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見積り空白域(2014年)と「アーチタイ追加」隠し

文科省において8月19日「新国立競技場整備計画経緯検証委員会(第2回)」が開催され、配布資料が公開された。
資料を見ると、さすが公式資料できちんと詳細がまとめられている。しかし、すぐ気がついたことが有る。この期に及んでまだ「アーチタイ追加」の記述がどこにもない。工費や工期が問題になったのに、それらに大きく影響したことが確実なアーチタイ追加に全く言及しないとは呆れ返った。資料の体裁はきちんとしているが、肝心のことが書いてないというのが官僚の流儀なのだろうか。

だが、新国立問題ではアーチタイ追加前後の資料が別途公式に存在する。当ブログで紹介してきた2014年5月26日第5回有識者会議資料(アーチタイ無し)と同年8月18日入札公示資料(アーチタイ有り)である。これだけ明確な対比資料があって、追加を隠し続けることは不可能にも関わらず、何故か(多分JSCが)粘り腰を発揮して今回も隠蔽のまま。

大きな問題になった見積価格の乱高下に関する経過自体は殆ど示されて来ており、その結果JSC・文科省の責任は明らかで逃れようが無いにも関わらず、アーチタイ追加は未だに言及しない。もはやアーチタイだけ隠す必要もなく、率直に説明して陳謝すれば良いと思うのだが何故か粘る。
一体何のために隠し続けるのか?或いは誰かのために、そうしなければいけないのか?
検証委員会(第三者委員会)は真相を解明してくれるだろうか。技術系委員がアーチタイの問題に気がついて、最終的には当ブログで紹介しているコンペ表彰式時のザハ修正案の問題にまで早く行き着いてくれると良いのだが。

上記配布資料によって、アーチタイ追加に関連して発生する疑問点を以下に記す。このような重大な疑問の数々が、アーチタイ追加自体が隠されていることにより表面化していない。そのため「設計上の問題(主にキールアーチとアーチタイ)により着工さえ困難」であったことも理解されず、例えば「安部総理が白紙見直しを政治利用した(by野党や一部マスコミ)」とか「ゼネコン発注が競争入札でなかったので価格が下がらなかった(byザハ側及び与党一部)」とか云った「為にする言説」がはびこって真相解明を妨げている。
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(1)資料1 新国立競技場の工事費・解体工事費の変遷について…上部抜粋
平成26年(2014年)基本設計時の経過が全く記載なし。 ここでアーチタイ追加が行われている。当然アーチタイ追加時のコストアップ試算は行っているはずで、それを隠したいと云う意図か? 
また基本設計完了での見積りも必須。しかし、この表では他の年で何度も行われている見積りが、2014年には全く行われていないように見えて余りに不自然(少なくとも基本設計完了時とアーチタイ追加時の二つの見積りが存在することは確実)。検証委員も「空白が有る」と述べている。ここまで来て見え見えの隠蔽をする理由は何だろうか。
イメージ 1
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(2)参考資料2(スポーツ・青少年局提出資料)…抜粋、①~⑤番号付与、→以降は当方
① 平成26年5月28日
JSCは、有識者会議(第5回)を公開で開催して、基本設計案を説明。
その際、概算工事費は、1625億円(平成25年7月時点の単価、消費税率5%)とした。
有識者会議資料にアーチタイの記載や説明なし
② 平成26年8月11日
JSCは、建設工事費概算額について、建設物価及び労務費の上昇並びに消費税率の引
き上げによる影響額の見通しを文部科学省に説明。
アーチタイ追加やそれによる工期・工費等への影響は説明されたのか?
③ 平成26年8月18日
JSCは、実施設計段階から施工技術のノウハウ等を設計に反映させ、2019年春の
竣工を確実なものとするため、政府調達(プロポーザル方式)により施工予定者を公募。
入札公示資料にはアーチタイの図あり、関係者はアーチタイ追加の経緯を明確にすべき
・・・
④ 平成27年1月~2月上旬
技術協力者は、JSCに対し、両工区合わせた工期では竣工が当初計画の2019年3
月末を超える。また、実施設計図(平成26年11月時点)に基づく概算工事費が300
0億円超と報告。JSCは、両工区間で調整を指示。
3000億円超の見積りにはアーチタイが含まれているのか、いないのか?
  含まれている場合、2014年に見積りがないのは設計JVはアーチタイ付で見積もりせず、入札後この時点で初めてゼネコンからアーチタイ付の見積りが出たと云うことか?
⑤ 平成27年2月13日
JSCは、上記の報告及びJSC及び設計者による工事費概算額の試算が建設物価及び
消費税率の上昇影響分を加味した場合、2100億円程度になることを文部科学省に報告。
更に、技術協力者の見積額について、設計JVの試算額より6割程度高めとなっており、
この乖離を収めることは困難と想定されることを報告。
文部科学省から、JSCに対し両工区の更なる工期短縮の調整やコスト縮減を指示。
2100億円程度の見積りにはアーチタイが含まれているのか、いないのか?
((1)及び①~⑤の疑問点を総合すると、アーチタイ追加が途中で必要になったこと、それでコストアップが発生したこと及びその金額などを、どうしても知られたくないような事情でも有るのだろうか?
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参考[アーチタイ追加前後の資料]
・追加前
  この中の「平成26年5月26日第5回有識者会議」資料参照
・追加後
  ”新国立競技場、実施設計段階で施工予定者を選定” 2014/08/19 ケンプラッツ 

以上