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基本設計の屋根支持は二通りの構造?

一昨日記事の「追記」で引用した基本設計書の構造に関するコメントを再掲する。
「クロスタイとキール部の内側リング、そしてスタンド外周に隠した外側リングをサイドストラットとミニ・サイドストラットで突っ張る」
で、それをスタンド下のフレームで支える。もうキールなんか要らない、結果的にそうなっちゃってるでしょ、これ? 力の釣り合い考えれば、すぐ解りますよ。>

この内側と外側リングを図にしてみると以下のようになると思われる。
イメージ 1

コメント者も「力の釣り合い」と書いているように、キールアーチ両端支持構造が無いから、どこかでその重量を支えねばならず、スタンドで支えると上図の様になるだろう。ただし、キールアーチ含む屋根フレームは約2万1千トンという重さで、スタンドを免震にしても耐地震性能が危惧され、最終的にゼネコンは「震度7に耐えられない」と判断したことが由利氏記事から見えてくる(ゼネコンはアーチタイ付きではなく基本設計の構造で検討した可能性がある…アーチタイの設計図がゼネコンに渡っているか、渡っているなら何時か?は情報がない、由利氏記事にもアーチタイは出てこない)。
しかも「キールアーチ」を特徴にしているのに、キールアーチとは呼べない構造になる問題も大きい。見た目は一応そのままなのだから、「カッコだけ」と揶揄されること必至。

更に基本設計書の構造計画には別の問題が有る。最終的な実施設計の屋根フレームには「スカイウォーク」と「VIPルーム外壁」も取り付くが、基本設計屋根フレーム図では見当たらない。基本設計とZHAビデオ(実施設計ベースと想定される)の比較図を以下に示す。

イメージ 3

基本設計構造計画に「スカイウォーク」が無いとは断言できないが、少なくとも「VIPルーム外壁」が無いことは見て取れる。だが、不可解なことに基本設計でも基本設計図中の断面図と外観図には、その2つが描かれている。

イメージ 2

これらの事実から、基本設計書の図面には以下の2通りの仕様があることになる。
 (1)構造計画のスタンド断面図・屋根フレーム図…「スカイウォーク」不明、「VIPルーム外壁」無し
 (2)基本設計図中の断面図・外観図…「スカイウォーク」有り、「VIPルーム外壁」有り

また、以下の工区分割図もある。基本設計完了を受けて行われた実施設計技術協力プロポーザル公募直後に日経アーキ記事に掲載されたもの。詳細に見てみると屋根工区に「スカイウォーク」らしきものはあるが、「VIPルーム外壁」は無く、スタンド工区側に付いているように見える。(スカイウォークは単に有無だけでなく、有っても簡易的な仕様になっている場合も考えられるので、基本的には「VIPルーム外壁有無」で比較したほうが良さそうである)

イメージ 4
ザハ案基本設計の構造には不可解な点が多い(検証は明日「追記」に続く)
来週14日(月)には新コンペ応募案公表される見込で、その内容にもよるが以前から述べて来ているように「ザハ案で何故いけなかったのか」という話が再燃することが考えられる。それ自体は自然とは言えるが、一般的に認識されていると思われる「費用」や「景観」の問題だけでなく、ザハ案には構造的に「建てられなかった」可能性という根本的な特殊事情がある。それを明確にしてから論議しないと又混迷が深まりかねないので、上記のような内容を書いて公表を待ちたい。またザハ案支持される方は是非アーチタイの実現性について、出来る限りの解明をお願いしたい。

以上
[追記]
ZHAヒアリング結果を見たら白紙化について以下のように述べていた。
<○ 白紙撤回をした根拠というのは示されていないので、どういう設計をしてきたか、新たなプロジェクトの問題点は何かというプレゼン資料を準備していて、今週中に発表する予定。どう考えても、新しい案の方のリスクが大きい。予算を大きく削減する必要があるから、考え直してほしいということはあるとは思うが、それであれば、検討を始めた1か月前に私たちに話していただくのが筋であって、それを別な形で検討しておいて、
そちらが出来そうだからという曖昧な理由だけで、急に全てキャンセルするのは理不尽。>

これだけ見れば言い分は尤もで、特に「根拠を示さない急で一方的なキャンセル」が実態だったとしたら裁判では致命的。訴訟されたら日本政府敗訴の可能性は極めて高い。そして金額が幾らになるかはともかくとして、海外から訴訟されること自体が、仮に和解に持ち込んでも東京五輪の重大なイメージダウン。これからという時期に「ケチのつき始め」などと言われかねない。
(もし建てられなければ仕方ないとはいえ)この訴訟リスクを考えただけでも、よく白紙化に踏み切ったものだと改めて思う。本当に根拠を明示していないのだろうか。或いは水面下が得意な和泉氏流で、実際は何か手を打ってあるのか。例えば「設計経過をバラすぞ」と言ってあるとか(笑) 或いは官房機密費にしても必要額が大きすぎるかも知れない。
もし何もやってないとしたら、新コンペ応募案公表や業者決定が行われた暁には、ZHAは動きを見せるだろうか。

追記以上