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「和泉氏仕掛け(2)…デザインへの対応」(新コンペ検証9)

昨日取り上げた「技術提案等審査委員会」(技術審査委員会)名簿は、前コンペ時の「有識者会議」と全く異なり一般人が殆ど名前を知らない学者さんで固めている。前コンペで間口を広げすぎた反省から新コンペは手堅くやるにしても、やはり違和感を感じたため調べてみたら昨日示したように和泉氏や営繕部との関係性が分かった。このように「違和感」が有るところには必ず何らかの「理由」が有るというのが当方の発想で、そこから追っていくことが多い。

技術審査委員会の人選に関しては、知名度だけでなく、各委員の専門性に関しても違和感があった。前コンペで建築デザインの世界的大家が審査委員長だったのとは対照的に、建築デザインの明確な専門家で、かつ大家と言われる人は委員にもいないようである。
ただし昨日書いたように、技術審査委員会の人選を主導したと思われる和泉氏の意図が必ず入っているはず。推測してみると、外観デザインを140点中5点程度の配点にしたことなども併せて、デザインが審査結果に影響しにくくしたのではないか」と思える。デザイン・意匠関係の大家などがいると、その人に引っ張られかねない。配点を低くするだけでなく、デザイン面から強く意見表明しそうな人を避けたことが考えられる。

だがデザインは国民の感心も高く、それが大したことないと「早い安い」だけでは納得されない。用意周到な同氏のことだから、その辺も当然考慮しているのではないかと考えてみた。その際のポイントは、8月14日発表の「基本的考え方」に入った「日本らしさに配慮する」と云う指定。前コンペでは国際的募集ということもあってか、このような考え方は入っていなかった。しかし、本来は新コンペこそ工期・工費最優先だから、少しでもゼネコンの制約になる可能性がある指定は排除してフリーハンドにすべきだろう。

この点にも当方は大いに違和感を持ったが、その後大成建設が「隈研吾」氏と組んだことが明らかになり、和泉氏と大成でデザイン面の対応も話が付いているのではないかと想定している。つまり「日本らしさ=和風」として、「和の大家」隈氏に内装も含めて「和」を取り入れたデザインを依頼する。本案件はザハデザインで混迷したから、和風に振れば差別化出来る。また和風テイストなら国際的にも日本のオリジナリティを出しやすい。非常にベタな展開では有るが、工期・工費最優先の中で考えるデザイン性なら有りうる話と思える。

ただし、このような展開はもう一つのグループとも話が付いていないと上手く行かないだろう。日本らしさの指定だから和風を取り入れる点は同じになるが、もっとインパクトの有るデザインを競合グループが出してきた時は厄介になる。その場合のためにも、前述のデザインに関する「低配点と大家委員なし」で対応しようとしている可能性は考えられる。
しかし、それだけで十分とは言い切れず、更に確実性を求めて和泉氏は竹中工務店とも調整済みは間違いないと思う。由利氏記事によれば今年初めに両ゼネコン首脳が極秘会談を開いた(と云う噂)。そして「今年春先に大成を筆頭とする施工業者たちは官邸に直談判した」となっている。その相手が和泉氏。

和泉氏は大成を中心に竹中とも首脳レベル含めて本音で調整できる立場になり、「大成落札・竹中ダミー」の構図を描き、準備してきたのが新コンペにつながったのではないかと思える。実際工期がギリギリなのは、実施設計で苦労した大成・竹中の方がよく知っているから、コンペにかける時間も手間も極力少なくする必要性はすぐ理解される。ガチで落札を競う消耗戦をやっている状況ではない。

その中で竹中が他2社と組んだ理由は現時点では明らかにされてないが推測してみると、「屋根工区」で考えていたところに「キールアーチ・可動屋根廃止、観客席上部のみ」となって、スタンド建設中心になった変更に対応することが難しく他2社の協力を得たのではないか。それに対してスタンド工区で進めていた大成は一社で応札。
ただし、大成落札で水面下調整済みとすると、竹中応札は「競争入札」の形を維持するための辻褄合わせが目的となる。しかしダミーであっても竹中だけだと用意できる人員が不足する等で入札書類上の整合性を取る必要が出てきて他2社が協力するという形かも知れない。竹中は今回大成の邪魔するつもりはサラサラ無く、当然他2社も国交省との関係などで了解済みだろう。
また、入札するゼネコンの数を減らして調整を容易にする意図があったことも充分考えられる。1つでは競争にならないが多すぎるのもやりにくいから2つにするという発想。しかも入札ゼネコンが少ないと入札条件等が問題になりかねないから、ダミーの竹中の方で3社まとめた。「仕事師」和泉氏としては、この理由の方が有力かもしれない。

いずれにせよ事前調整が行われているとすると、現在最大の当方疑問は竹中と組んだ「伊東豊雄」氏の思惑。同氏は前コンペにも参加したが、その後新築批判と改修案発表も行った経緯がある。新コンペに再挑戦するにあたっては相応の決意が必要になる。それで落選承知して参加するだろうか。また事前調整を知らないとすると、竹中が隠していることになり重大な信義違反。
伊藤氏が承知の上で参加してくれれば、後々竹中・大成、官邸・国交省などから手厚い配慮が有ることは間違いないだろうが、同氏がそのようなことで動くか。この辺は皆さんそれぞれ自由に、或いは伊藤氏について知っている度合いに応じてお考えいただければと思う。

なお事前調整の推測が当たっていれば、国民注目の国家プロジェクトで「官製談合」にも相当する仕掛けが行われていることになる。しかし、当方個人的には「五輪に間に合わせる」という命題の達成には已むを得ないようにも思える(五輪目指しては建てない「ゼロ」の件は別にする)。言ってみると「良い官製談合、或いは必要な官製談合」も、時と場合によっては有るのではないか。

このように「官製談合」相当まで推測してみたが、「考え過ぎではないか」と思われる方もおられるだろう。
だが和泉氏の立場で、「関係閣僚会議」の指示を受けて淡々と新コンペの準備を進めているだけとしたら、その方が職務怠慢。またそのような人物が「仕事師」「職人」の評価を得ることも無い。
更に菅官房長官が後ろ盾にいて、五輪担当相は福顔担当だから、一切を任されていると想定される。(昨日紹介の日経ビジネス記事でも<(補佐官就任)は和泉氏の行政手腕と政官財への豊富な人脈を高く評価する菅氏の進言が決め手となったという。> となっている)
これら官邸事情を考慮に入れた上で、実質的には「何とかして欲しい」と泣きついてきて、「何でも協力します」という姿勢と思われる大成・竹中と既に調整していないことが考えられるだろうか。もちろん人それぞれのお考えはあると思うが、少なくとも当方には事前調整無しは想定できない事態(前述のように伊藤氏思惑だけが不明)。
明日も和泉氏仕掛けの考察を継続予定。

以上