計ではどうなのか考察予定。

以上