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見直し計画の工期・費用はどうなるか

政府は見直し(再検討)に当たっての方針を8月14日関係閣僚会議で” 再検討に当たっての基本的考え方”として次のように正式に打ち出した。
今月中を目途に、スタジアムの性能、工期、コストの上限等を示した新たな整備計画を策定し、これに基づき、9月初めを目途に公募型プロポーザル方式(設計交渉・施工タイプ)による公募を開始することとする。

これに対して以下の記事があった
<新国立競技場の整備問題で、20日、政府は工期の短縮は可能との認識を示しました。
  「2020年春まで」とされている新国立競技場の完成時期について、政府は20日午後に開かれた民主党の会合で、工期の短縮は可能との認識を示しました。
 完成時期をめぐっては、東京都の舛添知事が「2020年春ではリハーサルが間に合わないとIOC=国際オリンピック委員会から指摘があった」として、2020年1月に完成を前倒しするよう政府に要請しています。
 またIOCのジョン・コーツ副会長もJNNの単独インタビューに対して、2020年1月とは明言しないものの、リハーサルの時間を確保するため、完成前倒しが必要との認識を示しています。>

工期短縮が行われる可能性は高そうである。舛添知事も要請しているし、リハーサルやプレ大会、その他準備作業は重要であるから、完成目標前倒しはもはや避けられない状況と思われる。
ただし、「2020年春」と云う目標では時期が今一つ明確ではない。
それで調べてみたら、安部総理が森元首相を説得する時に示したという「A4ペーパー」の中味を森氏自身が語ったTV番組の記事があった。

<森氏「それはみんな心配してましたね。だけど順番に、そのときの紙切れ持っているが、平成28年(2016年)の1月ごろに事業者を選定して、基本設計や実質設計や工事施工の事業者との調整を終えるようにしたいと。終えるとただちに着工して32年(2020年)の4月には完成させるというスケジュールを見せていただいた。首相がおっしゃれば、『それは違う』『それはだめだ』と言うべきではないのではないか」>

森氏いわく「紙切れ」でも安部総理が見せたものだから、これが政府想定の日程と考えられ「2020年4月」完成目標ということになる。これは重要情報。当該A4ペーパーは国交省が作成したようである。
首相が示したA4の文書は、国土交通省などが作成したものだった。
五輪開催予定は2020年7月24日(金)~8月9日(日)。4月完成目標では4月初めに完成しても開幕まで4ヶ月弱。更にテスト(プレ?)大会の問題が有る。

<IOCに提出した立候補ファイルによると、2019年11~12月にサッカー、2020年2~4月に陸上のテスト大会が予定されている。>

サッカーは全く間に合わないにしても、陸上は2020年2月から予定通りテスト大会を行うとすると、そのためにも1月完成が求められているのかもしれない。2020年1月完成目標で進む可能性が高くなる。
果たして実現可能か。加えて推進役の問題が有る。五輪担当大臣と国交省の役割が大きくなったとはいえ、toto財源を握るJSCとスポーツ行政を仕切る文科省の役割も依然大きい。そこに下村大臣は9月末自民党総裁選後の内閣改造で退任が有力だし、河野JSC理事長は9月末までが任期で再任は困難だろう。
つまり問題の元凶だったかも知れないが、事情を知っている二人の重要組織トップが退任濃厚。これでは遠藤五輪担当大臣に重荷が集中しそうであり、果たして的確に仕切っていけるか。遠藤大臣の「福顔」から笑みが消えたりしないように祈るばかりである。(加えて安部総理の体調不良も伝えられているが真相は如何に)

また整備計画策定では日程だけでなく、コストの上限も示すことになっている。今月中に上限を決めることになる。コストに関しては20日に行われたシンポジウム「で、どうする-新国立競技場」にて、聴衆者として参加した自民党河野太郎衆院議員は「観客6万人、サッカー場、サブトラックは仮設という方向で粛々と進められている。このままでは相当高い金額になる。2520億が1800億円とかで済まされそう。これでは白紙撤回が意味をなさない」と話したと云うことである。

もし1800億円上限を政府が打ち出したら、総スカンを食らうことは確実だろう。コンペ設定の1300億円で賛否五分五分ぐらいになるか。そこから更に消費税や物価のアップがあったからと云う理由で1600億円程度を提示すると反対の意見が相当多くなるのではないか。今度のコスト上限設定は、やり方に依っては政権の大きなダメージになりかねない。
スタジアムとしての基本仕様も含めて、本当に8月中の整備計画策定が可能だろうか。

当方が想定する今の結論としては、政府の手に負える範囲をもはや超えているのではないか。ここは民主主義の原点である議会を活用して国会議員に任せるのが得策。そのためには以前から述べているが、自民党行政改革本部長の河野太郎議員を中心に、与野党チームでゼロオプションや五輪日程にこだわらない建設も含めて検討してもらい、実際の推進も担ってもらうのが良いと思う。
この難しい状況において内閣の要(かなめ)菅官房長官は後10日弱でどのように政府方針を裁定するか。

以上
[追記]
上記シンポジウムでは2016年東京五輪招致推進担当課長だった鈴木知幸氏がサブトラックの必要性を訴え、「ラグビー場の周囲に8レーンの第3種陸上競技場を整備すべき」と云う案を出されたそうである。

これが実現可能かどうかは分からないが、当方も国立競技場が陸上競技場として仮設無しでは第一種認定にならないのは大きな損失と思う。
神宮外苑の再開発と併せて考えてみるために、まず外苑で重視される景観の話から入る記事を明日以降書く予定。

追記以上