kensyou_jikenboのブログ

yahoo!ブログの同名ブログを移行しました

「和泉氏仕掛け(3)…情報非公開」(新コンペ検証10)

以下の記事があり、情報公開についてJSCの話が掲載されている。
<「終結果まではデザインも不明
現段階では「参加表明、その後の資格審査、技術提案いずれの段階でも参加事業者名は公表しない。最終結果のみ公表する」(JSC)としている。選考過程は不透明で、最終決定まではデザインも公表されない。
日建設計大成建設は、締め切り前に参加を表明していたが、「公正な競争を阻害する行為であり、ほかの事業者には参加表明は控えるようにお願いしている」(JSC)。これを受けて大成建設も、締め切り当日には「当案件についてノーコメント」と態度を硬化させた。ほかの事業者は「締め切り後についてもJSCが公表しない限り、事業者から公表することはない」(大手ゼネコン)と決め込んでいる。>

これは非常に興味深い。JSCは前コンペ時の情報非公開でずっと叩かれてきたので、新コンペでは必ず公開すると思えた。しかし、新コンペでは途中でのデザイン公開さえしない。ここまでやるというのは、やはり和泉氏の判断ではないかと思う。良し悪しは別にして、官製談合的な調整を行っているのだから、出来るだけ経過も表には出したくない。そのためJSCに非公開を指示したと推測される。また、今やJSCは官邸指示のままに動く形になっていると思われる。

情報非公開選択もJSCコントロールも工期・工費最優先では已むを得ないと思える。とにかく一日でも0.5日でも早く前にすすめることが必要。更にIOCからの前倒し要請まで加わっている。出来るだけ雑音は入れたくないと和泉氏も考えたのだろう。
なお、由利氏記事に「今年春先」大成を中心とするゼネコンから和泉氏に相談が持ちかけられた後の経緯が載っている。
<業者の話を聞き、重大性に驚いた和泉さんは、すぐ上に報告しました。ただ、安保法制を始めとする懸案事項が山積みで、『ザハ案は危ない』という危機感は、思いのほか官邸内で共有されませんでした」
焦った和泉氏は、内閣府の五輪事務局に、国交省で営繕部長まで務めた大物技官を送り込み、文科省・JSC主導の事務局体制に楔を打ち込もうとした。
「大型工事の経験が乏しい文科省では無理。技官を豊富にそろえ、国のさまざまな建物の構想、立地調査から設計、引き渡しまでを仕切る営繕部を持つ国交省主導に切り替えようと和泉さんは必死でした」(官邸スタッフ)>

春先が何時かは定かでないが、危機感を持ってすぐ上に報告したようである(「上」は総理・官房長官、五輪・文科各大臣などか)。しかし官邸内には余り理解されなかったとのこと。
また毎日新聞の検証報道では和泉氏の動きに関して次のようになっている。
<首相は7月17日に表明した計画の白紙撤回を「1カ月前から検討していた」と説明した。・・・
実際に官邸が計画見直しに踏み出すのは7月上旬だ。毎日新聞の全国世論調査(4〜5日)で支持・不支持が第2次安倍内閣発足後初めて逆転したほか、各種調査で新国立競技場を「見直すべきだ」が8〜9割にのぼる結果も出ていた。官邸は「安保関連法案より新国立が重しになっている」と判断し、首相が官邸スタッフに再検討を指示した。
事業を所管する文科省に「あんな巨大施設の発注は経験がなかった」(自民幹部)ため、国土交通省出身の和泉洋人首相補佐官文科省やゼネコンと協議し、「デザインは設計・施工一括方式」「工期は50カ月強まで短縮可能」との基本方針を急ピッチで策定した。

ただし、当方調べで羽山審議官が営繕部のライン課長から外れて官房に異動したのは7月1日付のようだから、毎日の見解より安倍総理の言葉が正確で、和泉氏を中心とした見直しは羽山氏正式異動前、少なくとも6月中旬ごろから始まっていると見るほうが妥当。毎日は総理の言葉を軽視しすぎ(笑)
大成建設にも並行して検討させて、7月上旬頃には「ラグビーW杯には間に合わないが五輪は間にあう」という目処が付いたと想定される。この辺になると毎日の見方と合って来る。

このように動いてきたと想定される和泉氏の仕掛けにより、最終的に新コンペ選考がどのような形で決まるか。例えば昨日記事で「デザインが余り影響しないようにしている」のではないかと推測したが、伊藤氏が落選承知しておらず、本気でデザインして隈氏を国民評価で上回ったらどうするか。
140点中60点を占める「工期短縮・事業費縮減」の部分で事前調整し、大成を勝たせる事が考えられる。しかし、普通に考えたら工期は2グループとも短縮目標の2020年1月に合わせるだろう。そうなると工費縮減の30点が鍵。その他の配点での調整も考慮しながら、両社にどれ位の価格で入札させるか。和泉氏やコスト積算専門家羽山氏の腕の見せ所のようである。このような調整をやるとすれば、やはり情報公開はしにくくなるだろう。

また思い切ってやるなら、竹中の方は「1月末への工期短縮不可」という条件での入札にして、工期で30点差を付け一気に大成決定とする手も有りうるかもしれない。2020年4月末という本来納期があるから、「規定の4月末には間に合わせられるが短縮目標の1月末は無理」ということにする。これなら竹中他2社にも余り傷が付かない。和泉氏はどう差配するか。

以上
[追記]
大成が落札したら、竹中には3社グループを解消して屋根工区担当してもらうことも考えられるのではないか。キールアーチ関連の設計はもはや役に立たないが、当該敷地での屋根部分を検討したという経験は生きる。また屋根を担当する予定だった人的リソースを新コンペによる建設に振り向けられる。和泉氏はもう考えているかもしれないが。

追記以上