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選定に至る内幕?(朝日新聞記事)

昨日のA案決定に際しては、朝日新聞だけが朝刊にスクープ記事を載せた。今回は朝日の当番なのか、今朝も選定の内幕らしき記事が載っている。この記事の3つの部分について考察。

①官邸と大成建設
大成建設には、準備期間の長さで優位性があった。
 国立競技場建設問題が過熱していた7月14日。大成建設の村田誉之(よしゆき)社長らが首相官邸に呼ばれた。
 安全保障関連法案の採決強行を巡り、最後の攻防が続いていた時だった。支持率の下落要因に歯止めをかけたい官邸にとって、安保関連法案以上に国民の反発を招きかねないと感じていたのが、国立問題だった。
 デザインを変更して業者選定をやり直した場合、東京五輪に間に合うのか。関係者によると、官邸の疑問に対し、大成側は2019年のラグビー・ワールドカップ(W杯)が別の会場で実施されるなら大丈夫だと伝えたという
 その3日後、安倍晋三首相が白紙撤回を表明した。>
安倍氏は7月14日に大成建設社長の確約を聞いて白紙見直しを決定したということになる。これは同15日に計画見直し浮上という報道(後述)があり、時系列的にも辻褄が合う。当然和泉補佐官から事前に報告を受けていて、大成に最終確認した上で森氏との会談をセットしたという流れが想定される。
7月15日の見直し浮上は以下記事などがある。
<「全く一言も情報をもらってないので、答えようがない」。今月15日に政府の計画見直し案が浮上した直後、舛添知事は報道陣にそう繰り返した。>
また興味深いのは「建築家協会」までもが、白紙表明と同日にそれを明らかにしている。ゼネコン関係者等からの情報かも知れないが、本来これは勇み足レベルだろう(笑)
7 月15 日に政府が設計見直しの方向を打ち出したことは時機を得た決断であると考えます。>


②竹中JV
< 一方、B案の中心だった竹中工務店は当初、参加に慎重だった。旧計画では屋根工事の担当で、スタンド工事に必要な作業員が確保できていなかったためだ。同業大手の清水建設大林組を味方に引き入れ、応募の意思を固めたのは締め切り直前の9月中旬だった。
 「準備期間が短すぎたなあ」。B案陣営のゼネコン幹部は22日、そう振り返った。デザインなどは仕上がっても、工程面であいまいな部分が残った。事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)関係者も呼応する。「大成は本来、今年10月の本体着工に向けて準備を進めていたわけで、アドバンテージはあったはず」>
→大成より準備期間が短かった割には、竹中の提案書はよく出来ていて、能力の高さを見せたと思う。ただし、ザハ案中止に至る経過には竹中も絡んでおり、大成が主導していたことも重々承知。このような場合に、建設業界慣行では「大成建設案件」になるだろう。それを横取りするようなことを竹中がするとは思えない。コンペ成立のために官邸筋から頼まれたと見る。
ただし、例えばどうしても仕事が必要なら、竹中の上層部が無理してでも取りに行く判断を絶対にしないとは言い切れない。だが、現在の建設業界は復興や五輪等で案件が多く、慣行や仁義を無視して横取りを図る状況でもない。更に「大林・清水」が入ったJVになっていることも重要。仮に竹中が取る気になっても、大林と清水は巻き込まれたくない。元々事業計画に入れていない案件だし、大成に反発されたら後々面倒になりかねない。他2社まで含めたということで更に竹中は無くなる。大成受注が既定路線だったことは、このようなところからも見て取れた。

③政府関与
<白紙撤回から、8月末の基本整備方針決定までは主導した政府だが、そこからはあえて介入を避けた。旧計画や、同じく白紙撤回された五輪の旧エンブレム問題で手続きの不透明さへの批判が繰り返されていた。政府が選考の前面に立ち、再び混乱したり、どちらかに肩入れしたとの臆測を呼んだりすれば、せっかく立て直した計画が危うくなるとの懸念があった。>
→これはそのまま受け取らないほうが良いと思う。リークの見返りで、政府側有利な内容が含まれていると見る。もし<そこからはあえて介入を避けた>が本当なら、検証委員会にあれほどの制約はかからない。ただし、検証委員会や技術提案審査委員会の人選や方向性は8月末までに決められていたので、それを以って「8月末まで介入した」というのかもしれない(笑)
しかし、人選や方向性は最終結論まで影響するし、特に影響力の大きい委員長との水面下でのやり取りも出来る。ネットでも<議論を誘導する人間を一人紛れ込ませればちょろいもんよ>という鋭い指摘を見た。更に審査委員会は、委員長だけでなく委員まで国交省営繕部人脈でガッチリ固めていたが、それでもやはり見えてくるものがある。昨日の審査委員会記者会見での発言。
<両案とも工期は31年11月だが、何が明暗を分けたのか。22日に都内で記者会見した日本スポーツ振興センター(JSC)審査委員会の村上周三委員長は「工期は本当に実現可能性があるのかということで差がついた」と指摘した。
 ただ、具体的な説明はなく、同席した香山壽夫委員は「個々の採点結果を集計したので、なぜ工期短縮の項目で点差が開いたのかわからない」、涌井史郎委員は「ゆとりをもって工期を組んだか否かで差が開いたのではないか」と述べた。>
香山委員にはもっと言いたいことがあったのだろう。結果的に検証委員会報告と同じような割り切れなさというか、端的に言えば「不信」が残った。当方は両委員会とも和泉氏の仕切りと見ているから、このようなやり方が同氏の特徴と推測するが、決して良いやり方とは思えない。もっと国民に事実を明らかにする姿勢でやって頂かないと、一番重要な「民主主義」を危うくしかねない。

以上
[追記]
朝日ほど詳しくはないが、報知も以下の記事を出してきた。今後もっと内幕が出てくるか。
その理由を村上委員長は「ヒアリングでの回答などから(B案の方が)不安要因が多かった」と明かす。大成建設はザハ案の旧計画でスタンド工区を請け負う予定だったことが奏功した。資材置き場、準備工事などの課題へ「既に十分な労働力を確保していた」と文科省関係者は明かした。>
→まさか受注決定もしていない段階での「準備」を点数化出来たとも思えない(笑) エンブレムでも選考過程での点数不正操作が明らかになってきたが、教訓にはならないのだろうか。委員毎の採点も今後明らかになるか。

追記以上