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新コンペ検証5「官邸内国交省ラインの影響力」

本日は入札参加表明締切だが、皆さんも既に御存知の通り、まずZHA参加見送りのニュースがあった。
ザハ氏、新国立コンペ参加見送り 18日申請締め切り” 9月18日スポーツ報知 7時3分配信
<ザハ氏の建築事務所は17日に公表したコメントで、設計・施工一体で受け付ける新公募のルールについて「参加を望んでいる多くの建築家を制限している」と批判。「スタジアムの建設ができる施工業者が限られており、今の(われわれの)デザインチームには、公募の参加機会が閉ざされるだろう」とし、18日午後5時の公募の締め切り期限までに新たな案の提出は難しいとの見方を示した。>
各ゼネコンは大成・竹中以外も「白紙化の経緯」を既に知っているから、ZHAとは組まなかったと云うことだろうか。それでもZHAはやる気を見せたこと自体で目的達成だと思うが、日建設計は何のために仕掛けたのか。日本一の設計会社の動きとしては軽すぎるようにも思えてしまう。設計部門代表Y氏のキャラクターの表れなのか。

さて表題の件であるが、7月24日に太田国交相が述べた内容を産経新聞が記事にしている。
”【新国立競技場】整備再検討で職員6人派遣 太田国交相「技術的知見期待されている」”2015.7.24 産経新聞
<2020年東京五輪パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)の整備計画が白紙になった問題に絡み、太田昭宏国土交通相は24日の閣議後会見で、内閣官房に設置された省庁横断的な「整備計画再検討推進室」に、担当審議官ら同省職員6人を派遣したことを明らかにした。
 派遣されたのは、国交省官庁営繕部担当の羽山真一審議官ら。同部は他省庁が大型施設を建てる際に整備事業全体を請け負うなどの業務を行っている。
 太田国交相は求められている同省の役割について、「コストや工期などの検討において、技術的な知見を期待されている」と述べた。その上で「とにかく時間が限られており、一日一日が貴重だと感じている。一番大事なのは大会開催までに間違いなく完成させ、大会を成功させること」と語った。>

この中の「国交省官庁営繕部担当の羽山真一審議官」が新コンペで重要な役割を果たしていると思われることが、当方検証で見えてきた。また、もうお気づきのかたもおられるかも知れないが、「由利俊太郎」氏記事との関連も考えられてくる。
羽山氏は以下の経歴をお持ちである。
<これまで主に構造設計に携わってきて、新たに設けられた構造設計一級建築士の資格も持つ。>

「由利氏」記事では、<焦った和泉氏は、内閣府の五輪事務局に、国交省で営繕部長まで務めた大物技官を送り込み、文科省・JSC主導の事務局体制に楔を打ち込もうとした>となっていて、「営繕部長まで務めた大物技官」は羽山氏とピタリ符合してくる。(事務局に当たるのが「再検討推進室」で和泉氏は副室長…実質責任者と想定される)

これで、「由利氏記事は産経グループと関連が有るのではないか」という推測は更に確実性を増して、個人的には100%関連ありと断言しても良い所まで来た。後は「読売グループ進出阻止」という目的推定の真偽だが、こちらはまだ今後の成り行きを見ていく必要がありそう。

新コンペの方に戻ると、和泉補佐官-羽山審議官のラインが枢軸で大きな影響力を持っていることも確実と思われる。例えば、羽山氏は7月1日付けで既に営繕部整備課長から官房審議官に移動していた。
 [人事/国土交通省(7月1日)]
  ・官房審議官〈官庁営繕部担当〉(前職:官房官庁営繕部整備課長)羽山眞一

実際には和泉氏意向を受けて6月、或いはそれ以前からも新国立競技場問題を担当し始めたことが想定され、安倍総理が白紙見直し表明を行った際に「一ヶ月ぐらい前から検討を行ってきた」と述べたのは、この体制を指していると考えれば辻褄が合ってくる。(由利氏記事ではこの辺の経緯は記述無いが、その理由は不明)

また、羽山氏による次のような業界紙への寄稿記事がある。
 ・”建築積算事務所連合会への期待・・・国土交通省大臣官房官庁営繕部計画課営繕積算システム官・・・羽山眞一”一般社団法人:日本建築積算事務所協会 機関紙「JAQS」創刊号(2005年1月20日発行)

いずれの記事も表題のみだが、役職(建築技術調整官、営繕積算システム官)と併せて考えると「建築コスト積算」の専門家ということが一目瞭然。同氏が実質責任者で仕切って、新コンペの仕様が出来上がったと考えると理解できることが多い。特に国交省官庁営繕部」がポイントになるので、それについては明日記す予定。

なお、和泉氏-羽山氏の大物技官ラインは当然ゼネコンとも話ができるから、新コンペについて大手ゼネコンとは事前に概ね調整が付いている可能性もあるだろう(やってないほうが不思議)。その意味では「ZHA+日建設計」の断念も含めて、出来レースの体制は整っているかもしれない。
普通に予想すれば、大本命「大成」で「竹中+大林+清水」はコンペを成立させるための当て馬。鹿島は独自路線で距離を置く。 ただし、工期は短縮目標の2020年1月に合わせて来ると思われ、そうなると配点が多い「事業費縮減」がポイントになるだろうから「「竹中+大林+清水」が思い切った安値を出すという可能性は残る。このようなところだろうか。

以上