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B案シンポジウム3 「ザハ案免震」

本日もシンポジウム関連だが、B案でもA案でもなくザハ案について。
シンポジウム前半のB案プレゼンにおいて構造面を竹中工務店の人が説明した際にザハ案の話が出た。
----シンポジウム文字起こし開始----
Youtube48分頃~竹中工務店説明
旧ザハ案でも基礎免震ということで40万トン~45万トンの重さを、まともに免震でガツンと受けようとしていたわけです免震そのものの持つ効果というのは皆さんも充分認識されているところですが、そのコストたるや、かなりの負担ですし、人の動線の錯綜する外周全周をエクス??ションとらなければいけないと云うことになってきます。(当方注:??の部分聞き取れず…下図右「EXP.J」(エクスパンション・ジョイント)のことか)

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49分頃~
(ハイブリッド中間免震によって)地震の入力が減ることによって、鉄骨じゃないRCで構造体を造ることが出来る。RCにすることによって我々の持っているプレキャストという技術で工期を短縮できる。

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----文字起こし終了----

「ザハ案免震のコスト負担」について初めて当事者から直接言及が有ったと思う。また鉄骨ではなくRCにすると工期が短縮できると言っており、免震にしたのに鉄骨構造のザハ案は工期短縮と、それによるコストダウンが出来ていないという指摘にもなるだろう。竹中はスタンド工区ではなく屋根工区だが両工区は密接連携を図っていた。またスタンドの免震構造は屋根にも影響するから、竹中も詳細な情報を当然知る立場にあり指摘は重みがある。

更に基本設計時はスタンドで屋根を支持する構造になっていて、巨大なキールアーチをスタンドで支える必要があった。大成と竹中が入ったのは実施設計からだが、ゼネコン両社の見積りは実施設計図ではなく基本設計図で行われた可能性が高いと以前から当方は見ている。その理由は2014年8月18日実施設計施工予定者の公募時に「お絵かきソフト」のような簡単な図面で追加されたアーチタイが、実際にゼネコンへ見積り用図面が渡されたと考えられる12月迄に見積り可能なレベルまで仕上がっていたとは到底思えないからである。キールアーチに合わせてアーチタイも巨大で前例がなく、工法開発も必須だったと想定されるので尚更見積り可能なところまで設計出来ていたとは思えない。アーチタイを入れたらザハ案の見積りは更に高くなっていた可能性が有る。
この辺は今後「旧計画再検証」シリーズの続きとして検討予定だが、当面はA案流用問題の扱いがどうなるか推移を見たいと考えている。

なお次のようなツィートがあった。
<検証ブログ氏は、初端の初端のその前も後も全てを噓と茶番で塗り固めた小さな?しかしれっきとした核はミステリーではないのか?>
「検証ブログ」は当ブログのことと推測して、鋭いお察しの通り旧計画に、そして現在は新計画にも多くの「ミステリー」があると考えている。旧新両計画の不可思議な事柄の多さを表現する時、「ミステリー」と云う言葉は適切と思う。

その中の一つが前述の基本計画におけるスタンド免震構造採用で、これを元に解いていくと分かるのではないかと思われる問題が色々有る。例えば猪瀬氏が「屋根だけでなくスタンドの費用が高過ぎることに注目すべき」とずっと言っておられる。
<メディアはキールアーチのデザインや安藤忠雄さんを悪者にしていますが、本当の問題はそこではありません。新国立競技場の2520億円という価格は、キールアーチの屋根部分が950億円、スタンド部分が1570億円とされています。
ところが、北京オリンピックのメイン会場「鳥の巣」の建設費は525億円、日産スタジアムでも603億円です。スタンド部分の建設費が通常の3倍近い1570億円になっていることに疑問を持つべきです。これは資材高騰では説明できない。一番の問題は価格の根拠が不透明なことです。>
→これにスタンド免震が関係しているのではないか。その証明として前述の竹中による「基礎免震は、かなりのコスト負担」と云う説明が当てはまると思う(ただし免震化で具体的にどれぐらいアップしていたと考えられるかは説明がなく不明なのが残念)。

また当ブログは旧計画について「文藝春秋由利氏記事」の重要性にずっと着目してきた。以下の最後の部分でも本日述べてきたことと符合している。
<問題は足場だけではなかった。設計JVに参加した現役設計士によると、今回のようなキールアーチを使う建築方式を業界用語で「S造」と呼ぶという。特徴としては、「いったん地震に遭うと、揺れがとにかくひどい。二本のアーチがしなり出すとなかなか止まらず、二本の間に張り巡らせた天井膜が引きちぎれてしまう懸念すらあった」と打ち明ける。
 他の東京五輪施設では、「SRC造」という、より強度の高い工法が主流になりそうだ。メーン会場が強い工法を使わなくてどうするのか。
 「設計三社の間からも徐々に『ザハ案、ヤバイよな』と耐震性を不安視する声が出始めた。でも、日建設計は結局、ダンマリを決め込み、他の二社も『うちは構造担当じゃないから』と逃げを打ち、どこも会社を挙げて危険性を訴え出ようとはしなかった。日本を代表する三つの設計事務所は、これだけの国家的大プロジェクトで時計の針を巻き戻す勇気がなく、頰かむりをしてしまったんだ」(前出の現役設計士)
 技術協力に入った施工業者など、多くの人物が危うい構造設計を目の当たりにすることになって、ようやく不安視する声が漏れ始めたのだった。
 二〇二〇年東京五輪は、東日本大震災から九年後。復興した日本の姿を世界にお披露目する舞台だ。そのメーンスタジアムは、災害に強い建築技術を世界に伝えるメッセージでなければならない。キールアーチが変えられないなら、弥縫策と呼ばれても、打てる手をすべて打つしかない。実施設計に関わったゼネコン所属の技術者が、こう打ち明ける。
 競技場としては世界に類のない試みとなりますが、巨大な免震装置を土台部分に多数設置し、揺れを防ぐ設計に変更しました。これが、さらに膨大な費用を生む要因になった」
→由利氏記事の信憑性がまた裏付けられたと思う。そして同記事の記述を辿って行くと2015年春先の「ゼネコンによる官邸直訴」がクローズアップされ、これがまた「ミステリー」のキーワードになってくる。水面下で「直訴」から「新コンペ」に繋がる流れがあると推定。
また、由利氏記事にも述べられていない件で、スタンド免震でも結局は耐震性能が満足できず、その後のアーチタイ追加につながり、更に前述のようにアーチタイの設計が出来ていなかったのではないか、という流れも重要な検証対象と考えている。

以上
[追記]
今後の大きな焦点は、やはり「外圧」ということでのZHA動向になるが、当ブログ2月9日記事で可能性の一つとして「ザハ再参加」を挙げた。これについては次のようなツィートがあった。
<(1)③ZHAを再参加させる・・・はボクですね(笑) >
→ご明察。JSCは窮余の策で、ザハから要請があれば再参加もOKする可能性有りと思えます。ただ官邸がOKするかどうかが当方には未だ見えず。本文のように旧計画の構造面には根本的問題があって、それが混迷につながったことを官邸(とゼネコン)は知った上で白紙見直しとZHA外しを決断をした可能性が高く、その経緯を乗り越えて再参加を認めるかどうか。白紙化経緯については国民に知らされていないので、今からでも政府は情報公開必須。

追記以上