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第4回検証委員会傍聴記1 「仕切りの存在」

昨日第4回検証委員会が開催され、初めて見に行ってきた(最後の会合になったが)。今回会合から得られた感想等を今日明日で記し、その後報告内容についても検討予定。
さて、会合で報告を聞いてみて、やはり「和泉氏の仕切り」が各所に及んでいたと感じた。その根拠として3つ挙げてみる。
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1.全体的ストーリー
  以下の3本柱で検証早期終結に向けたストーリーが構築されていたように思う。
       (ⅰ)報告書の異様に早い完成と公表
     委員長が当初半年は必要と語っていたものを約1ヶ月半で作成完了。
     実際はもっと早く9月16日にはほぼ完成し、委員長が文言調整したので延びたとのこと。
     明らかに事務局主導の作成だろう。迅速に出して収束を早める意図と考えられる。
   (ⅱ)トップに責任を取ってもらう
     JSCと文科省の責任を指摘し官邸了承も取りつけた上で、
     9月末迄任期の河野理事長、支援団体問題等もあって内閣改造で交代確実な下村大臣、
     この元々辞任予定があった二人に責任取らせたことにして責任問題も一件落着。
     (文科相の進退は本日発表とのことだが、10月上旬には内閣改造予定)
   (ⅲ)教訓を活かす
     新コンペでの設計施工一括発注は納期が厳しいためだが、ザハ案でのプロジェクト推進体制が
     良くなかったという反省を活かしてデザインビルド方式を採用したことにする。

2.キールアーチ問題の抑え込み
  技術系の古阪委員は、当方調査で営繕部羽山氏と接点があったように、
  「コスト積算の専門家」と云う紹介があり構造面は同委員報告内容に無かった。
  報告書全体でもキールアーチへの言及はコスト面で若干取り上げられていたのみ。
  「建てられない設計だった」という真相は報告されずに終わった。

3.事務局主導の報告書作成
  1項でも述べたが、事務局主導が分かる端的な例があった。
  会合では委員長が総論を述べ、各論の項目ごとに委員が一人づつ担当部分をほぼ読み上げた。
  (実際どうだったかは別にして)各委員が担当分を作成したと思わせるような進行だった。

イメージ 1

  (4)は為末委員担当だったが欠席(委員長は理由を言わなかったが海外出張だった模様)。
  同氏の読み上げ予定だった部分の抜粋を示す。

<(4)情報の発信に関する問題点
① 情報発信の必要性について
新国立競技場は、2020 年東京オリンピックパラリンピック競技大会のメインスタジアムとなる予定の大会の顔とも言える施設であり、また、今後50 年、国のスポーツエンターテイメント施設として象徴となるもので、その整備は大会成功の成否に影響を与える重要なプロジェクトである。このような性格から、本プロジェクトは、我が国として確実に成功させなければならないものであり、また、多額の費用がかかるという意味でも、文字通り国家的プロジェクトというべきものである。
国家的プロジェクトとして、我が国一丸となって競技場の整備を進めていくためには、スポーツ等の関係者は当然のこと、整備のための費用の一部を税金という形で負担することになる国民の理解も十分に得る必要がある。このため、本プロジェクトにおいて、その透明性を高める努力が行われてきたか検証を行いたい。・・・
④ 今後への教訓について
今後実施される国家的プロジェクトにおいては、一貫して最後まで状況を説明できる専門知識を持った広報担当を置き・・・>

   如何にも「官僚文書」(笑)  事務局が書いたことが見え見え。
   ただ、項目名になった「情報発信」や最後の「広報担当」設置などは為末氏アイデアと推測する。
   それを事務局が膨らませて同氏担当分記述に仕立てたのではないか。
   為末氏は自らが報告予定だった内容や報告全体に対して納得しておられるのだろうか。(以上)
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なお、為末氏は欠席されたが委員会にコメントを寄せており、最後の方で委員長が代読していた。全部聞き取れたわけではないが、こちらの方が同氏の率直な意見表明と思われ、明日委員長の最後の言葉とともに紹介して考察予定。

それと報告内容詳細については今後の検討になるが、まず付帯資料の「関係者ヒアリング」は興味深い。特に「和田章」氏に注目したいと考えている。以前からザハ案での混迷の責任を考えてみて、第一は「日建設計」、第二が「和田氏」、第三はその他関係者横並び、根本責任がZHAと想定してきた。ヒアリング結果は和田氏の責任の大きさが裏付けられているように思える。日建設計・ZHA等のヒアリング結果も含め今後検証。

以上
[追記]
報告書で、総理が慎重に避けて言っていない「白紙撤回」と云う言葉が多数使用されている。明らかにチェック不足。これでは市民団体や住民の方々などの「白紙撤回と言ったのに周辺計画は撤回されていない」と云う非難の仕方にお墨付きが出た。手堅いはずの官僚もこういうミスは有るようだ。

追記以上