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組織委員会の問題点と森会長交代の必要性

まず昨日追記で言及した「カメラモート」についてはザハ案実施設計書の「2.基本設計時からの主な変更点」(P9)に下図のように入っていた。(モートは「堀」という意味なので、カメラを設置する窪みの設置を組織員会が要望したものと思われる)
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更に同書P10では以下のようになっていて、組織委員会の要望事項に対応している。
<1.ラグビーワールドカップ組織委員会、オリンピック・パラリンピック組織委員会の要望事項への対応
オリンピック・パラリンピック大会開会式等の演出に必要なキールアーチの吊り耐荷重増を設計に反映済み。今後、対応可能なものについて、柔軟に設計変更を行う予定。>

このようにザハ案時からJSCは組織委員会の要望事項に対応していたが、新計画においても遠藤大臣が昨年8月会見で次のように述べているように、組織委員会から新コンペでの仕様に関する要望が出されて、その費用が50億円だったようである。
<(記者) 工事費の中で、組織委員会からの新規要望50億円とありますけれども、これはどういうもので、どういう形でいつ要望があったのかお教えいただけますか。
 (大臣)
今回積算するに当たって、改めて組織委員会から要望がありましたが、2020年の春に完成をして、直ぐに夏の大会になりますので、例えば電源の施設整備とか、あるいはカメラモートとか、そういうものが必要だというふうに承っております。>

更にJSCの平成27年9月16日回答書では以下のようになっている。
<質問No.390
ゼネコン質問…大会組織委員会からの追加要望(50億円)を反映との記載がありますが、追加要望(50億円(税込))は業務要求水準書に示されている内容に含まれていると考えてよろしいでしょうか。
JSC回答…貴見のとおりです。

JSCは組織委員会の追加要望を業務要求水準書に忠実に反映させたというスタンスで、要望に入ってなかった聖火台は業務対象外にしたということのようである。縦割り意識を、まざまざと見せつけられる。ただし、追加要望にあったというカメラモートは上記ザハ案でも対応していたように、両者はザハ案時からずっと打合せをしていた。JSCにも責任があるが、聖火台という五輪における重要事項を確認していなかった組織委員会も怠慢であり、やはり双方に瑕疵がある。

しかし、同委員会会長の森氏は、以前から聖火台について陳情を受けながら動きが遅かった遠藤大臣を逆に「早い対応」と称賛しつつ、身内の組織委員会も擁護する発言をしている。
森喜朗「早い対応」の遠藤氏称賛 聖火台忘れ問題”[2016年3月11日15時50分] 日刊スポーツ
<2020年東京五輪パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画に聖火台が忘れられていた問題で11日、森喜朗大会組織委員長(78)は「遠藤さんが(対応を)引き取ってくださった」と身内でもある遠藤利明五輪担当相を持ち上げた。都内の講演で、「(組織委は)リオからの引き継ぎ準備で忙しい時期。その後に処理する予定で、むしろ早い対応だった」と述べた。>

これには多少冗談も入っているのかも知れないが、根本的には森氏やその取り巻きの無責任体質が表面化しているように思う。そして今まで余り表に出てきていなかった感もあるが、五輪運営は組織委員会が主導することになる。だが、森氏は上記発言があった会合で<「国立競技場は国が造るのだから、国が負担するものだという認識だ」>と発言し、聖火台が抜けていた件も文科省に責任があるとしている。確かに政府の責任は大きいが、組織委員会は五輪推進の全体に目配りして主導していく必要があるだろう。森氏には、そのトップとしての意欲も発想も感じられず、会長を続けるには無理があり、早期に降りていただくしかないと思われる。

組織委員会では昨年末にトヨタ自動車社長が突然のように副会長を辞任したという重大な出来事もあった。
<  2020年東京五輪パラリンピック組織委員会の副会長を、トヨタ自動車豊田章男社長が2015年12月21日付けで辞任した。経済界を代表する後任副会長には、パナソニックの津賀一宏社長が就任する。
   豊田社長サイドはあれこれ理由を述べているが、「唐突感は否めない」(財界ウォッチャー)辞任劇であることは間違いない。「寄り合い所帯の組織委員会の迷走を豊田社長が嫌った」(中部財界関係者)との観測が真相に近いとみられているが、多くの五輪関係者が豊田社長の真意を測りかねている。>

詳細な事情は定かではないとはいえ、組織委員会が深刻な問題を抱えていることは確実。やはりトップが重要になるが、森氏はご高齢でもあり、前述のような無責任・身内擁護体質を見せつけられるのでは、少なくともリオ五輪後には速やかに辞任が妥当。政府は後任選びを急ぐべき。
そして組織委員会の構成を見てみると、記事中にあるように「寄り合い所帯」度は物凄いものがある。今まではJSCや東京都の施設整備などの話題の陰に隠れていた感もあるが、今後は組織委員会が本格的に主導していく必要がある。会長交代人事から始めて迅速に相当テコ入れしないと五輪に向けて迷走が止まらない、或いは拡大する危惧を強く感じる。

以上
[追記]
組織委員会について以下のような解説が有ったので参考にご紹介。元官僚と官僚が実権を握っている体制。これでトップが森氏では不安一杯(笑) また東京都とJOCが主役になるが、舛添都知事は国の責任を追及したり、自らの手柄を誇示するのはお得意のようだが、まとめていく手腕はどうだろうか(組織委員会には副知事や元副知事が入っているが、都知事の意向は大きく影響する)。加えて手腕に特大の疑問符が付く遠藤五輪大臣だから、少なくとも組織委員会のトップだけでも早く交代必須。

 国立競技場の建て替えやエンブレムの白紙撤回など、東京オリンピックに関する不手際が世間を騒がせています。今までほとんど知られることがなかった東京オリンピック組織委員会に注目が集まっているのですが、そもそも組織委員会とはどのような組織なのでしょうか。
設立の経緯は?
 オリンピックの開催国は、正式な開催決定から5カ月以内に、大会運営を担う組織委員会を設立しなければなりません。今回の組織委員会は、東京への招致が決まってから4カ月後の2014年1月24日に設立されました。
 母体となっているのは、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)と東京都で、当初は一般財団法人として東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が設立され、2015年1月1日付で公益財団法人となりました。
どんな人が携わっているの?
 組織委員会のトップには、キヤノン会長の御手洗冨士夫氏が名誉会長に、森喜朗元首相が会長にそれぞれ就任しています。森氏がオリンピックの運営に大きな影響力を持っているのはこの役職に就いているからです。副会長にはトヨタ自動車社長の豊田章男氏、JOC会長の竹田恆和氏らが就任しています(東京都副知事も入っている)。
 また理事には、国会議員でソチ五輪日本選手団長を務めた橋本聖子氏、麻生セメント社長の麻生泰氏(麻生財務相の弟)、プロデューサーの秋元康氏、映画監督の蜷川実花氏(著名な演出家である蜷川幸雄氏の長女)などの名前があります。理事の多くは他に本職を持っていますから、現実に大会運営の中核となるのは事務局ということになります。
 事務局のトップとなる事務総長に就任しているのが、1日の記者会見でエンブレムの白紙撤回を表明した武藤敏郎氏です。武藤氏は財務省の元事務次官で、退官後は大和総研の理事長などを務めています。また事務総長を支える副事務総長は、文部科学省の元スポーツ・青少年局長と東京都の元副知事ですから、こちらも公務員出身です。

追記以上